「どの子も育つ 親次第」
を肝に銘じて、育てるように私自身が変化しました。
親子ともどもの成長を実感しています。

諸岡晴子さん心(こころ)さん親子の場合

 0〜3歳児コースへの参加は、 現在8歳(小学2年生)の心が、2歳6ヵ月の頃でした。たまたま、街の市民会館で行なわれていた発表会を観たことがきっかけとなりました。今の名古屋教室の前身となる春日井教室の発表会でした。

 まだ幼い生徒さんが、舞台袖から背筋を伸ばして、颯爽と歩き、しっかりお辞儀をして堂々と演奏していました。難しい名曲をとても優雅に高い技術力で弾きこなす様子に目を丸くして、大変感動しました。「我が子もこんな風にピアノが弾けるようになるのだろうか?」 「一体どんな教育をしているのだろうか?」興味を持ち、すぐにインターネットで調べました。まずは、春日井教室の体験授業を受けました。知り合いもいなくて、入会を迷っていると、杉本弘子先生が、「ぜひ、お子さんに素晴らしい教育を与えてください。生涯の財産になりますよ」と穏やかに、優しく語りかけてくださいました。この出会い、チャンスは逃してはいけないと思い、2歳の春から1年間受講させていただきました。

10人ほどの生徒に対して、5~6人ものベテランの先生方が丁寧に、指導をしていただき、遠方から通われる親子さんも多く、幼児のうちから高い水準の教育を選んで一緒に学ぶ姿にも刺激を受けました。先生の奏でる生ピアノの美しい音色を全身で体感しながら、子どもたちを飽きさせずに、テンポ良く次から次へ工夫されたカリキュラムが進み、「流石だなぁ」と感嘆しました。親子だけでは、なかなかそうはいきませんから。

 音符を「黒ちゃん」、「白ちゃん」と愛称で呼び、親しむうちに認識させて、音符カード拾いのゲームに娘は夢中でした。名曲に合わせて、色とりどりのリボンや、スカーフをひらひらさせて、くるくる回転し、自由に踊るのもお気に入りでした。使ったリボンは綺麗に巻いてお片付けすることも学びました。

音符カード拾いの一コマ 6月の梅雨の時期はカエルさんになってピョンピョン跳んではねてみたり、夏は海の波を、ざぶんざぶんと大きな布で表現したり、絵本を見ながら蟻さんの歌を歌い、蟻さんになって音楽が止まったら「アメやケーキを食べるまねをしよう」、「触角を指で作ってお友だちと“ごっつんこ”してみよう」と、季節を感じたり、想像力を育む体験は、今でもよく覚えています。お別れの際には、先生方が一人ひとりをぎゅっと強く抱きしめてくださり、笑顔と喜びに溢れ、幸福に満ちた教室は、私たち親子にとって貴重な宝物の時間となりました。

 母親教室では、普段忙しくしている日常から離れ、先生を中心に輪になって我が子の育て方、能力の伸ばし方、練習の仕方、さまざまな心の悩みをさらけ出して、とことん語り合う時間をたっぷり設けていただきました。共感したり、励ましあったり、先生方から貴重なアドバイスをたくさんいただきました。中でも、「綺麗な言葉遣いで子どもに接してくださいね」のお言葉は胸に響き、日頃の言動を反省しました。それによって、日々の生活習慣や、子どもに対する気持ちを改心しながら、初めての子育て、それも2歳のイヤイヤ期を乗り越えていけました。その時の同期仲間は、今でも0~3歳児卒業生コンサートや、夏期学校に一緒に参加して交流が続いています。家族同士のつながりが夏期学校でも継続しています松本では、早朝、松本城を散歩したり、鈴木鎮一記念館を訪れてみたり、アルプス公園でおもいっきり遊んだりと、いい思い出がたくさんあります。

