スズキ・メソード出身の若きチェリストたちによるリサイタル公演!
ご期待ください!

 チェロ科出身の若きチェリストたちの快進撃が続く中、チェロ科特別講師の林 峰男先生とチェロ科の先生方が実行委員会を作り、2020年に3回のチェロ・リサイタルシリーズを展開することになりました。

 プログラムと日程は、チラシにある通りです。

スズキ・メソード出身の若きチェリストたち リサイタルシリーズ2020

Vol.1 水野優也チェロリサイタル
 2020年2月11日(火・祝)19:00開演
 ・R.シュトラウス:チェロ・ソナタ へ長調 Op.6
 ・ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
  ほか

Vol.2 香月麗チェロリサイタル
 2020年3月7日(土)19:00開演
 ・ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 Op.19
 ・ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 Op.69
  ほか

Vol.3 森田啓佑チェロリサイタル
 2020年8月8日(土)19:00開演
 ・ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
 ・デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフェ
  ほか

会場:東京オペラシティリサイタルホール
ピアノ:諸田由里子
入場料 一般:3,000円、学生:2,000円(全席自由)
 曲目は変更になる場合があります。
 未就学児のご入場はご遠慮ください。
主催:才能教育研究会チェロ科
後援:公益社団法人才能教育研究会
チケット販売:東京オペラシティチケットセンター tel.03-5353-9999(月曜定休)
お問い合わせ:リサイタルシリーズ2020実行委員会
       メール
       tel.080-1113-8255 

2020年3月7日に演奏される
故久保田顕先生クラス出身の香月麗さんにお話を伺いました。

香月麗さん・今回、林 峰男先生とスズキ・メソードチェロ科の企画として、3人のリサイタルシリーズが展開されることになりましたが、お話をいただき、どんな気持ちでいらっしゃいますか。

→ 今でも初めて林峰男先生にお会いしたときのことは、はっきりと覚えています。ポッパーのガヴォットをご指導いただいて、2005年に神戸で開催された「第3回1000人のチェロ・コンサート」で弾かせていただきました。このリサイタルシリーズの3回目に出演される森田啓佑さんもその同じコンサートに出演していて、なんかすごい子だなと思ったことも、楽屋で一緒にはしゃいだことも、よく覚えています。
 私は3歳からスズキ・メソードでチェロを始めました。兄が先にヴァイオリンを習っていて、私も気づいた時にはチェロを持っていました。その時の様子からしたら、このような演奏の機会をいただけるようになるとは、私も両親もびっくり、天国の久保田顕先生も驚かれていることでしょう。チェロを弾く楽しさや憧れを持たせてくださった先生方、教室の先輩方、友だち。小さい時からコンサートを聴きに連れて行ってくれた両親。今は音楽を学ぶ道に進み、素晴らしい共演者と一緒に弾かせてもらえることがあるのですが、演奏する時のワクワクする気持ちは、もしかしたら小さかった時と変わらないかもしれません。チェロを弾いて音楽を聴いてワクワクする気持ちを小さい時に感じていなかったら、きっと今まで続けられてなかったと思うのです。
 リサイタルでは林先生はじめ、今までお世話になったすべての方に感謝の気持ちを込めて演奏させていただきます。

この9月から師事されているローザンヌ高等音楽院のフィリップ先生からのレッスンは、どんなレッスンなのでしょうか。できれば具体的なところを教えてください。

→ 毎回のレッスンで、エチュードとバッハの無伴奏組曲、コンチェルトかソナタをセットにして持っていきます。私が一度弾き終えると、大体先生も一度通して弾いてくださるのですが、先生の音は弾き始めから最後まで、目には見えない筋の入った、言葉で表すとそんなチェロです。
 現在は先生からの提案でショスタコーヴィチのコンチェルト1番を勉強しています。先生はパリで学んだ後、ロストロポーヴィチのもとで学ばれていました。ショスタコーヴィチがロストロポーヴィチに助言をもらいながら作曲したチェロコンチェルト2曲は、ロストロポーヴィチに献呈されたものなので、ショスタコーヴィチが書いたことに私たちが付け足す(テンポを場面場面の気分で変えたり、休符を長めにとったりする)ことはすべきでなく、楽譜に書いてあることが彼の求めた音楽だということを先生は伝えてくださるのですが、それはもう確信的でストレートな証言です。

ロームミュージックフレンズのサイトには、「スイスの自然の中で勉強することで、自分と向き合う時間を多く作ろうと思います。ヨーロッパ中に溢れる芸術を吸収しにも出かけたいです」とメッセージを寄せておられますが、どんな時間を現在、過ごされていますか? ヨーロッパで感動されたエピソードなどをいくつかご紹介いただければと思います。

麗さんが通われるローザンヌ高等音楽院の練習室からの眺め 山々に囲まれたスイス、シオンの地はとても居心地が良いです。特に最近は近くの山々に雪が被ったり、朝霧が出ていたり、自然の変化を毎日楽しんでいます。山を目の前に歩くというのは気持ちが良いですし、気持ちが上向きます。
 3ヵ月経った今は生活にも少し慣れ、そういう時にふと思い浮かぶことは「日本らしさ」や「日本とは」ということです。友だちと話したり、授業を受けたり、また文章を読んだ時など。すごくショックだったことは、民族的な音楽の話になった時に、日本の音楽を歌うことでも弾くことでも音階や特徴を言うのでも何でもいいのに、私はパッと思い浮かばず、えっと…となってしまったことです。自分から聴く音楽はクラシックがほとんどですが、自分の内の深いところには日本の曲を聴くと血が騒ぐものがあるはずで、そういうものをもっと大切にしなくてはいけないなと思いました。留学する前は考えもしなかった視点からものが見えて、いろんな考えが巡っています。

・プログラムには、ラフマニノフやベートーヴェンのソナタをあげられましたが、どんなイメージをそれぞれに抱かれていますか?

→ どちらの曲も子どもの頃、車で移動している時に母がかけてくれていた、いつか弾きたいと憧れていた曲です。小さい頃から聴いていますが、曲のイメージはどんどん変わっていきます。特にラフマニノフのソナタは、前よりも色や感情をいろいろ想像できるようになりました。ラフマニノフは非常に曲の持つ味が濃くて、どこをとっても魅力的、気持ちを揺さぶられる曲で、私はいつもこの曲を聴く時、4楽章に入って終わってしまうのがわかると、ああ、終わらないで!永遠に続いて欲しい‼︎と思ってしまいます。(笑)
 ベートーヴェンの3番のソナタは名曲中の名曲なので、みなさまのイメージがそれぞれあると思いますが、やっぱり素敵な曲だ!と思っていただけるようにしないと、と心構えしています。
 どちらの曲も初めて取り組む曲で、曲から私がたくさんのことを教えてもらっています。この2曲の他には、チャイコフスキーのペッツォカプリチオーソの演奏も予定しています。