京都で初開催となった「楽器を持って集まろう会」!

 11月26日(日)、スズキ・メソード京都支部の長い歴史を積み重ねて来られた御所南教室で、スズキ・メソードOB・OG会主催の「楽器を持って集まろう会 in 京都」が開催されました。子どもの頃に慣れ親しんだ合奏練習の形式で、ヴァイオリン科指導曲集を中心に遊びましょう、という企画です。マンスリースズキ編集部も参加しました。

 これまで東京で2回、松本、名古屋でそれぞれ開催され、今回は、京都を中心に、大阪、滋賀、名古屋、四日市、東京、神奈川からOB・OG、そして現役の「大人のスズキ」の生徒、見学の先生方3名を含めて、25名の皆さん(ヴァイオリン17名、ヴィオラ4名、チェロ1名)の参加がありました。会場の御所南教室には、ビルの中で迷子にならないように貼り紙が掲示され、温かい雰囲気で迎えてくださいました。

 進行役を担ってくださった関西地区ヴァイオリン科指導者の江村孝哉先生を中心に、初対面のメンバーたちは、思い思いの場所に着席。まずは、木村眞一OB・OG会長のご挨拶がありました。

 「OB・OG会は7年前の2010年に発足しました。小さい頃から楽器を始めた人や大人になって始めた人を含め、直接的に間接的に鈴木鎮一先生の教えを受けた仲間たちです。そこには年齢も様々、立場も異なるメンバーが集まりますが、一点だけ共通するのはスズキ・メソード(才能教育)にお世話になり、その恩返しをしたいという気持ちです。このOB・OG会では、2大行事として、一つは毎年5月に開催しているOB・OG会コンサートがありますが、今年は豊田耕兒先生をお迎えして、テレマンのヴィオラ協奏曲を演奏しました。なんと豊田先生は人前で弾かれるのが40年ぶりとのことで、私たちも大変感激しました。もう一つが、この楽器を持って集まろう会です。押し入れに入っている楽器を久しぶりに持ち出した方もいらっしゃるかもしれませんし、日常的にバリバリ弾いていらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。みんなで1日楽しみたいと思います」

4本のヴァイオリンのためのアンサンブル

 さぁ、いよいよ始まりです。準備運動ならぬ「キラキラ星変奏曲」からスタートしました。いくつになっても、この曲が基礎になっているのは変わりありません。平均年齢の高さ?!を感じさせない、若々しい響きがありました。驚いたのは、教室専属のピアニストならぬ、自動ピアノが伴奏役を務めてくれたことです。フロッピーディスクのデータを読み取る装置が接続してあり、別の教室のも合わせ、2台が常備されていました。調弦のためのA音も出しますし、卒業録音もこの演奏でされるそうで、歴史ある教室の斬新なアイデアに驚きました。

 そして、江村先生が取り出されたのが4本のヴァイオリンのためのアンサンブル譜面でした。スズキ・メソード草創期のメンバーで、今もヴァイオリンリサイタルを開かれる小林武史先生が、かつて京都支部を立ち上げられた故 新井覚先生に「これを使ってごらん」と渡されたものだそうです。ヴァイオリン科指導曲集を第1ヴァイオリンとして、第2、第3、第4のパート譜があり、「ハーモニーが面白いんですよ」とのこと。そこで、第1ヴァイオリン命のメンバーは、そのまま指導曲集を弾くことにし、そのほか3つのパートに分かれ、大初見大会となりました。

 アンサンブル譜面で演奏した4声による「キラキラ星変奏曲」の美しいこと! 下のパートは、演奏していても楽しい楽譜に書かれていて、初見といっても問題ありません。よくできていました。「実は、個人的に考えていることに、SVE48、スズキ・ヴァイオリン・アンサンブル48を結成して、女の子たち48人を集めて結成しようかなと。このアンサンブル曲を弾くんです。それとイケメンの男の子を10名集めて、スズキ10Cellosも作ろうかなと。2Cellosに対抗して。それを早野会長に提案したら、がんばってくださいと言われました」と江村先生。教室の中は拍手喝采。大きな笑みに包まれました。

