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豊田耕兒先生によるマスタークラスコンサートを開催しました。

 1月26日(日)、才能教育会館ホールで豊田耕兒先生によるマスタークラスコンサートが開催されました。「一生を通じて常に新しいことに気づき、その研究につやす時間は惜しまない」という豊田先生の願いのもと、スズキ・メソードの指導者たちの日頃の研鑽ぶりが発揮されました。
 コンサート終了後、ステージで豊田先生がおっしゃった言葉にも、豊田先生の願いが込められていました。
 「音楽とは、時間をお祈りに捧げたようなものだと思っています。音楽は神様に伝わっていくのです。本日の演奏曲にも我々の心が清められてゆくようなところがありました。その意味で、聴きにいらしてくださった皆さんが、出演した皆さんを励ましてくださったことは、本当にありがたいことです。他でもなく、これは鈴木鎮一先生のおかげで、そのことを忘れることはできません。こうした体験を通じて、先生方が今度は生徒さんたちに伝えていっていただける、そう信じています。それが大切なことだと思っています。よろしくお願いしますよ」
 
 →当日のプログラム
 それでは、プログラム順に、各先生方からメッセージをいただきましたので、写真とともに紹介しましょう。
 
日程:2020年1月26日(日)開演14:00
会場:才能教育会館ホール
 プログラム
①バッハ:無伴奏ヴィオラのための組曲 第 6 番 ニ長調(原曲チェロ)BWV1012より
 Prélude
 Gavotte Ⅰ+ Gavotte Ⅱ
 Gigue
 野口美緒(ヴィオラ / 関東地区ヴァイオリン科指導者 ・ヴィオラコース指導者)
◉野口美緒先生より

  豊田先生から発表会へのお誘いをいただいた時には、恐れ多くて心が震えました。多くの方のお力添えで鈴木先生のご命日にコンサートが開催され、お客様に聴いていただく機会をいただけた幸せを噛み締めています。そこにはスズキファミリーのあたたかさとエネルギーがありました。この場をお借りして、豊田先生と皆様に心より感謝申し上げます。
 豊田先生のレッスンでは、様々な個性・音色の生徒さんそれぞれにピッタリのアドバイスがなされ、先生の引き出しの多さと音楽的深さ作曲家への想いに心揺さぶられます。鈴木先生の、立派 に育てなければ承知しないというお考えを引き継がれ、常に愛情を持って方法を探していらっしゃるお姿に接し、自分も指導者として一歩でも近づきたいと思えます。
 レッスンを受講することで生徒側の視点も多く得られます。今回は本番の大切さも教えていただきました。人前でどのような音楽表現をするか、そのために必要な準備とは? この試行錯誤を通して、クラスの発表会に毎年臨む生徒さんたちへの敬意も膨らみました。緊張でつぶれそうになったり、届かなかった部分が多々ありつつ、心が響きに直結する感覚や、バッハの遺した音楽が心を揺さぶる瞬間も味わうことができました。先生との信頼関係と仲間の存在、教材の高さがいかに大きな力になるかも実感しました。
 今後、この経験を指導に活かし、生徒さんたちとともに、さらに成長していきたいと思います。
 
②ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品 77 より第1楽章(カデンツァ:クライスラー版)
 花村祐美(ヴァイオリン / 甲信地区ヴァイオリン科指導者)   
 臼井文代(ピアノ科講師) 
◉花村祐美先生より
 マスタークラスコンサートで演奏させていただき、大変感謝しております。
 豊田先生に、ブラームスの協奏曲を演奏しましょうと言われた時、恐れ多い気持ちと、この曲を弾く力が私にあるのだろうかと不安な気持ちになりましたが、先生からいただいた音楽と音色を少しでも伝えられるよう、がんばろうとも思いました。

 当日は、本番前に豊田先生に握られた手からパワーを貰い、ヴァイオリンを演奏できること、大曲を弾けることの幸せを感じながら演奏させていただきました。
 先生のレッスンには、いつも新しいアイデア、技術、音楽や音色との出会いがあります。先生の持つ音楽の宝物をたくさんいただける大変尊い時間です。
 これまで先生のもとでモーツァルト、パガニーニ、ベートーヴェン、バッハなど様々な作曲家の曲を勉強させていただきました。そして、これまでの勉強を総合したものがブラームスでした。常に次の音への指と耳の用意を意識すること、一音ずつ最後まで自分の耳で響きを感じること、音色の変化への気遣い、音楽を誘い出す間の取り方など、先生からたくさんのヒントをいただき、研究しました。大変難しくも新しい発見のある楽しい研究でした。
 私のことを信じて、諦めずレッスンしてくださる豊田耕兒先生、いつも励まし寄り添ってくださる臼井文代先生、アドバイスをしてくださった先生方、当日サポートしてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
 私は一生をかけて音楽を研究し、立派な人間になれるよう努力せねばと思い直しました。
 
