スズキ・メソード独特の卒業録音提出の季節になりました。
原点に立ち返り、その意義を再確認します。 

才能教育通信 第449号 スズキ・メソードの卒業制度は、ヴァイオリン、ピアノ、チェロ、フルートの各科ごとに、成長にあわせて課題曲を審査する独自のものです。卒業録音は、先生の判断で行なわれます。それぞれの先生と一緒に卒業録音を仕上げていく過程は簡単ではありませんが、録音を終えたときのホッとした気持ちは、一つやり遂げた自信になり、次への意欲作りの源になります。

 1982年11月15日発行の「才能教育通信 第449号」で、この制度の生みの親、鈴木鎮一先生は右のような記事を提示されました。指導される先生方へのお願いの文章です。ここに鈴木先生の卒業録音に対するポリシーがすべて含まれています。

 鈴木先生は、毎年、全国から届く卒業録音のテープを聴くことを大変楽しみにされていました。次のような文章も、かつて機関誌で発表されていました。

「テープを聴くと、不思議なことに、一人ひとりの姿や心が、ハッキリ目の前に浮かんできます。あぁ、君は右の肩がちょっと上がってるな。それを直せば、ずっと楽に弾けるよ。おや、あなたは背中を丸めてるね。背筋をピンと伸ばしてみよう。ホラ、いい音になったでしょう…。こんなふうに”見えた”ことをテープに吹き込んでお返しします。先生方の指導力が1年1年確実にのびていることもテープを聴けば、よくわかります。かわいいみんなや先生にお会いするわけですから、私にとっては本当に楽しみなのです。
 卒業制度は、私たちの教室の大きな特徴です。提出したテープに点数や順位をつけたり、悪いからと叱ったりしません。必ず私が一人ひとりの音を聴き、姿を見、私が認定して証書をお渡しする。その日をめざして、みんな休まず降参せず続ける…それがとても大事だと考えているのです」
 
 現在は、各科ごとに認定された卒業検定委員が手分けして、全国から集まる卒業録音を検定します。毎年10月1日から受付がスタートし、11月末日が提出期限になっています。

 9月以降、早野会長の新体制のもと、この卒業録音の意義が再確認されています。

 受持の先生方には、卒業は「成績の優劣の競争」ではないこと。そして「立派になった生徒だけを卒業させるという制度」ではないこと。「立派にどの子も育つ」ことを後押しする制度であり、それだからこそ、受持の先生の指導力が問われ、卒業録音を出すかどうかの判断が問われるとされています。

 また、同時に検定委員の先生方にも、しっかりと録音を聴いて、それぞれのお子さんなりに努力し、能力が育っているかを見極めていただきたいこと。もし、受持の先生の指導が不十分だと思われたら、生徒さんに再提出を求めるのではなく、「この生徒さんをもっと育ててください」と、受持の先生に忌憚なきコメントをお伝えされることを確認されました。

 このようにスズキ・メソードの重要な柱である卒業制度は、常に鈴木先生の願われたポリシーに沿う形で、今後も続いていきます。

各科別の卒業課程は次の通りです。

ヴァイオリン科卒業課程

ピアノ科卒業課程

チェロ科卒業課程

フルート科卒業課程