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関東地区指導者会による新年研究会を開催

 

 新年早々に毎年開催している関東地区指導者会主催による2020年新年研究会が、1月13日(月・祝)、日暮里のホテルラングウッド2Fで開催されました。第1部は、講演と対談、そして第2部ではスズキ・メソード出身の若手演奏家によるゲスト演奏や音楽ビンゴ大会など盛りだくさんな企画で行われました。一貫としたテーマは「スズキ・メソード魂を次世代につなぐ そして未来への子どもたちへ」でした。

 

第1部 研究会 講演と対談 

 第1部に登場されたのは、聖心女子大学文学部教育学科の今川恭子教授。乳幼児期を起点とした音楽的発達と音楽学習に関する研究を中心に、広く保育、学校教育現場から家庭までさまざまなフィールドを対象に研究されています。講演テーマは「音楽的な発達と学習〜乳幼児期から児童期へ」でした。ご自身の子育ての体験なども交えながら、ポイントとなるお話は、①人が音楽をすることの起源と由来 ②人は生まれながらに音楽的か ③音楽的発達感のパラダイムシフトの3点。歴史的に概観しながら、人と音楽の関わりを示されました。中でも赤ちゃんがお腹の中で聴いている音を実際に聴きながら、赤ちゃんが生まれて間もないころから人の声の高さや調子を聴き分け、外界の音にアンテナを広げ、人とのコミュニケーションの学習を開始していることなどをお話いただきました。赤ちゃんは生まれて間もなく、母親のリズムや抑揚などを通して、情動的につながると今川先生は考えておられました。まさに、母語教育につながる部分で、スズキ・メソードの考え方と一致します。
 
 続いて、認知音楽学、音楽教育学が専門で、現在0〜3歳児コース特別講師の村尾忠廣先生にも加わっていただき、今川先生と村尾先生による対談が行なわれました。テーマは「楽器科でも歌ってほしいスズキの歌」。生後5ヵ月くらいになると、母親のピッチ(音の高さ)に赤ちゃんが合わせられる(ピッチマッチできる)ようになり、ピッチが上がれば、それに呼応する動きが見られ、生後9ヵ月くらいになるとかなり寄り添えるようになるそうです。母親と赤ちゃんの象徴的な関係として「いないいない、バァ」の持つ効果についても言及され、今川先生が「いないいない、バァ」を3度繰り返されることで、圧倒的な効果をもたらすサプライズ実演をされる楽しい場面もありました。また、0歳児がクラシック音楽を聴くことの効果について、村尾先生のお孫さんの実例が紹介されました。それは、ヴァイオリンをスズキで習い始めて1年弱のお孫さんが、ザイツのヴァイオリン協奏曲のCDに合わせて、リズムの変化、曲想の変化に応じて、見事に全身を使って表現している姿で、会場の指導者たちも大笑い。音楽だからこそ可能な「早期教育」の意味が、ここにあることが伝わってきました。0〜3歳児コース向けに村尾先生が作られたCDスズキsongsには、スズキ哲学に叶うような、気品と格調のある曲目が選曲された話が紹介されました。中でも、かのエジソンが最初の蓄音機への録音曲として選んだという「メリーさんの羊」に関するエピソードに興味をそそられました。村尾先生は、「ぜひ、皆さんの演奏される楽器でこういう曲を演奏できると素敵ですよね。できれば、さらに歌うことで、より理解を深めてほしい」。今川先生からも「人間の一番最初の楽器が声、という研究があるくらいです。大賛成です」。
 このように、スズキの音楽教育の実践の正しさを楽器だけでなく、親子の人間同士の「歌う」というコミュニケーションとしてふさわしいものを与えていくことについて、改めて考える機会をいただきました。
 
 第1部の締めくくりに登場されたのが、早野龍五会長。新年にふさわしい和装姿でした。冒頭、お稽古についてのエピソードをお話されました。「 鈴木先生は『練習』と言わず、『お稽古』という言葉を使われていました。この言葉は、古くは世阿弥の書いた『風姿花伝』の第1章『年来稽古条々』にあります。そこには、子どもの頃から成長して、青年になって、成人して、歳をとって老人になっていく各々の段階で、どういう稽古をするかという心得が書いてあります。鈴木先生のおっしゃるお稽古と相通じるものがあります。『風姿花伝』の第2章は『物学条々』です。物学は、ものまね、と読みます。これを聞くと、ショックを受ける方も多いでしょう。というのは、今、学校で子どもたちは「真似てはいけない」と教わります。個性や独自性が薦められます。私も研究者ですから、独創性が大切でした。でも、『物学』はスズキ・メソードでは、当たり前の考え方です。子どもが言葉を覚える母語教育は、真似から始まります。楽器も同じです。最初は真似からスタートしますが、次第に各々の個性が育っていきます。「個性が育たないのではないか」と批判される方がいらっしゃいますが、学ぶことは、まず真似ることから始まります。指導者の皆さんも、『物学』ということに、もっと自信を持っていいのではないかと思います。新しい年になり、来年の春にはグランドコンサートの開催も予定しております。今後の発展のために非常に大事な時になりますので、どうぞよろしくお願いします」

第2部 ゲスト演奏とランチパーティ 

 第1部の鳳凰の間での研究会から一変して、第2部は飛翔の間でのゲストコンサートとランチパーティでした。ゲストは、東海地区ピアノ科出身で、現在は東京藝術大学3年生の河尻広之さんと、関東地区ヴァイオリン科出身で、現在は東京音楽大学3年特別特待奨学生の関 朋岳さんのお二人。次の曲を演奏されました。
 
 ・ベートーヴェン:ピアノソナタ第26番変ホ長調Op.81a「告別」
 ・プロコフィエフ:ヴァイオリンソナタ第2番ニ長調Op.94
 
 河尻さんの弾かれたベートーヴェンは、「告別」「不在」「再会」とベートーヴェン自身が名づけた3つの楽章が情感たっぷり、スケール感が大きく、温かな響きに彩られていました。関さんの弾かれたプロコフィエフは、ハイフェッツがよく弾いて人気曲となった作品。ヴァイオリンらしい華やかな技巧が散りばめられた中に、亡命先から社会主義全盛のソヴィエトに帰還するプロコフィエフの心情を吐露したような感情が、
随所に見られ、絵になる演奏スタイル。「ブラボー」の声が、あちこちから届いていました。

 アンコールとして選ばれたのは、ヴァイオリン科指導曲集第2巻から2曲。ブラームスの「ワルツ」とシューマンの「二人のてき弾兵」でした。いずれも小さな生徒さんたちに聴かせてあげたいくらい、立派な演奏でした。若いお二人のこれからの演奏活動が、とても楽しみです。
 
 たっぷりとコンサートの余韻に浸る中、ランチタイム。円卓を囲みながら、指導者同士の交流が続きました。抽選で選ばれた席順ですので、新しい交流がつながる場でもあります。それをさらに加速させるのが、音楽ビンゴ大会でした。普通のビンゴでは、あらかじめ印刷された用紙を使いますが、この日、用意された用紙は、升目があるだけの空白。そこに、欄外に用意された音楽記号(ト音記号や♪、強弱記号など)を一つずつ升目に自分で記入し、ビンゴの用紙を作るというアイデアが採用されていました。ビンゴそのものは、当然盛り上がります。最初の「ビンゴ!」はヴァイオリン科の星めぐみ先生でした。早野会長賞として豪華商品をゲット。満面の笑みが溢れていらっしゃいました。同時の「ビンゴ!」には、ジャンケンで勝敗を決定。

 以上が、研究会と交流を目的とした関東地区の新年研究会の模様でした。