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白百合幼稚園が創立40周年! おめでとうございます。

 松本市郊外にある才能教育学園・白百合幼稚園は、1979年12月に認可を受け、1980年4月より幼稚園としての活動を始めました。したがって、この12月で創立40周年ということになります。かつて、松本市本郷小学校の教師でおられた田中茂樹先生が、鈴木鎮一先生と行なわれた才能教育による実験教室を、舞台を変え、スズキ・メソードの理念を実践しようと開かれたのが、この白百合幼稚園でした。したがって、幼稚園の正式名称は、「才能教育学園・白百合幼稚園」ということになります。その設立の思いは、園長として在任された20数年間続き、田中先生のライフワークにもなりました。

 「より良い環境の中で、より良い指導を受けることにより、どの子も、もともと備わっている才能を十分に発揮することができる」というスズキ・メソードの理念が、園の教育方針の骨格。強制的に教え込んだり、小学校の先取りをする教育ではなく、豊かな人間性を育む教育が、実践されています。

大変充実した40周年記念誌が制作されました。皆さんの思いが凝縮しています 最大の特色は、3〜5歳児が一緒に生活する「縦割り編成」です。歌を歌う時も、制作をする時も、お昼を食べる時も、日々の生活の中で、年上の子が年下の子の手助けをし、年下の子は年上の子のすることを真似して覚え、育つことになります。さらに、年長児と年少児が「ペアさん」と呼ばれる2人1組のペアとなり、年長児に責任を持たせる仕組みもあります。年中児は、その様子を1年間見て、次の年に備えます。

 12月1日(日)、白百合幼稚園の創立40周年記念行事が開催されました。午前中に幼稚園の体育館で行なわれた記念式典、さらに午後にザ・ブライトガーデンで開催された記念祝賀会の様子を速報でお知らせします。

創立40周年記念式典

 この日の松本は、抜けるような青空。園庭から遠くの北アルプスの稜線がくっきり見えるほどの快晴に恵まれました。午前10時より、記念式典が始まりました。会場の体育館には、園児の皆さんやご父兄、来賓の皆様、現職員、旧職員が一堂に介し、青木知子副園長の司会で記念式典が始まりました。

 まず、鈴木裕子園長先生から、ご挨拶がありました。「『どの子も育つ、育て方ひとつ』の鈴木鎮一先生の教育理念に、初代園長の田中茂樹園長が感激され、白百合幼稚園が誕生しました。この幼稚園を創られた田中先生に心から感謝しております。思いやりの心、優しい心を子どもたちが育んでいかれるよう、子どもたちと真摯に向かい合いながら、子どもたちの笑顔や元気な声に囲まれて毎日過ごせる幸せを感じているところです。これからもがんばってまいりますので、ご支援をどうぞよろしくお願いします」。

 降旗千鶴実行委員長のご挨拶の後、来賓の皆様からも多くの祝辞をいただきました。
 まずは、公益社団法人才能教育研究会の早野龍五会長。
 「創立40周年、おめでとうございます。鈴木鎮一先生は、音楽家を育てることよりも、立派な社会人を育てることを目的として、スズキ・メソードを始められました。幼児教育がいかに大事か、という情熱を持って活動をされたわけですが、その鈴木先生の思いが実った一つが、この白百合幼稚園でした。今でこそ、幼児教育がいかに大事であるかを国も認識するようになりました。幼稚園で読み書きの力をつけることよりも、こうした場所できちんと座っていられること、みんなと一緒に集団生活がおくれること、約束を守ることなど、人としての基本的な部分を就学前に育てることがいかに大事であるか、鈴木先生はとてもよくわかっておられました。そのことがこの白百合幼稚園で園長先生以下、職員の皆様に大切に引き継がれて、こうして静かに園児の皆さんが座って聞いていることを嬉しく思います。そして、さらに次の世代にも継承されることを願っています」

 続いて、スズキ・メソード幼児教育研究会会長で、双葉ヶ丘幼稚園(大分県中津市)の土居孝信園長。
 「1983年に田中茂樹先生のもとに全国の幼稚園関係者が集まり、鈴木鎮一先生の理念を勉強し合う研究会が始まりました。それが、スズキ・メソード幼児教育連合会で、2004年まで続けられました。その後、2014年に白百合幼稚園の江口純弘園長を初代会長にスズキ・メソード幼児教育研究会として、再結成され、その後、私が第2代会長になり今日に至っております。この40年間を振り返りますと、昭和の時代は、先進的な幼稚園教育が求められる時期でした。平成の時代は、幼児教育の世界は決して平静ではなく、少子高齢化の中、新制度も生まれました。そして令和の時代になり、この10月から幼児教育の無償化がスタートし、社会資本としての幼児教育が期待されるようになりました。鈴木鎮一先生の1番の心の伝道者であります鈴木裕子園長先生を迎えられたことは、我々も心強く思っております。幼児教育界のトップリーダーとして、白百合幼稚園のさらなる発展を願っております」

