故郷・大府で聖火をつなぐ
〜竹澤恭子先生、アジア競技大会の聖火ランナーに
9月12日(土)、第20回アジア競技大会愛知・名古屋2026の聖火リレーが愛知県大府市で行なわれ、スズキ・メソード特別講師でヴァイオリニストの竹澤恭子先生が聖火ランナーを務めました。
大府市出身の竹澤先生は、3歳からスズキ・メソードでヴァイオリンを学び、現在は世界を舞台に活躍する一方、故郷の「大府市広報大使」も務めています。今回の聖火リレーは、レスリングの強豪としても知られる至学館大学の構内を舞台に開催され、竹澤先生をはじめ、パラ陸上選手の久野竜太朗さん、元レスリング女子日本代表の土性沙羅さんらが参加。聖火を次々とつなぎました。
竹澤先生にとって、聖火ランナーはもちろん初めての経験。走る前には「ドキドキ。。。人生初の聖火ランナーをさせていただきます」と心境を明かし、「日頃遅れそうになって爆走する時以外、走ったことのない私ですので、トーチを持ったまま無事走れますか心配です」と、ユーモアを交えながら緊張をFacebookで発信されていました。
今回、改めてこの時の心境を竹澤先生から、
マンスリースズキ宛に寄せていただきましたので、紹介しましょう。
今年の春、「アジア競技大会の聖火ランナーをやりませんか?」という思いがけないお声がけをいただきました。「歩いても大丈夫です!」という言葉に安心して、軽い気持ちでお引き受けしたのですが、街のあちこちで大会のポスターを目にするうちに、4年に一度の「アジアのオリンピック」のような大会であり、しかも今回は故郷・愛知県で、日本では32年ぶりの開催―その大役に、ようやく気づいたのでした。
私はスポーツ観戦こそ好きですが、自分で体を動かすことにはほとんど縁のない生活。ユニフォームや当日のルールが届き、トーチを掲げるポーズまであると知ると、急に現実味が増してきます。「せめてウォーキングくらいしておけばよかった」と思っても、時すでに遅し。当日は、レスリングで知られる大府市の至学館大学へ向かいました。
トーチは約1キロ。距離は100メートルだから大丈夫、と思っていたのですが、実際に持ってみるとズシリと重い。しかも火を灯したまま掲げて走ります。さらに私のコースは、スタートからいきなり上り坂!「嘘でしょ!」という気持ちでした。
ところが、第一走者としてカウントダウンが始まり、沿道の皆さんから声援をいただいた瞬間、不思議と気持ちが切り替わりました。それは、コンサートの本番でステージへ向かう時と同じ感覚。トーチの重さも忘れ、一歩一歩を楽しみながら走ることができました。100メートルは本当にあっという間。無事に次の走者へ聖火をつなぐことができました。
多くの人から人へと受け継がれていく聖火。その灯には、大会を目指して努力を重ねてきた選手たち、そして大会を支えてきた多くの方々の思いが込められているのだと、トーチの重みとともに実感しました。
一つの思いを受け取り、それを次へ、未来へとつないでいく―。そんな貴重な体験から、大きなエネルギーをいただきました。きっと忘れられない100メートルになると思います。
そしてもう一つ。「健康第一!」。これを機会に、少しは体力づくりにも励まなくては、と思っています。
3歳でヴァイオリンを始め、スズキ・メソードで音楽への第一歩を踏み出した竹澤先生。幼い頃から音楽を通して人から人へと思いを伝えてきた先生が、今度は故郷・大府で、アジアへとつながる「火」を次の人へ手渡しました。
音楽も聖火も、一人で完結するものではありません。受け取ったものを大切にし、次の人へとつないでいく……。笑顔でトーチを掲げて走る竹澤先生の姿は、そんな「つなぐ」ことの喜びを、私たちにも伝えてくれました。