 心は、恥ずかしがり屋でいつも「ママ、ママ」と私の後ろにいて、様子を伺いながら動く、おとなしいタイプでした。身体で表現する動作も中々音楽にのれず、「喉が渇いた」とか、わざと輪から外れ、親がヤキモキして、もう帰ろうかと何度か言ったことがありました。2ヵ月くらいしてから教室や、お友だちにも慣れたのか、自然と興味あるものには積極的に自分から取り組む様子が見られました。お返事も、もじもじしていて、声が出ませんでしたが、回を重ねるうちに自信をもってできるようになっていきました。お友だちの前で一人ずつ俳句を発表する場があったことで、度胸と記憶力が、自然と備わっているのが実感できました。

少し緊張気味でしたが、生演奏の機会を杉本弘子先生からいただきました いろいろな楽器の生演奏を聴く機会にも多く恵まれ、先輩たちの美しい演奏を親子で聴き入りました。心は「あんな綺麗なドレスをきてみたい」と、まずは、ドレスの方に憧れを抱いていたようですが、目の前での生演奏を聴いて、とても良い刺激を受けたことでしょう。かつて憧れていたドレスを着ての生演奏となりましたのちに、卒業生代表になり、2度ほど教室でピアノ演奏をさせていただきましたが、それは、嬉しそうでした。

 自宅では、朝から、入会時に推薦していただいたCD「世紀の巨匠による子と母の名曲アルバム」をかけ流し、日常に音楽がある環境作りをしました。心は音楽に合わせて踊り、コンサートやテレビで同じ曲を見つけると、「知ってる知ってる」と嬉しそうに教えてくれました。小林一茶の俳句は、可愛い絵柄で親しみがわき、「かえるさん、ねこさん」と動物のついたカードを集めてみたり、春夏秋冬に分けてみたり、鈴木鎮一先生の俳句CDをかけて、何度もカルタ取りゲームをして、楽しみながら覚えました。「梅の木の 心静に 青葉かな」では、自分の名前の漢字を見つけて笑ったり、「暑き夜や 子に踏ませたる 足のうら」では、絵のまねをして、私の足のうらを踏んでくれました(笑)。俳句のリズムが心地よく、日本の文化や、四季の美しさを学びました。

 ピアノ科を選んだのは、 自宅に私が幼少の時に使用したピアノがあり、赤ちゃんの時には膝に乗せて、ピアノの音を聴かせていました。成長すると、バンバンと鍵盤をたたいて、音を出して遊ぶようになりました。ピアノ演奏してくれた先輩へ憧れもあり、自然の流れでピアノ科へと進むことになりました。

  心は自分を着飾ることが好きで、いつも髪飾りや、ネックレス、指輪、バックを自分なりにコーディネートして教室へ元気よく出かけて行きました。その様子を微笑みながら、いつも笑顔で「心ちゃん」と名指しで呼んで出迎えてくれたのが、川口稔子先生でした。明るく、朗らかで、優しく、信頼できる先生との出会いで、ピアノレッスンがスタートしました。

  ピアノ科に進んだ最初の頃は、スズキ・メソードの指導をよく理解しておらす、ピアノのレッスンに通っていることに満足して、家での練習は、お出かけして、疲れたからお休みにしたり、家事や仕事を優先してしまい、「聴いているからやってみてねっ」と放置して、自主的に一人でやれないことに私自身が腹を立て、「他の子が弾けるのに、どうしてできないの?」と比較してしまい、心に可哀想で辛い思いをさせて、泣かせてしまったことがありました。その結果、親子にとって楽しいはずのピアノが、一転して苦痛なものとなってしまいました。

 川口稔子先生に相談すると、親子で一緒に学ぶ姿勢の大切さを、他のお母さんの取り組みを例に熱心に説明してくださいました。その方は3人のお子さんがヴァイオリンを習われていて、フルタイムで働かれていますが、毎日、一人に1時間ずつ練習に付き合うそうです。その時間こそが、その子との唯一一緒に時を過ごすかけがえのない時間だからだそうです。

 また、不規則に練習する方が辛くて効果が上がらないこと、短い時間でも朝、昼、晩に分けた練習が効果的なことや、CDを何度も何度も聴くこと。弾けるようになっても反復練習の大切さなど、たくさんのアドバイスを受けました。川口先生には、私の怠惰な気持ちを厳しく諭していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
川口稔子先生のレッスン

