舞台劇「音にいのちあり〜鈴木鎮一 愛と教育の生涯〜」の
本番さながらの舞台稽古にお邪魔してきました!

 いよいよ、今月9月29日(日)、まつもと市民芸術館主ホールで上演される総合舞台劇「音にいのちあり~鈴木鎮一 愛と教育の生涯~」。足掛け2年にわたり準備が進められた、松本市芸術文化祭60周年、鈴木鎮一先生生誕120周年、没後20周年を記念する話題の特別公演です。8月7日(水)に、主ホールでの舞台稽古があると聞き、マンスリースズキ編集部もお邪魔してきました。写真とともに、その様子をご案内しましょう。

生まれたばかりの鎮一に子守唄を聴かせる母、お良。見守る政吉、お乃婦ら 午後1時半過ぎから始まったこの日の稽古。すでに97回目となる稽古回数もさることながら、台本も第6稿まで版を重ね、舞台配置図なども添えられ、分厚くなっていました。まずは、様々なポイントとなるシーンを抽出。演出・出演を兼ね、大忙しの美咲蘭さんによる役者の皆さんの立ち位置や動作、セリフの言い回しに抑揚のつけ方、芝居のタイミングなど、所作の一つひとつに細やかな注文が続きました。何度も何度も繰り返し、役者さんの体に覚え込ませる舞台づくりは、相当なエネルギーを必要とします。演出部を統括しながら、演技と演出を手掛ける美咲さんのご苦労は並大抵ではないでしょう。広い舞台を縦横に使って、確認作業が続きました。それに約3時間を費やし、ようやく夕食休憩、そして衣装替えです。

政吉が初めてヴァイオリンを手にした瞬間 夏期学校でもおなじみの、まつもと市民芸術館。アトリエなどが役者さんたちの控え室兼衣装替えの部屋になっていて、通路には舞台で使う履物が綺麗に並べられていました。夕食は、ラウンジでワイワイ言いながらの弁当タイム。ユニークなのは、それぞれの家庭で手作りされた様々な副菜が山のように持ち込まれていたことです。さまざまな葛藤もあるであろう舞台づくりの合間に、仲間とともに食事をし、せめてもの潤いをという配慮がうかがえました。

アインシュタイン博士とのエピソードも豊富に用意されていました。衣装やかつらなど、華やかな雰囲気もたっぷり エネルギーがしっかりと注入されたところで、全員が舞台に集合。松本市芸術文化祭実行委員会会長でもある鈴木裕子先生から挨拶がありました。「本番が近づいてきて、みなさんがワクワクした気持ちでお稽古を続けてくださっていて、とっても嬉しく思います。みなさんの演技、そして美咲先生の演出に頭が下がる思いでいます。素敵な舞台になりますことを期待しています」。

留学中の鎮一が日本に向けて手紙を書くシーン。その内容を名古屋で政吉が読むシーンにつながります 美咲さんからは、何を持って舞台のどこに立てばいいのかを待ち時間に上手・下手の演出部から確認をすること、積極的、果敢に挑んでこれまでの稽古の成果を出して欲しいこと、舞台袖で出番待ちの演技者に気安く話しかけないこと、話しかけるのであれば演出部に話しかけること、などの注意がありました。そして「お互いの健闘を祈って」黙祷。早朝から準備を進めてきた長野舞台のスタッフへは拍手のエールが送られました。本番仕様で臨まんとする強い意気込みが、ひしひしと感じられたシーンでした。

客席で「名古屋の子守唄」を打ち合わせされる鈴木裕子先生と石川咲子先生 全体を台本通りに演じる「通し稽古」が始まりました。序章「名古屋の子守唄」。鈴木裕子先生(本番は読売日本交響楽団コンサートマスターでスズキ出身の伝田正秀さん)のヴァイオリン、石川咲子先生のピアノで、鈴木鎮一先生作曲の「名古屋の子守唄」が演奏される中、徳川義親侯爵、江藤俊哉、豊田耕兒、小林武史・健次兄弟、浦川宜也に扮した皆さんが舞台中央の鈴木鎮一のところへ。そのままオーケストラピットの降下とともに、緞帳が上がり、名古屋の鈴木政吉の三味線作りの工房のシーンに移行していきました。オペラを積極的に上演するまつもと市民芸術館ならではの立体的な場面転換は、素敵でした。そして、1月の立ち稽古で拝見した時よりも、役者さんたちの名古屋弁が板につき、しかも台本を手に持つことなく、しっかりとセリフを諳んじていたのが、印象的でした。