 続いて、「ちょうちょう」「むすんでひらいて」を演奏。その次の「クリスマスの歌」では、江村先生から「2回目はスルポンで弾きましょう。ちょっと寒々しい感じにしたいので」と提案がありました。スルポンとは、駒よりの場所で弾く奏法の一つで、正式にはスル・ポンティチェロ(sul ponticello)。なかなか難しい注文でしたが、なんとかできました。江村先生曰く「これを子どもたちに言うと、普段やってはいけないことなので、喜んでしますね。ただ、尾を引くことが多く困りますが…」で、またまた大笑い。

 「かすみか雲か」「ロングロングアゴー」「アレグロ」「むきゅうどう」「アレグレット」「楽しい朝」と続き、「メヌエット」に。江村先生から「最近は、メヌエットはバッハの作品ではないという説が多いですね。クリスティアン・ペツォールトの作だと言われているようです。ピアノ科指導曲集では、第3番のメヌエットはペツォールトと表記されています」とお話があって、一同ビックリ。「バッハが弾けるようになった」で喜んでいた時代からすれば、「ペツォールトが弾けるようになった」と言うのでは、ちょっとありがたみが減る感じです。とはいえ、「メヌエットの1番、2番、3番」を演奏。続く「楽しき農夫」では、アーティキュレーションが変更されていることも教わりました。そしてゴセックの「ガヴォット」。これで第1巻が終わりました。

恒例の自己紹介タイムです

 お名前や経歴などを紹介し合う時間です。
 「生まれは京都ですが、滋賀県大津市から来ました。今日は、奈倉民子先生に25年ぶりにお会いでき、とても嬉しいです」(大津・森田直子さん)
 「四日市から来ました。小学6年までの10年間のうち4人の先生に習いました。娘にもスズキでヴァイオリンを学ばせ、今日も一緒に来ました」(四日市・清水優さん)
 「この教室で子どもと一緒に佐々木めぐみ先生にヴァイオリンを習っています」(京都・柏原麗和さん)
 「田中春美先生から声をかけていただき、こわごわと参加しました」(京都・中島円さん)
 「今日は私のかつての生徒がお世話になっていますので、応援に来ました」(京都・奈倉民子先生)
 「名古屋で15年間習っていました。ブランクがありましたが、昨年から大人の生徒としてヴァイオリンとヴィオラを習っています」(名古屋・中村優友さん)
 「子育て奮闘中で大阪から来ました。1週間に1回はヴァイオリンに触ろうと思っていますが、なかなか難しく、今日は久しぶりの合奏練習を楽しみに来ました」(大阪・渡部ほのかさん)
 「3歳からヴァイオリンを習い、今、神戸女学院大学4年です。この教室でメンコンの録音をしました。今日は久しぶりにいろいろな方と演奏できるので楽しいです」(京都・清水円さん)
 「京都市で昭和24年に才能教育に入りました。その時は鈴木鎮一先生が全国を回っていらして、相愛幼稚園での合奏練習で、先生が踊るような指揮をされていたことと、発表会が祇園の弥栄(やさか)会館であったことを覚えています。当時の指導曲集はザラ紙のようでしたので、時代を感じさせます。今日、その頃の曲をこうして合奏スタイルで弾くことができて、初見ながらもこんなに楽しくできるんだと思いました」(京都・松井久子さん)
 「私も昭和24年に長野県伊那市で始めました。小学5年で研究科を卒業して、当時は毎週末に松本の鈴木先生のもとで合奏レッスンと個人レッスンを受けさせていただきました。今の記念館が当時のご自宅で、泊めていただいて教えていただく、という生活を小学校から高校2年まで続けていました。ものすごく贅沢な環境でした。そのおかげもあって、今も演奏活動を続けています」(東京・紿田俊哉さん)
 「今日は、名古屋で一緒だった友人とも会えて、嬉しいです」(東京・清水緋菜子さん)
 「私も昭和24年組で、横浜で育ちました。西欧の音楽に気後れしない日本人を育てたいという気持ちが鈴木先生の中にあった頃だと思います。黎明期で、親が本当によく入会させたものだと思います。全国行脚の鈴木先生をお待ちするのも、大変な騒ぎだったことを覚えています」(横浜・木村眞一さん)
 「今年、ちょうど80歳になりました。昭和22年から増田勇三先生に習い始めましたが、戦後すぐで食べ物がない、楽器もない時代です。大学を出るまでいろいろとお世話になりました。その後、40年間、高度経済成長に合わせてビジネスの一線で定年までヴァイオリンを弾く機会がありませんでしたが、定年後は、東京で若い人たちと一緒にオーケストラを作るなどで、再開しました。音楽のあることは本当に楽しいことです。今日のような機会をまた作ってください」(京都・岡 義剛さん)
 「千里フィルハーモニア・大阪などでヴァイオリンを弾いています。江村先生には、私が5歳の時に泣かされたことがありました(笑い)」(大阪・諏訪博子さん)
 「両親がヴァイオリンを辞めさせなかったことに、今、とても感謝しています。これからも続けていきたいです」(大阪・鈴木志保さん)
 「京都支部に新井先生がいらした時に習い始め、松本で研究生として過ごしたのち、京都支部で指導者を3年しました。その後結婚し、今では娘夫婦が京都支部でヴァイオリン科指導者をしています。今日は母親であり、OGとしてヴィオラで参加させていただきました」(京都・田中春美さん)
 「子ども時代を経て、定年間近からまた先生についてヴァイオリンを習っています。子ども時代と違った感慨がありますね」(東京・服部眞一郎さん)
 「中学の部活でヴィオラを弾き始め、大人になってから個人レッスンを受けています」(東京・服部宏美さん)
など、短いお話の時間でしたが、興味深いひと時でした。

