小林武史先生を偲んで ― 追悼の辞 ―

 

ミリオンコンサート協会提供

 国際的ヴァイオリニスト 小林武史先生(享年94歳)ご逝去の報に接し、公益社団法人才能教育研究会(スズキ・メソード)は深い悲しみに包まれております。
 
 小林先生は若くして鈴木鎮一先生に師事され、ヴァイオリニストとして国内外の一流オーケストラにてコンサートマスターを務められるなど、ソリストとしても世界各地で数多くの演奏活動を展開されました。その傍ら、スズキ・メソードの精神を体現する教育者として、長年にわたり子どもたちの育成に尽力され、大きな功績を残されました。また、南米の社会的音楽教育プロジェクト「エル・システマ」にいち早く注目され、その理念とスズキ・メソードとの共通性を見出し、国際的な音楽教育の連携にも尽力されました。音楽を通じて人を育てるという先生の信念は、国や文化の垣根を越えて今なお多くの人々に受け継がれております。
 

鈴木先生を中心に、右が小林武史さん、
左が弟の健次さん

 公益社団法人才能教育研究会におきましても、理事として教育・運営の中枢を担われ、本会の発展に多大なるご貢献を賜りました。先生のあたたかなご指導と情熱は、多くの生徒や保護者の心に深く刻まれ、全国の指導者にも大きな影響を与えてこられました。これらのご功績は、スズキ・メソードが掲げる「音楽を通じた人間教育」の理念を体現するものであり、その精神は今もなお、多くの人々の中に息づいております。

 ここに、小林武史先生のご生前のご功績に深く敬意を表し、心より感謝申し上げますとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

2025年5月30日 公益社団法人才能教育研究会

 かつて、スズキ・メソードの季刊誌で連載された記事の一つをご紹介しましょう。スズキ・メソードに対する思いなども書かれています。出典は、季刊誌「才能教育」No.42(1977年秋号)です。