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OB・OG会第10回記念コンサートで共演!

 2017年5月14日(日)、第22回アンサンブル・フェスティバルとスズキ・メソードOB・OG会第10回記念コンサートが国立オリンピック記念青少年総合センター大ホールで開催されました。

 2010年に発足したスズキ・メソードOB・OG会。1年に2回、演奏することもありましたので、7年目の今年に第10回となる記念のコンサートの開催となりました。今回は才能教育研究会名誉会長の豊田耕兒先生がソリスト、ということもあって、大阪からはヴァイオリン科指導者の曽田義嗣先生も参加されましたし、会場にも指導者の姿がいつも以上に多く、関心の高さをうかがわせました。

 前半のスズキの子どもたちによるアンサンブル・フェステバルに続き、OB・OG会の演奏曲は、
・パッヘルベル:カノン
テレマン:ヴィオラ協奏曲ト長調(ヴィオラソロ 豊田耕兒先生)
・フルートオブリガートと弦楽のアンサンブル
    狩人の合唱
    ゴセックのガヴォット
    習作
    楽しい朝
    アレグロ
というプログラム。

 豊田先生が指揮をされる姿は、夏期学校や全国指導者研究会でおなじみでしたが、独奏されるのは、ご本人曰く「40年ぶりのこと!」だそうです。OB・OG会としては大変光栄な、まさに第10回記念にふさわしいプログラムになりました。

全国指導者研究会で指導をされる豊田先生 ここで、豊田先生のプロフィールを紹介しておきましょう。
幼少より鈴木鎮一先生に師事。1952年、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。同音楽院ヴァイオリン科を1年で卒業後、ジョルジュ・エネスコ、アルテュール・グリュミオーに師事。ハリエット・コーヘン財団よりバッハ賞(ロンドン)受賞。ロン・ティボー(パリ)、ジュネーヴ(スイス)、エリザベート王妃国際音楽コンクール(ブリュッセル)入賞。ライン室内楽団第一コンサートマスターを3年、ベルリン放送交響楽団の第一コンサートマスターを17年間、ベルリン国立芸術大学ヴァイオリン科教授を21年間勤める。その間、ベルリン市よりカンマー・ヴィルトゥオーゾの称号を受ける。グリュミオー弦楽四重奏団メンバー、ベルギー・ヴァロニー夏期国際アカデミーのヴァイオリン講師を務める。草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルを創立、初代音楽監督を10年間、また群馬交響楽団の音楽監督を6年間引き受ける。ドイツ・ミヒャエルシュタインおよびデュッセルドルフの夏期講習のヴァイオリン講師を歴任。1999年より国際スズキ・メソード音楽院校長、才能教育研究会会長および芸術監督を歴任。現在、国際スズキ協会会長および才能教育研究会名誉会長。

 テレマンのヴィオラ協奏曲は、ト長調の大変明るい、そしてヴィオラ特有の憂いも感じさせる佳品です。アメリカの出版社から出版されているスズキ・メソード ヴィオラ指導曲集の第4巻に収録されています。ヴィヴァルディのa-mollのように、スズキ・メソードでヴィオラを学ぶ生徒さんたちが、必ず演奏する曲ということになります。今回は、2004年に豊田先生自らが作られたオリジナルのカデンツァでの演奏となりました。

 当日までの2回の練習でも、当日朝のステージリハーサルでも感じられた、豊田先生のお人柄を表すようなヴィオラの温かな音色に、参加したメンバーは誰もがうっとりとしたものです。さらに本番では、ソロにかぶるトゥッティの音量を極力抑えるなど、バランスにも最大限注力し、豊田先生の伸びやかな独奏を際立たせることを目指しました。その結果、大変好評で、たくさんの拍手をいただきました。次のような嬉しい感想からも、この日の演奏の様子がお分かりになるでしょう。

・豊田先生の貴重なソロをライブで聴くチャンスをいただけて、私も娘も大満足させていただきました。松本でのレッスンの時に少し弾いてくださるその音が、ホールでも響いていて、胸が一杯になりました。鈴木先生のおっしゃる「音はその人の心」ということがようやく腑に落ちた感じです。美しい音はたくさんありますし、どれが良いとかいうのはわかりませんが、娘にもいつかどなたかの胸が一杯になるような音が出せる人に育ってもらいたいものだと思っています。もちろんアドバイスいただいたことを鍛錬していくことは重要な課題ではありますが。豊田先生のお姿はいろいろな意味で人生の先輩としてのお手本でした。

・豊田先生のテレマン演奏のアナウンスの後、会場の中は、静寂と緊張感に包まれました。演奏が始まると、先生のレッスンを受けていた頃が思い出され、私の周囲も豊田先生にお世話になった先生方ばかりで、皆、感極まってしまい、涙、涙。特に、第3楽章が、一番、先生の美しく品のある音が、際立っていたと思いました。昔、松本の才能教育音楽学校の研究生の時に、ヴィヴァルディのgモール全楽章をドイツから一時帰国されて、伴奏したことがありました。私の緊張感は相当でしたが、演奏終了後に、いちばん前の方が、涙を流されて豊田先生に拍手をされている光景を思い出しました。いつの時代でも豊田先生の演奏は、心の奥深く届き、聴衆が感涙するのだと、改めて実感しました。

