全国指導者研究会でゲストコンサートと公開レッスンに登場される本会出身のヴァイオリニスト、竹澤恭子さんは、今年、デビュー30周年を迎えられました。パリを拠点に世界中で演奏活動を展開されている恭子さんのコンサートが、東京・名古屋・横浜で開催されます。

 別府アルゲリッチ音楽祭に出演中の竹澤恭子さんから、マンスリースズキのためにメッセージが届きましたので、ご紹介しましょう。

 20周年記念のコンサートを演奏させていただきましてからの10年間、音楽家としての自分の可能性を広げるべく、いろいろなことにチャレンジしてまいりました。それは、アメリカはニューヨークでの長年の拠点を、環境を変え、新たなる刺激を求めるべくヨーロッパへ、フランスはパリに移し、また、より幅広いレパートリーを求めて、大好きな室内楽の音楽祭に日本はもとより、フランス、アメリカ、韓国、香港など機会あらば積極的に参加、また、自分にとっての未体験ゾーンになるオーケストラにもチャレンジすべく、小澤征爾先生のお招きにより、水戸室内楽団やサイトウキネンオーケストラにも挑みました。これらの経験は、新しい発見に溢れ、確実に自分にとって新たな一面を加えてくれたのではと思います。

 東京公演では、「ラ・フォリア」もプログラムに加えました。この曲は、私がヴァイオリンを始めましたスズキ・メソードの指導曲集に課題曲として、スズキ・メソードの創始者である鈴木鎮一先生が編集されておりまして、5歳くらいだったかと思いますが、勉強した曲でありました。

 幼い私にとっては、もともとイベリア半島の舞曲だったというこの曲のテーマが、荘厳で威厳のある音楽に感じられ、バリエーションとしていろいろな形で表現されていくこの曲は、チャレンジでしたがとても好きな曲でした。

 そして、2017年のことですが、スズキ・メソードから、鈴木先生の愛弟子でもあられた豊田耕兒先生がヴァイオリンとヴィオラに編曲された版があるということを知らされましたことをきっかけに、再びこの曲と出会うこととなりました。豊田先生はヴィオラも演奏されますことから、このアレンジメントを考えられたことと思いますが、ヴァイオリンとヴィオラへのアレンジメントはとても珍しいと思います。この曲のテーマは、イタリアで大流行し多くの作曲家が手がけたということですが、それぞれのバリエーションがヴァイオリンとヴィオラによってどのように絡み合い、展開し、盛り上げていくのか、弦楽器同士の響き合いなども合わせてお聴きいただけましたらと思います。

 名古屋での公演では、チャレンジを続けてきた経験が存分に生かせるよう、パリを中心に活躍しました作曲家のラヴェル、フランク、イザイなどの作品、そして、クライスラーの愛すべき小品など、バラエティ豊かなプログラムとさせていただき、皆さまと自分の歩んで来た道を辿り、私の音楽を感じていただけましたらと思っております。 

 この30年の節目を新たなスタートラインとし、挑戦していきたいことへの実現に向け、一歩一歩大切に歩んでいきたい、たくさんのことを吸収できる柔らかな心を持ち続けていきたい、そして、皆さまの心に響くような音楽の高みへ少しでも近づけますように、、、、。

6月13日(水)19:00開演 サントリーホール ブルーローズ
デビュー30周年記念 竹澤恭子の室内楽

出演:竹澤恭子(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、横坂源(チェロ)、サントリーホール室内楽アカデミー選抜アンサンブル、弦楽四重奏:アミクス弦楽四重奏団(第1ヴァイオリン:宮川奈々 第2ヴァイオリン:宮本有里 ヴィオラ:山本周 チェロ:松本亜優)、サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェロー(ヴァイオリン:内野佑佳子 ヴィオラ:川上拓人)
入場料 指定:4,500円、指定早割:3,500円、サイドビュー:3,000円、学生:1,000円
曲目
・コレッリ(鈴木鎮一、豊田耕兒編曲):ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 作品5-12「ラ・フォリア」
・ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
・ベートーヴェン:『大フーガ』変ロ長調 作品133
・メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲第2番 変ロ長調 作品87

【問】サントリーホール tel.0570-55-0017
→インタビュー記事

6月22日(金)18:45開演 三井住友海上しらかわホール(名古屋)
デビュー30周年記念 竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタル

出演:竹澤恭子(ヴァイオリン)、児玉桃(ピアノ)
入場料 S席:5,000円、A席:4,000円(全席指定)
※未就学児のご入場はお断りいたします。

曲目
イザイ:ポエム・エレジアーク(悲劇的な詩)
・ブロッホ:ニーグン
・ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
・クライスラー:スペイン舞曲
・クライスラー:愛の悲しみ
ドヴォルザーク=クライスラー:スラヴ幻想曲
・フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

【問】テレビ愛知事業部 tel.052-243-8600(月~金 10時~17時 ただし祝日は除く)
→公演サイト

6月23日(土)17:00開演 フィリアホール(横浜)
竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタル

出演:竹澤恭子(ヴァイオリン)、児玉桃(ピアノ)
入場料 S席:5,000円、A席:4,000円、学生:2,000円(全席指定)
※未就学児のご入場はお断りいたします。

曲目
イザイ:ポエム・エレジアーク(悲劇的な詩)
・ブロッホ:ニーグン
・ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
・クライスラー:スペイン舞曲
・クライスラー:愛の悲しみ
ドヴォルザーク=クライスラー:スラヴ幻想曲
・フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

【問】フィリアホールチケットセンター tel.045-982-9999(11:00-18:00)
→公演サイト