 それからは、家事を一旦ストップさせ、時間を決めて、毎日一緒にピアノの前に座ることを習慣づけました。園でならった童謡や、ディズニー映画の曲を歌いながら楽しく始めました。ピアノの発表会や、夏期学校を経験するうちに、難しくて長い曲も何度も何度も練習すれば、弾けるようになる成功体験により、意欲が向上していきました。「次は、この曲を弾きたい」「今度は、この曲を連弾したい」と目標を口にするようになりました。夏期学校で、関東地方の3つ上のお姉さんと一緒に「きらきら星」を連弾したことがよっぽど嬉しく、楽しかったように思います。私にとっても、他のお母さんたちの取り組む姿勢が非常に勉強になりました。

自宅でのレッスン風景です  たとえば、子どもの楽譜を拡大コピーして見やすく準備していたり、母親用にメモをとれるように楽譜をコピーしたノートがあり、必死で先生のお言葉を聞き逃さぬよう書き留めたり、動画に収めたりする様子に、私自身にまったく努力が足りていないことに気づかされました。帰宅して、すぐにまねをして、行動に移すようにしました。

 私のピアノレベルは、とっくに心に追い抜かれてしまいましたが、私も弾ける喜びを味わいたく、親子で奮闘する毎日です。 現在、憧れの「エリーゼのために」を心と一緒に私も練習しております。先日、地元愛知県出身のピアニスト、田村響さんのオールベートーヴェンプログラムのコンサートを鑑賞し、握手とサインをしていただいた上に、心に「がんばってね」と声をかけていただきました。とても刺激になりました。

 川口先生は、レッスン中にできていない箇所、難しいところを何度も繰り返し練習を一緒にしてくれます。最近の心は、先生の注意を理解し、記憶して、家でも反復できるようになってきました。譜面を読むのに必死の私には、本当にありがたく、CDと先生のご指導を頼りに進めています。

 そして先生のレッスンは、基本をとても大事にされていて、毎回の演奏姿勢、お辞儀の仕方、椅子の座り方、指のかたち、力の入れ方、抜き方など、こと細かに丁寧な指導を受けています。基本テクニック、短い曲集、ソルフェージュ、音楽ドリルを指導曲集と併用して、レベルに合わせて進めていただいております。

書き取りがスムーズになってきました実際の書き取りの例です 月に一度、同じ年頃の生徒4人が集まるグループレッスンがあります。ここでは、音の演奏を聴いてそれを、譜面に書き取る練習もしています。最初は難しくて、「できない」と泣いていましたが、書き取りも2年目になり、スムーズにできるようになってきました。書く、読む、たたいたり、歌ったり、普段のレッスンと同時進行することで、音楽がより一層わかりやすく、身近なものとなり、理解が速くなっています。自宅では、自己流で五線ノートに作曲して「タイトルは祭り。弾いてみるね! この曲はおばあちゃんにプレゼントするよ」と張り切っていました。レッスンでの教えが生かされて、幅広く展開していることに喜びを感じます。

 0〜3歳児コースに参加したことで、幼い頃に、実際に美しい音や、言葉を聴き、演奏を目の当たりにして、お友だちと一緒に楽しく過ごした感動体験が今のお稽古の原動力として役に立っていると思います。音楽は理屈抜きに心地よいものと認識され、なんの抵抗もなく楽器の練習に進むことができました。小学校の音楽の授業も楽しくてしょうがないそうです。

  私自身も、いつも先回りをして心配の余りに干渉し過ぎたり、強制して自由な意思や、思考、自主性を奪ってしまってはいなかっただろうかと思い返しました。もっとおおらかな気持ちになり、我が子を信頼して、少し距離を置いて見守っていくことの大切さに気づきました。「どの子も育つ 育て方一つ」正しい教育の仕方を徹底してよい環境におけば、自然と感受性、規律、忍耐力が備わり、自分の力で未来を切り開き、賢く、たくましい子に成長していくメソードと出会えました。まだまだ、勉強が必要です。「親次第」と肝に銘じます。最近は、家族でクラシックコンサートに行く機会も増えました。親子でともに成長して、実りある豊かな人生にしたいと思っています。

0〜3歳児コース名古屋教室