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OBの久石譲さん作曲のコントラバス協奏曲を、同じくOBの石川滋さんが世界初演!

2015.11.05コンサートレビュー

20151029-1.jpg 2015年10月29日(木)に東京芸術劇場コンサートホールで公開収録された日本テレビ「読響シンフォニックライブ」で、ヴァイオリン科出身の作曲家、久石譲さんのコントラバス協奏曲が、ピアノ科出身の読売日本交響楽団ソロ・コントラバス奏者、石川滋さんの独奏で演奏されました。10月初めに完成したばかりのほやほやの新曲。もちろん、この日が世界初演となりました。

 

 皆さんご存知のスタジオジブリの映画音楽や、クラシックコンサートの指揮などで多忙を極める久石さんが、コントラバス協奏曲を作曲されたのは、石川さんがCDリリースされたバッハの無伴奏チェロ組曲第1番~第3番のアルバムを久石さんに送られたことがきっかけでした。それが、2013年。石川さんは2006年から活動のベースとされていたスイスのベルン交響楽団ソロ首席コントラバス奏者から、読響が初めて設けたソロ・コントラバス奏者として、入団された年です。その年の読響は、宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」の音楽録音や、「読響シンフォニックライブ」での「オーケストラストーリーズ・となりのトトロ」「ベートーヴェン:交響曲第7番」の演奏、年末「第九コンサート」で、久石譲さん(指揮)と共演を重ねていた年でもありました。

 

 

20151029-2.jpg 久石さんは石川さんのバッハを聴き、すぐに1枚の葉書を石川さんに送りました。お礼とともに書かれていたのは「グルーブがいいですね」という言葉。「面白いなぁと思いました。グルーブを褒めてくださるクラシックの方って珍しいですから」と語る石川さん。「グルーブは、ジャズで言うリズム感とかノリですね。うねりという感じもあります。僕にジャズのバックグラウンドがあることを、久石さんはおそらくご存知ないと思いますが、『コントラバスと言えばピツィカートでしょ』と曲を書かれる前におっしゃっていました。それで、第2楽章の冒頭であそこまでソロでピツィカートというわけです」

 

 

 事実、その第2楽章の冒頭は、ジャズの雰囲気が東京芸術劇場を包み込みました。読響トップ奏者たちの卓越した独奏を石川さんがピツィカートで魅力的に支える場面も。グルーブ感溢れるジャズセッションの趣きに溢れ、NYのライブシーンを彷彿とさせました。「この曲の譜面を最初に見た時、かっこいい!というのが第一印象でした。次は、弾けるの?これ!(笑)でも、いろいろなメッセージが含まれていて、音楽としてのクォリティがとても高いから、なんとかして弾きたいという気持ちになりました」と語る石川さん。最初に第1楽章のスケッチをいただいたのが8月中旬、そして9月頭に第2楽章、末に第3楽章、10月になって全楽章の完成版を手にされたそうです。タイトなスケジュールの中、「時間を見つけては、音を出し、スコアを読み込んでいました」と語る石川さん。妹でピアノ科指導者の石川咲子先生もオーケストラパートをピアノ伴奏されるなど、アシストされたそうです。「この曲は、コントラバス協奏曲のベストの1曲ですね。ただし、難しさも超一流です」


 

 

20151029-3.jpg 曲全体は、久石さんが得意とするミニマルミュージックの世界。独奏のコントラバスには、フラジオや高度な和音の連続など、高い技巧ととびきりの歌心が求められていましたし、オーケストラパートの難易度も半端ではありません。「読響での再演、再々演、そして録音などの機会があれば、一生をかけてチャレンジしたいし、もっともっと自分のものにしたいですね」と最後に語った石川さんの言葉には、並々ならぬ決意も込められていました。

 

 

 

 「読響シンフォニックライブ」での放送は、2016年1月とのことです。詳しい日程は、番組公式サイトでご案内されます。
 なお、この日、後半に収録された久石譲さん指揮による読響の「カルミナ・ブラーナ」もとても興味深い演奏でした。とくにテノール歌手の高橋淳さんの「はまり役」は見もの! 圧倒されます。こちらの放送は、2015年12月26日(土)午前2時29分~3時29分となります。ご期待ください。
→「読響シンフォニックライブ」公式サイト

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