③-1 グリーグ:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第 2 番 ト長調 作品 13より第1楽章
③-2 イザイ:子供の夢 変イ長調 作品 14 
 大井真智子(ヴァイオリン / 関東地区ヴァイオリン科指導者)
 臼井文代(ピアノ科講師)
◉大井真智子先生より
 本日の演奏会、会場の皆様の温かいご声援でホールが包まれ、また、たくさんの方が成功をお祈りくださっていましたので、私は大きなエネルギーをいただきました。
 グリーグの2番のソナタは素敵な曲ですが、有名ではないため「この曲の素晴らしさを会場の皆様と共有できたら」と願っていました。しかし、グリーグの冒頭のピアノの旋律が会場に鳴り響き、興奮し過ぎた私は思わぬミスを連発してしまいました。残念な部分は多々ありましたが、何故か弾いている間中、私はこの上ない幸せを感じ「こんなに楽しくていいのだろうか?」と何度も思いました。

 イザイの子守歌を演奏する時は、楽しい現実から少し距離を置いて、夢の世界に浸りながら演奏しました。 鈴木先生のご命日の1月26日に、才能教育会館のホールで演奏させていただくということだけで、恐れ多いことですが、こんなに至福の時を過ごすとは想像もしていませんでした。
 残念な部分に関しては、今後10年の自分の課題です。学ぶべきことがまだまだたくさんありますので、これからも豊田先生のマスタークラスでお勉強させていただきたいと思っております。
 このような貴重な機会をくださった豊田先生に、心から感謝しております。また、演奏会の裏方の大変なお仕事を「ボランティア」として何人もの先生が快くお引き受けくださって、笑顔でサポートくださり、どれだけ勇気をいただいたかわかりません。運営面を担ってくださった理事の黒河内様、サポートスタッフの皆様、事務局の皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 
④サン=サーンス:序奏とロンド ・ カプリチオーゾ イ短調 作品 28
 井上悠子(ヴァイオリン / 甲信地区ヴァイオリン科指導者 ・ヴィオラコース指導者)
 臼井文代(ピアノ科講師) 
 豊田先生のレッスンを音楽院卒業後も時折受講し、厳しい音楽の勉強を続けてこられたのは、先生が20年前から変わらぬペースで、どんなに忙しくお疲れの時も、隔週土曜日にマスタークラスを開催してくださっているからです。まずそのことに、心から感謝申し上げます。
 卒業してからのレッスンで特に感じるのは、私が先生の元で学んでいることは、音楽や演奏だけのことではなく、人生すべてにおいて活きてくる、戒めであり、道しるべだということです。方向性を決めること、状況を見極めること、自分自身と向き合い、判断すること。これらは私がいま、スズキの指導者としても、音楽でも、子育てでも、真正面から物事に向き合えているか、誠実に全力で取り組めているかを問うて来て、音を出すより以前に必要な多くのことを教えてくれます。「音楽が人を育てる」この実践において、私自身が成果を見せられるのだろうかという反省と課題を得る時間が、豊田先生とのレッスンです。
 今回のコンサートの前日には、鈴木鎮一先生の御命日の御ミサとスズキ教育法研究会があり、スズキの先生方の長年絶やさず続けてこられた情熱と、豊富なアイデアの共有をさせていただきました。鈴木先生がいらっしゃる才能教育会館ホールでの演奏は緊張感がありますが、先生方の温かい眼差しに見守られながらのコンサートだったように思います。参加には勇気が要りましたが、演奏できたことはとても光栄なことでした。
 この機会を与えてくださった豊田先生、一緒に弾いてくださった臼井文代先生、裏方を回して支えてくださった皆さま、互いに励まし合った出演者の皆さま、いつも理解を示してくれる生徒、家族、本当にありがとうございました。
 