 その後、以下のようにシーンが続いていきます。いずれも膨大な資料を読み込まれ、それを脚本づくりに活かしてこられたことがよく分かる内容で、とても盛りだくさんです。鈴木政吉のヴァイオリン作りへの情熱、そして鈴木鎮一の幼児教育へ捧げるエネルギーを豊富なエピソードで綴らんとする制作の皆さんの意気込みが感じられました。

・序章   名古屋の子守唄「良い市民、立派な市民を育てよう」盛り上がる場面です
・第一景  三味線作りの工房ー鈴木政吉の家ー
・第二景  愛知県師範学校の音楽室
・第三景  再び三味線作りの工房ー鈴木政吉の家ー
・第四景  名古屋市の鈴木バイオリン工場
・第五景  東京麻布の徳川義親侯爵邸
・第六景  ベルリンの街 カール=クリングラー教授の家
・第七景  ベルリン アインシュタイン博士の家の演奏会
・第八景  ジング・アカデミー通りのバス停留所
・第九景  ベルリンの大聖堂にてーワルトラウト・プランゲとの結婚式ー
・第十景  帰国ー名古屋へー鈴木政吉の家
・第十一景 長野県木曽福島 鈴木鎮一の家
・第十二景 松本音楽院開設
・第十三景 本郷小学校実験教室
・第十四景 才能教育会館落成式と幼児開発協会
・最終章  音にいのちあり 姿なく生きて
      フィナーレ

客席上手でアンサンブル=セバスチャンが生演奏 場面転換には、角田忠雄音楽監督が作曲された様々な楽曲が、アンサンブル=セバスチャンの皆様による劇伴奏として演奏されていました。ちなみに機関誌のインタビューで、角田音楽監督が推薦される聴きどころは、「ベルリン留学時代に、カール・クリングラー先生に弟子入りする若き日の鈴木先生が、コンチェルトを演奏する場面」とのこと。ご自身のギター演奏も随所にありました。また、「愛に生きる」にも紹介されたモーツァルトのクラリネット五重奏曲の第2楽章が演奏されるシーンもあり、舞台と生演奏のコンビネーションが、聴衆のイマジネーションを劇的に高める効果を感じさせました。

演出部の皆さんのパワーには、頭が下がります 9月になって、さらにお稽古が連日のように続き、沙田神社木遣り保存会の皆さんも素晴らしい舞台に花を添えます本番を迎えられる皆さんの素晴らしい舞台、きっとさらにボルテージが上がってゆくことでしょう。何よりもスズキ・メソードのお膝元、松本市に住む市民の皆さんがこのような舞台を作ってくださったことに心から感謝します。そして、誰一人体調を崩されることなく、本番を迎えていただくことを願っています。

チケット、絶賛発売中です!

9月29日(日)、まつもと市民芸術館主ホールで上演される総合舞台劇「音にいのちあり~鈴木鎮一 愛と教育の生涯~」の公演チケットを発売中です。松本市芸術文化祭60周年記念する話題の特別公演です。昼夜2回公演のみです。お早めにどうぞ。

松本市芸術文化祭60周年記念特別公演
総合舞台劇「音にいのちあり〜鈴木鎮一 愛と教育の生涯~」

日時:2019年9月29日(日)
    昼の部 12:30開演
    夜の部 17:30開演
場所:まつもと市民芸術館主ホール
料金:前売S席:3,000円、A席:2,000円、自由席:1,500円
   (当日券は各500円高)
チケット取り扱い:松本市中央公民館・まつもと市民芸術館・才能教育研究会
出演:成田俊郎 美咲 蘭 劇団ドラマシューレ星座 一般公募市民俳優
特別出演:伝田正秀(ヴァイオリン:読売日本交響楽団コンサートマスター)
     青山 貴(バリトン:二期会会員「IL DEVUメンバー」)
演奏:アンサンブルセバスチャン、石川咲子(才能教育研究会)
指揮:山田哲男
脚本・演出:美咲 蘭  
音楽監督・作・編曲:角田忠雄  
照明音響:長野舞台
演技者へのヴァイオリン指導:鈴木裕子(才能教育研究会)
監修:小松芳郎
制作:松本市芸術文化祭実行委員会
統括:結城賢二郎
お問い合わせ:松本市芸術文化祭実行委員会事務局 tel.0263-32-1132(平日8:30〜17:15)