麗さんの演奏を目の前で聴ける醍醐味は、記念館ならではです 2017年10月の第86回日本音楽コンクール・チェロ部門で第1位の香月麗さん(久保田顕先生クラス出身)が、9月2日(日)、鈴木鎮一記念館(松本市)でのコンサートに出演されました。ピアノは、若手チェロ奏者たちからの信頼の厚い諸田由里子さん。奏者の息遣いも聴こえる間近な距離で、とびきりの演奏を楽しむことができました。

第86回鈴木鎮一記念館コンサート
「香月 麗 チェロ・リサイタル」
2018年9月2日(日)13:30開演

曲目
・ヴァレンティーニ:ソナタ ホ長調 グラーヴェとアレグロ
・フランク:チェロ・ソナタ 第1、2楽章
・チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 イ長調 作品33

 チェロと一体となっての迫力ある演奏に引き付けられたかと思うと、ピアノの美しい旋律との掛け合いなど、チェロの様々に変わる音色がとても素敵でした。演奏のほか、曲の間のおしゃべりで観客の笑いもお取りになり、一気にファンを獲得されていました。

 1曲めのヴァレンティーニが終わった時は、「今日のお天気は少し心配でしたが、気持ちの良い日となり、また、スズキ・メソードの特別な場所で演奏させていただく機会をいただき大変嬉しく思います。お世話になった天国にいらっしゃる久保田先生にも、聴いていただきたいと思います」と語られ、今は亡き久保田顕先生を偲ばれる姿がありました。ちょうど1週間前の8月26日(日)に名古屋で開催された久保田教室40周年記念コンサートにも出演されていた麗さんですので、思い出もひとしおでしたでしょう。

8年前に記念館コンサートに出演されたピッコリーナトリオの皆さん。懐かしい写真です フランクのソナタの後には、ピアノの諸田先生のご紹介に続き、ご自身の紹介がありました。「チェロを3歳から名古屋で始め、その後の音楽高校、音楽大学では、憧れの先輩方(宮田大さん、山本裕康さん等)も多くいらっしゃってお世話になっています。実は、8年前に、ピアノトリオで、こちらの記念館で演奏をさせていただきました。また、松本は夏期学校でも訪れているので、懐かしくもあり特別な場所です」というお話をいただきました。

 アンコールで演奏されるドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」の曲名を告げられた後、「3ヵ月前に、この曲の収録があったのですが、子どもの頃に、スズキ・メソードで卒業録音をしたことを思い出しました。終演後、前会長の鈴木裕子先生と記念撮影あの時も、大きなマイクがあり、同じような状況での録音でしたが、昔よりも、先日の録音の方が、緊張しました」とお話しいただき、会場の微笑みを誘っていました。

 あっという間の演奏会でしたが、何とも甘い調べにお客様方もうっとりとなったひとときでした。

鈴木鎮一記念館一部閉館のお知らせ

鈴木鎮一記念館は、耐震改修工事のため2018年10月1日~2019年3月1日までの5ヵ月間、一部館いたします。期間中は一部の部屋や展示物などご覧いただけません。休館日および観覧時間は、通常通りです。記念館コンサートもしばらくお休みとなります。春まで少し、お待ちください。