毎回、フォトジェニックな写真も楽しみな渡辺玲子さん ヴァイオリン科出身で世界的に活躍される渡辺玲子さんに、また新たな1ページが追加されました。それが、TOKYO FMグループの衛星デジタル音楽放送局「ミュージックバード」のクラシック専用チャンネル「THE CLASSIC」の番組パーソナリティです。現在、使用される名器グァルネリ・デル・ジェスを弾きながら、名曲に隠されたヒミツをヴァイオリニストの渡辺玲子さんの目線から読み解くこの番組。定評ある「語る力」も楽しめますので、ぜひお聴きになってみてください。

 番組には、「渡辺玲子の弓語り」という素敵なタイトルが名づけられています。奏者の想いがさまざまな弓使いによって音として表現されるように、番組では玲子さんの想いを語る相棒という位置づけとしてネーミング。番組の構成の土台になっているのが、玲子さんが2004年より国際教養大学で一般の学生を対象に毎年1学期間、行なって来られた集中講義、2011年より日本音楽財団の協力を得て始められた「青少年のためのレクチャー・コンサート」、そして2015年より白寿ホールで始められた「(大人のための)レクチャー・コンサート」シリーズ、などです。玲子さんご自身、「音楽をより深くとらえるためのヒントとなる情報を提供する番組にしたい」と意気込みを語っていらっしゃいます。

 4月からスタートした内容を玲子さんご自身から、語っていただきましょう。4月27日に行なわれた5月分の収録内容も先取りでご紹介します。

4月放送分
音楽における愛のかたち vol.1  放送日:4月7日、再放送:4月14日
 曲目:
 ・エルガー愛のあいさつ
    (渡辺玲子vn、江口玲p
 ・ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調「春」Op.24 第1楽章
    (イザベル・ファウストvn、アレクサンドル・メルニコフp
 ・グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 Op45 第2楽章
    (フリッツ・クライスラーvn、セルゲイ・ラフマニノフp
 ・バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004「シャコンヌ」 
    (ナタン・ミルシテインvn
 ・ モーツァルトヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364 第2楽章
    (ジョセフ・フックスvn、リリアン・フックスva、パブロ・カザルス指揮/プラド音楽祭オーケストラ)

音楽における愛のかたち vol.2 放送日:4月21日、再放送4月28日
 曲目:
 ・ヤナ―チェクヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第4楽章
     (ワディム・レーピンvn、ニコライ・ルガンスキ―p)
 ・クライスラーウィーン奇想曲Op.2
    (フリッツ・クライスラーvn、カール・ラムソンp)   
 ・R・シュトラウス(プリホダ編)「ばらの騎士」からワルツ
    (渡辺玲子vn、江口玲p)
 ・ラヴェル:ツィガーヌ 
    (渡辺玲子vn、江口玲p
 ・バーンスタインセレナーデ 第5楽章
    (アイザック・スターンvn、レナード・バーンスタイン指揮/シンフォニー・オブ・ジ・エア)

         
 音楽で表現された愛についての特集。第1日は、エルガーが妻アリスへの愛を込めた名作「愛のあいさつ」、自然を愛したベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」、北欧の春の芽ぶきの喜びを音に表したグリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番の第2楽章、バッハが家を留守にしている間に急逝した最初の妻、マリア・バルバラへの追悼の音楽と言われる無伴奏ヴァイオリンのための「シャコンヌ」、モーツァルトがパリ演奏旅行の際に最愛の母を亡くし、その時期に書かれたハ短調の美しい「協奏交響曲」の第2楽章を取り上げました。

「音楽における愛のかたち」の第2回は、チェコの作曲家、ヤナーチェクが第一次世界大戦中に自国への愛国心を音に込めたヴァイオリン・ソナタから第4楽章、名ヴァイオリニスト、クライスラーが奏でる楽都ウィーンへの愛、リヒャルト・シュトラウスも美しき貴族の時代のウィーンをオペラ「ばらの騎士」で描き、古き良き時代への郷愁を音に込めています。ラヴェルはヴァイオリンへの愛情から名曲「ツィガーヌ」を2年の歳月をかけて完成、そして、今年生誕100年のレナード・バーンスタインは、彼の唯一のヴァイオリン協奏曲である「セレナーデ」で愛の様々な形について描写しています。


5月放送分
ヴィヴァルディ「四季」徹底分析 vol.1 放送日:5月5日 再放送:5月12日
曲目:
 ・ヴィヴァルディヴァイオリン協奏曲集「四季」作品8のnos1-4から
    ヴァイオリン協奏曲「春」ホ長調 作品8-1
    ヴァイオリン協奏曲「夏」ト短調 作品8-2
    (トレヴァー・ピノック:指揮・チェンバロ、イングリッシュ・コンサート、サイモン・スタンデイジvn

ヴィヴァルディ「四季」徹底分析 vol.2 放送日:5月19日 再放送:5月26日
曲目:
 ・ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」作品8のnos1-4から      
    ヴァイオリン協奏曲「秋」へ長調 作品8-3
    ヴァイオリン協奏曲「冬」へ短調 作品8-4
    (トレヴァー・ピノック:指揮・チェンバロ、イングリッシュ・コンサート、サイモン・スタンデイジvn)

 300年も前に書かれながら、現在もクラシック音楽の中で断トツの人気と知名度を誇るヴィヴァルディの「四季」。標題音楽の最古の作品とも言われ、各季節を描いた協奏曲には14行のソネットが書き込まれています。ソネットは誰が書いたのか、そしてそこに書かれていることをヴィヴァルディがどのような創意工夫をして音にしたのか。この辺りを、2回にわたって詳細に解き明かしていきます。調性の選び方、特別な和音の存在、その他日本ではあまり知られていない中世ヨーロッパの言い伝えなども引用しながら、ヴィヴァルディがこの作品に込めたドラマやメッセージを詳細に見ていく試みです。2004年に開校した国際教養大学で、毎年一般の学生に教養としての音楽の「聴き方」を英語で講義していますが、その中でも最も重要なトピックとして学生にも人気のある「ヴィヴァルディの四季の徹底分析」。その日本語ラジオ版です。

4時間に及ぶ番組収録を終えた渡辺玲子さん(4月27日) 以上については、収録が終わりました。今後は、順次テーマを決めて、選曲+解説をしていく予定です。秋田のアトリオン音楽ホールで2011年より始めた「青少年のためのレクチャー・コンサート」は、2016年まで6回にわたって毎年アトリオンで行ないました。数年前から日本の他の音楽ホールでも始まり、2017年は北九州響ホールや宇部の渡辺翁記念会館、浦安音楽ホールなどで開催しています。これらのコンサートで行なったプログラムなども土台にしながら、今後の「渡辺玲子の弓語り」の構成に反映させていこうと考えています。

→渡辺玲子さん公式サイト

番組を聴くには?

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