後半は、ドッペルとa-moll

 休憩時間に、自己紹介の時に話題になった黎明期の指導曲集の現物を閲覧したところ、巻頭に豊田耕兒先生の若かりし頃の演奏する写真が、模範として掲載されていました。初めて見る楽譜でしたので、口々に「すごいねぇ、お宝ですね」の声も聞かれたほど。何十年も保管されておられたことに感謝です。

 さて、「ドッペルをやって見ましょう」ということになり、全員で二手に分かれて合奏しました。さすがに皆さん、スラスラ弾かれます。ヴィオラパートもしっかり聴こえてきます。続いて、ヴィヴァルディのa-moll。「11月と12月生まれの方、いますか」と江村先生。ソロを弾いていただく人を選ぼうという作戦でしたが、あいにくと誰もいません。「それでは、1月、2月、3月生まれの方?」すると数名が立ち上がり、皆さんの前に並びました。事前に配布していたオーケストラパートを10数名で演奏し、ソロパートの4人と合わせます。いきなりの合わせですが、昔取った杵柄ですね、こちらもスラスラ行きました。

 江村先生から「そこの中島美子先生クラス出身のお二人は、オケパートの譜面も見ずに弾かれていましたね。すごいです。そういえば、中島先生のグループレッスンは弁当が2食必要でした。朝9時から夜9時までありました。夜の8時くらいになって、中島先生が”それじゃぁ、一通りやって今日は終わりにしましょう”と言って、その日のすべてのプログラムを頭から繰り返していました。本当にすごいです」と思い出が語られました。今年、中島先生は亡くなられたばかりですので、今日の音が中島先生に届くといいなぁと思ったほどです。

 同じスタイルで、ソリストを募って、今度はドッペルです。チェロパートのOGが登場してから、続きをすることにし、気分転換にクイズコーナーが始まりました。江村先生が用意されていたのは、スーパーイントロクイズ・逆回し(リバース)・早回しなど多彩で、どれも超難解でした。特に逆回しは五つ星級の難しさでした。

 アンサンブルに戻って、今度はリュリの「ガヴォット」です。さすがに指導曲集第3巻ともなると、アンサンブルを初見でするのは、少し難しくなりました。それでもなんとか通すことができました。

チェロ奏者、登場!

