関東地区ピアノ科有志の指導者による
第19回研究科全課程卒業生コンサートが、今年も開催されました。


 関東地区ピアノ科有志の先生方が開催する、研究科全課程卒業生コンサートは、1999年、出演者12名で始まりました。専門の道へは進まないものの、こよなくピアノを愛し、楽しむ皆さんによるコンサートです。学生、社会人として、家庭を持ち、子育ても…と環境が変わっても、この会への想いを持ち続け、卒業生同士の交流の会ともなっています。

 19回目の開催となった今年は、すみだトリフォニーホール小ホール(東京)を舞台に、熱のこもった演奏が続きました。初めて参加された早野龍五会長からは、「鈴木鎮一先生のおっしゃっていた、〝楽器の練習を通して立派な人になる〟を、しっかり示していて素晴らしい」とお褒めの言葉をいただきました。

 出演者からの感想をお届けしましょう。

ピアノに触れることのできる貴重な機会です。
川久保雄揮
 お気に入りの曲を披露した人もいれば、自らのスキル向上を目指して、練習に取り組んだ人もいました。私は、〝誰でも知っているけど誰も弾かない〟楽曲として「運命」を選びました。ピアノに対する思いは人それぞれ異なりますが、この演奏会は仕事などで忙しい中で、ピアノに触れることのできる貴重な機会と考えている点は、演奏者全員に共通していました

私にとっては、自分自身と向き合って人間力を高めていく場です。
原 慧
 毎年この卒業生コンサートに向けては、一年かけて、今年はどんな曲に挑戦しよう、仕事や家庭で大変ななか練習はできるだろうか、毎年参加している仲間はどんな演奏をするのだろう、、、という期待や不安とともに準備して臨んできました。僕は大学生の時から参加し始めて、一昨年だけ家族の不幸が重なり参加が叶いませんでしたが、それ以外は一度も休まずに参加してきました。気がついたら今年で社会人11年目になり、結婚して子どもたちにも恵まれ、今年は2人の子どもたち(3歳の娘と4ヵ月の息子)に背中を見せる、という意味でも特別に緊張した会でした。

 今年参加して思ったことは、一日中何も考えずに音楽のシャワーを浴びながら思い耽る時間をつくる、ということは自分にとってとても大切なことだな、ということです。仕事や子育てで日々追われる生活を送っていると、どうしても周りや自分自身の大切なことについて見えにくくなってしまうことがあると思いますが、今回コンサートに参加できたことで普段とは違った脳が刺激されてリフレッシュできましたし、明日への活力にもなりました。音楽は瞑想のような効果があるのかもしれませんね。ですから、このような貴重な機会に毎年参加できていることが本当に嬉しいですし、人間としての成長を温かく、そして根気よく見守り続けてくださっている先生方には感謝してもしきれません。

 思えば、3歳からピアノを始めて小学6年生でピアノ科の全過程を卒業し、音楽を専門としない学業の道に進むなか、細々とピアノをここまで続けてこれたのは、卒業生の大切な同志や応援してくださる先生方、家族や友人がいたからです。僕にとってスズキ・メソードは、「ピアノを習っているところ」ではなく、音楽との触れ合いや演奏、同志との切磋琢磨を通して、集中して感覚を研ぎ澄ます力を磨いたり、より豊かな表現方法を極めていく方法に気づいたりするなかで自分自身と向き合って人間力を高めていく、、、そのプロセスの面白さを教えてもらっている場所です。逆に言えば、それを手っ取り早く体感できるところが、ピアノや音楽の素晴らしさなのかもしれません。

 卒業生コンサートにおいては、毎年会える大切な仲間や先生方がいるからこそ、ここまでがんばってこられました。皆さんの演奏を聴くと、不思議とその人の性格や日々何を大切にしているか、などが一人ひとりの演奏ににじみ出ていてそれを知るのが楽しいです。僕自身ももっと深い表現ができるようになりたいと改めて思いましたし、自分より若い世代に何を伝えていけるか、今まで先生方に教えてもらったことをどう還元していくのか、が僕にとって次の宿題と思っています。来年は卒業生コンサートが始まって20回目という大きな節目を迎えます。今までとは違った気持ちで向かいたいですし、自分への新たな挑戦という意味で思い出に残るような演奏ができればと思っています。