・豊田先生のテレマンをぜひ聴きたくて、仕事を抜けさせていただきました。OB・OGオケのみなさまが豊田先生の音を一音たりとも聴き逃すまいと集中し、先生の音楽に寄り添うアンサンブルをされている様子、その空気が伝染したかのような客席の緊張感と温かい心(この2つがこのように両立することを初めて知りました)に満たされた大きなホールの中に身を置き、豊田先生の魂が込められた音を聴く幸せ。テレマンのハートを受け取って、ハーモニーとともに変化していく音色、音楽の流れ、呼吸、エネルギー。。終わってしばらく、私も仲間たちも言葉を失っていました。素晴らしい音楽を本当にありがとうございました。老若男女一緒に楽しめるのが音楽なのだと改めて感じました。出逢えた奇跡に心より感謝します。


豊田先生と指揮の金森圭司さん。金森さんは打ち上げの席で、豊田先生からN響の前身の尾高尚忠指揮新交響楽団でコンチェルトを弾かれた話や、マゼール指揮ベルリン放送響でコンマスを務めておられた話など貴重なエピソードをたくさん伺われたそうです 本番後の豊田先生を囲んでの打ち上げで、豊田先生からは「最初はお断りしたのですが、OB・OG会に何も奉仕ができていなかったことに気づき、それで出演させていただくことにしました。自信はなかったのですが、これも神様の思し召しと考えました。3回の練習で、だんだんと皆様と和めてきて、それが感じられて、本番につながりました。皆さんに感謝しています。これからも皆さんがこの会をサポートしてくださることを期待しています」との嬉しいお言葉をいただきました。

挨拶をされたのち、演奏にも飛び入り参加された早野会長 この日、アンサンブル・フェスティバルの冒頭からすべてを会場で聴かれた早野龍五会長もヴィヴァルディのアーモールからは、ステージでヴァイオリンを弾かれました。そして、ご挨拶もいただきました。
「今日は、第1部のアンサンブル・フェスティバルも、第2部のOB・OG会のコンサートもすべて聴かせていただきました。豊田先生のお孫さんも第1部に登場されておられ、親子3代で音楽を楽しむ姿を嬉しく思いました。先ごろ、才能教育研究会70周年記念事業の一環として、スズキ・メソード出身のOB・OGたちのその後を調べる機会がありました。多くの方が大学や大学院へと進み、音楽大学にも進んでいらっしゃいました。今日、一緒に演奏した子どもたちも、この素晴らしい先輩たちを見習って、鈴木先生の願われた『立派な良き市民』になってくださることを、願っております。そして、そのお子さんも、お孫さんもスズキで育っていただくことを期待しています」

最後は、フルートのオブリガート演奏付きで、子どもたちとOB・OGの共演で「キラキラ星変奏曲」 最後に第3部として、前半のアンサンブル・フェステバルに出演したスズキの子どもたちと、OB・OGたちの共演で、ヴィヴァルディの協奏曲イ短調(アーモール)第1楽章と鈴木先生のキラキラ星変奏曲を演奏。次の世代への懸け橋になることを願っての交流風景は、スズキ・メソードならではの姿となりました。ちなみにヴィオラでキラキラ星変奏曲のメロディを弾かれた豊田先生、ヴァイオリンにはない、ハイポジションで演奏されていました。

 会場のお客様からの声もいくつか紹介しましょう。

打ち上げ会場で挨拶をされる豊田先生。これからもOB・OG会をご支援してくださるとのお言葉に一同大感激でした・豊田先生の演奏を聴くことができ、大変嬉しく思います。また、フルートもいいですね。
・豊田先生の音楽、そして音の一つひとつがとても気に入りました。
・合奏を楽しんでいらっしゃる今の姿がいいと思いました。今、習っている子どもたちも、大人になっても楽しめるとわかってもらえたらいいですね。
・OB・OGの方々がこうして集まって、皆さんで音楽を楽しんでやっていらっしゃる姿に感動しました。
・今後も続けてください。
・お疲れ様でした。体験したことのない感動でした。
・才能豊かな人材と独自性を感じます。これからの未来への継承も頼もしく感じられました。もっと広く、アピールされてもいいように思います。メッセージ性が必要かもしれません。
・幅広い年齢層での演奏は、とても心に響きました。フルートのオブリガートが入ったことで、さらに音が綺麗になり、良かったと思います。
・子どもたちの励みになり、OB・OGの皆さんの演奏は良いと思います。いつまでも続けて、皆さんを癒して欲しいです。