 遅れて参加のチェリストでOGの小棚木優さんの登場で、弦楽合奏としてヴィヴァルディのa-mollを仕上げることにしました。ピアノ伴奏と違い、弦楽だけのオーケストラができ上がりましたので、響きもだいぶ違います。
 一通り楽しんだ後は、後から参加された皆様の自己紹介パート2です。
 「東京の佐藤明先生のもとで3歳からチェロを学びました。今は、京都でチェロのお仕事をさせていただいています」(京都・小棚木優さん)
 「ヴァイオリン科指導者の宮原です。大阪から来ました」(大阪・宮原正治先生)
 「京都でヴァイオリンを教えています。最初は北九州でヴァイオリンを始め、千葉で習っていました」(京都・佐々木弘明先生)
 「妻です。同じく京都で教えています」(京都・佐々木めぐみ先生)

 その後のドッペルは、新しく加わったメンバーも参加して始まりました。干支によってソリストを選び、ソロとオーケストラに分かれます。結局、前に出てソロを弾くのが6名。ソリストたちはもちろん暗譜、オーケストラパートはほぼ初見ですので、どちらもたいしたものです。このくらいの時間になって、初対面が多かったメンバーたちのアンサンブルも随分とこなれて来ました。合わせどころもしっかり押さえてあり、音楽が生き生きとしてきました。みなさん、合奏が好きなんですね。喜びが溢れているようでした。

 時間がありましたので、江村先生、楽譜袋から探し出されたのが、パッヘルベルの「カノン」でした。東京組は毎年弾いている曲ですのでレパートリーになっています。ヴィオラパートのピツィカートもありました。今日のイベントのエンディングにふさわしい曲でした。

 OB・OG会の紿田俊哉副会長からクロージングの挨拶がありましたが、どうやら懇親会開始までまだ時間がありそうです。そこで木村会長の発案で、小棚木優さんのチェロ独奏で、バッハの無伴奏組曲第1番のプレリュードを鑑賞させていただくことになりました。

 素敵な無伴奏の演奏にしばしうっとり。小棚木さんの演奏は、しなやかな身のこなしの中に楽器を存分に鳴らす巧みさが備わっていました。京都や大阪のオーケストラで演奏活動をしながら、来年8月にはエルガーのチェロ協奏曲を演奏することも決まっているそうで、これからの活動が楽しみです。



京都の夜は長く

 懇親会は、江村先生ご推薦の近くの「YURURI」で今日の成果を肴に打ち上げました。子どもたちのコンサートと違って、OB・OG会の大切な活動に懇親会があります。合奏練習で知り合った者同士で、話も盛り上がりますし、いろいろな思い出話も披露されます。食べて飲んで、再開を期してお開きとなりましたが、この日は、さらに8名が晩秋真っ盛りの京都を満喫しようと、懇親会後に高台寺のライトアップ見学へ繰り出しました。桃山文化を愛でた女性の寺と称されるだけあって、すごい人出。特に臥龍池(がりょうち)に映し出された紅葉は、不思議な光景で、見事でした。

 このような感じで、OB・OG会主催の「楽器を持って集まろう会」京都編は大変充実した1日となりました。参加の皆様、ご協力をいただきました先生方、心から御礼申し上げます。OB・OG会は、今後も「楽器を持って集まろう会」を企画していきます。全国の皆様の参加をお待ちしています。