⑤モーツァルト:ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのためのディヴェルティメント変ホ長調 K.563より第1、2、6楽章
 小西麻紀子(ヴァイオリン / 関東地区ヴァイオリン科指導者)
 山口梨恵(ヴィオラ / 北陸越地区ヴァイオリン科指導者 ・ヴィオラコース指導者) 
 外山賀野(チェロ / 賛助出演)
◉小西麻紀子先生より
 国際スズキ・メソード音楽院を卒業後は、指導の傍ら自分自身の勉強や仲間との室内楽の勉強を豊田先生にご指導受けながら続けていました。けれど結婚出産を機に指導はもとより弾くことからもすっかり遠のく生活が何年も続き、目の前にあるもの(子育て)に精一杯になり、落ち着いたらまた豊田先生のもとで勉強したいと願いながらも、いつしか自分のことは封印するようになっていました。今思えば、それはすべて言い訳です。
 今回、豊田先生からこのコンサートのお話をいただいた時は、飛び上がるほど嬉しく、ありがたい気持ちと同時に、今の現状ではあまりにも非現実的で、果たしてそこに辿り着けるのだろうかと相当悩み、久しぶりに自分と向き合った時間となりました。

 私の決意を受け、家族総動員で協力体制をとってくれたおかげで、久しぶりに豊田先生のレッスンを受けに行くことができ、先生の素晴らしい音楽、お人柄、大きくて深い愛情を全身で感じることのできた本当に幸せな時間でした。
 鈴木先生の御命日でもあった1月26日のこのコンサートで、モーツァルトの曲を演奏させていただき、音楽の素晴らしさ、生きる喜び、音楽ができる喜び、この上ない幸せ、そして、すべてに感謝する気持ちが溢れてとまりませんでした。
 このような貴重な機会を与えてくださった豊田先生に心より感謝申し上げます。
 コンサート当日は、音楽院時代の先輩後輩方の献身的なサポートがあり、舞台袖では笑顔で温かく送り出していただき、ふと自分の卒業演奏会の時を思い出したりもしました。これぞスズキファミリー、自分もその一員でいられる幸せを噛みしめました。
 コンサート後の懇親会では、このようないろいろな想いがこみ上げ、ひと言スピーチでは感極まって涙が溢れてしまい、うまく話せませんでしたが、このコンサートのおかげで自分の存在意義を再認識でき、生き返ったような気持ちです。
 改めて鈴木先生と豊田先生へ心からの感謝と、両先生の仰るように、一生かけて勉強し、精進していきたいと強く感じました。
 
◉山口梨恵先生より
 昨年1月、鈴木鎮一先生とワルトラウト夫人の追悼ミサの中で、光栄にもモーツァルトのディヴェルティメントK.563 第2楽章を演奏する機会をいただきました。
 それ以来、この曲を豊田先生のもとできちんと勉強したいと強く願っておりましたので、仲間が揃って再びご指導いただける運びとなった時には胸が震えるようでした。

 レッスンでは、先生のお言葉やお姿からモーツァルトの神髄を感じ、この上なく幸せな時間でした。
 本番では自分の未熟さを思い知りましたが、仲間の支えのおかげで3人で作り上げてきた成果を出すことができました。このような機会をいただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
 私にとって仲間とともに室内楽を演奏できることは人生の中で大きな喜びであり、それは豊田先生にご指導いただけたからこそ得られた賜物だと思っております。
 演奏会の最後に豊田先生が「音楽はお祈りを捧げる時間」とお話しくださいました。
 改めて、今までご指導いただけたこと、そして豊田先生を通して鈴木先生のご意思を受け継ぐことができたことに深い感謝と感動がこみ上げてきました。この気持ちを胸に、これからも音を磨き、研鑽を重ね、子どもたちのために指導に励んでまいりたいと思います。
 最後になってしまいましたが、コンサートを実現するにあたり、お世話になった先生方、本部事務局の皆様、すべての方に心から感謝を申し上げます。
 
◉賛助出演の外山賀野さんより
 今回このような機会をいただたことに感謝いたします。
 豊田耕児先生のマスタークラスでは貴重なアドバイスをたくさんいただき、そこで新しく見えた課題をこなしていくことがとても楽しかったです。

 演奏させていただいたモーツァルトのディヴェルティメントK.563は一人で練習していても感動することばかりでしたが、本番中はこの上ない幸せな気持ちでいっぱいでした。
 今この作品に出会えたことに感謝しながら、またいつか演奏できることを楽しみにしたいと思います。
 そしてわたしは2歳頃からスズキ・メソードでお世話になっておりました。まさか今日までチェロを弾いているとは想像すらしていませんでしたが、幼少期のスズキ・メソードでの思い出は私の財産です。
 今回先生方の温かさを改めて感じ、幼少期から見守り導いてくださっていたのだと、この場をお借りして、感謝申し上げます。