4月26日(水)スズキ・メソードのヴァイオリン教育を授業に取り入れている
福岡市の博多高等学校で、早野龍五会長が講演

2年生からは、「先生は現役で東大合格ですか?」などの質問もあり、「はい」の答えに「すごーい」 Facebookで、既報の通り、博多高等学校看護科の1、2年生の皆さんを対象に、早野会長による講演が行なわれました。昨年1年間、スズキの指導者の下で、ヴァイオリンを受講してこられた2年生の生徒さんは、会長と「キラキラ星変奏曲」の共演も実現しました!

 本編となる早野会長の講義は、1年生2クラス向けにそれぞれと、2年生は2クラス向け合同で、計3回行なわれ、共通して次のようなお話がありました。
 「今の時代に生きるみんなが、同じ時間を共有していて、5分後も同じ空間にいます。そのように今という同じ時間を共有しているけれど、昔の人と話をできるのが、歴史や文学や絵画の世界です。これらは一方的に語りかけてくるわけで、音楽も聴いている限りは同じですが、音楽の場合は、演奏をするという能動的な体験を通して、時空を超えて作曲家と対話ができます。だから、音楽を演奏するということは、特別なことなんです。私は、物理の世界に進みましたが、アインシュタインやニュートンが書いた数式が語りかける内容から、彼らの英知を学びました。楽譜も同じです。モーツァルトはこんなことを考えていたのかなというふうに、自分の筋肉や神経を使って表現できます。そのためには、毎日続けることが大切で、何事もやり遂げることが大切です」

 という具合に、スズキや音楽を入口に、時間(時空)を越えた先人との繋がり、そして能動的に「体験」した経験が自身にもたらす力、そしてその力と社会を繋ぐ意味など大きな視点からのお話がありました。未来を担う、若い高校生の皆さんの心に響いたであろう、濃密な時間でした。

博多高等学校で、スズキ・メソードのヴァイオリン教育が
始まった経緯

 博多高等学校を運営する学校法人博多学園の八尋太郎理事長は、かつて中嶋嶺雄会長の講演を聞かれ、鈴木鎮一先生の著作「愛に生きる」にも大きな感動を得られたことをきっかけに、才能教育研究会との交流が生まれました。鈴木裕子会長の時代に、博多学園が運営する7つの幼稚園で、スズキ・メソードでのヴァイオリンレッスンの展開を検討したこともありました。その後、心のケアを学ぶ博多高等学校看護科の生徒さんを対象に、スズキを取り入れることで「感性を育てたい」ということになり、2013年4月に、看護科の1年生を対象にヴァイオリンの授業が正式にカリキュラムに組み込まれました。

 福岡支部ヴァイオリン科の石川洋子先生と中川慎先生で、1年生2クラスをそれぞれ受け持つことで、初年度がスタートしました。1年間実施してみて、「2年生になっても続けたい」という生徒からの反響もあり、結局、2年目からは1年生と2年生に教えることに。スズキ側も北九州支部の小川忠嗣先生にも加わっていただきました。学校側は、80台の鈴木ヴァイオリンを購入し、楽譜も用意しました。ユニークなのは、それだけではありません。「愛に生きる」を、入学時に生徒自らが購入することで、より能動的にスズキ・メソードの真髄に触れるチャンスを作られたのです。

 年間を通して、ヴァイオリン実習の他に、「愛に生きる」を教材とした講義の時間も組み込まれています。繰り返すこと、諦めないこと、そして能力は生まれつきではない、という鈴木先生の文章に、生徒たちは「自分たちの力は、生まれつきだと思っていたけれど、そうではないことがわかりました。これからもがんばりたい」という前向きの感想を得られるように、意識が変わり、育ってきました。

 博多高等学校看護科は、通常では6年かかる課程を5年間で修了し、かつ国家試験100%合格を謳うほどのコースだけに、生徒たちの忙しさは並大抵ではありませんが、ヴァイオリンに取り組む姿も真剣です。2年生になると始まる介護施設など実習先でのクリスマス会で、ヴァイオリン演奏を披露することで、入所者の皆さんから大変喜ばれるなど、生徒たちの能力の幅を広げています。

2017年3月の発表会 毎年3月の発表会では、ヴァイオリンの成果発表があります。今年の3月のプログラムは、以下の通りでした。
■1年生
・キラキラ星変奏曲〜最初と最後を全員で。
  途中のバリエーションはグループごとに演奏
・ちょうちょう
・むすんでひらいて
・アレグロ
・喜びの歌(ベートーヴェン)
・「四季」より「春」の冒頭部分(ヴィヴァルディ)
  〜弾ける調性に転調
■2年生
・メヌエット第1番(バッハ)
・キラキラ星変奏曲〜セカンドパートも入れて、合奏
・カノン(パッヘルベル)〜冒頭部分を2重奏
・威風堂々(エルガー)〜簡単な譜面を作成し、2重奏
というように、学年によって違いを打ち出すことで、それぞれの意欲づくりも行なわれています。

 ということで、博多高等学校でのヴァイオリンを通した人間教育は、今年度も4月からスタートしたところです。今後は、博多学園として小中一貫教育への学校建設も予定されており、「人間教育」を謳う教育方針は、スズキ・メソードの真髄とも相通じるところがあり、展開が楽しみです。

→博多高等学校公式サイト