 続いて、来賓の長野県私立幼稚園・認定こども園協会中信エリア長の高山知佳様、旧職員を代表して古屋美和様のご挨拶が続き、そのほかの来賓の皆様のご紹介もありました。永年勤続表彰では、40年、16年、12年勤続の4人の先生方が表彰されました。

 また、40周年を記念して、5つある保育室のピアノがすべて新しくなったこと、体育館の床を夏休みのうちに張り替え、ピカピカになったこと、200冊以上の絵本が図書室に入ったこと、新しい遊具やおもちゃも追加されたことなどが、発表されました。

 園児さん全員によるお祝いの言葉は、とても元気いっぱい、溌剌とできました。そして、ディズニー映画で知られるシャーマン兄弟が作曲した「こどもの世界」をのびのびと歌っていました。最後は、白百合幼稚園の園歌(田中茂樹作詞・舘石惟雄作曲)を2番までを園児さんが歌い、3番をご父兄の皆さんが二部合唱で歌われていました。

 晴れがましい記念式典は、このような形で終わりました。

創立40周年記念祝賀会

 午後からは、レセプションハウスとして知られるザ・ブライトガーデンに移動し、白百合幼稚園創立40周年記念祝賀会が行なわれました。

 最初に鈴木裕子園長先生からのご挨拶がありました。
 「40年という時を、白百合幼稚園がつつがなく過ごすことができ、発展できますこと、皆様のおかげでございます。これからもどうぞよろしくお願いします」

 続いて、来賓のご祝辞をいただきました。まず、公益社団法人才能教育研究会名誉会長の豊田耕兒先生です。
 「今日は、白百合幼稚園の40歳のお祝いをしに来ました。私自身が鈴木鎮一先生にお世話になるために松本に来ましたのが1950年近くなってからです。その頃、鈴木先生の間近で鈴木先生のなさることを隅から隅まで見聞してきました。そして、ご存知の通り、田中茂樹先生は、この幼稚園を創設される前に浅間の本郷小学校で、鈴木先生の願われた『学校での才能教育』を3年間にわたり実践してくださった方です。私が理事、園長を経験させていただく中で、一つだけ実施したことが、音楽を正課として組み入れることができたことです。今では、年少の園児たちも、聴くことを大切にされているまでになり、私たちがヨーロッパから受け継いだ音楽が根付きつつあることを嬉しく思います。才能教育という名前のつく幼稚園ですから、ぜひとも才能教育を代表する幼稚園として活動を続けていただければと願っています。教育の場で新しい一歩を築かれたこの幼稚園は、世界に一つしかない幼稚園です。それを皆さんで伸ばして行って欲しいと思っています」

 続いて、第2代園長として7年間務められた江口純弘元園長からご祝辞をいただきました。
 「田中先生から園長の職を引き継いだ時に、白百合幼稚園は定員120名でした。それが任期中に150名になり、少しは田中先生に恩返しができたのではないかと思っています。才能教育学園の看板は、鈴木先生と田中先生が今でいうところのスズキ・メソードを世に問うために掲げたものでした。それが今では、『非認知能力』という言葉が公の場でよく聞かれるようになりました。一昨年、スズキ・メソード幼児教育研究会の夏期研修会で、早野龍五先生から、その言葉の意味を伺い、参考書を4冊紹介していただきました。早速、東京に戻り、調布図書館で借りようと思いましたら、いずれも数ヵ月先まで貸し出し中とのことでした。そのくらい皆さんの関心が集まったのだろうと思います。鈴木先生が唱えたお考えが、後世の人々から証明されていることが、何よりも嬉しいことです。今後も白百合幼稚園が高い評価を得て、ますます発展していくことを切に願っております」

 そして、長年、白百合幼稚園の活動に功績のありました旧理事・監事への表彰ののち、祝賀演奏がありました。奏者は、スズキ・メソード甲信地区ヴァイオリン科指導者の井上悠子先生。演奏曲目は、クライスラーが作曲し、イザイに贈ったという「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース Op.6」。ピアノ伴奏なしの無伴奏の響きがとても心地よい調べとなりました。レチタティーヴォの華やかな技巧に彩られた深遠な世界、一転して後半のスケルツォ・カプリースで、リズミカルで明るい未来を示唆するような軽快さを、井上先生のヴァイオリンは見事に表現していました。万雷の拍手の後、サプライズがありました。舞台袖から鈴木裕子園長先生がヴァイオリンを持って登場され、今度はお二人で、ドヴォルザーク作曲・クライスラー編曲のよく知られた「ユーモレスク」を合奏してくださったのです。井上先生によれば、「白百合幼稚園の下校の曲が、ユーモレスクなんです」とのこと。なるほど、粋な選曲でした。鈴木鎮一先生の演奏を彷彿とさせる演奏に、大きな拍手が寄せられたのは、言うまでもありません。

 上條医院の上條順子院長による乾杯の音頭ののち、祝宴がスタート。お祝いのスピーチが続きました。また、来賓の皆様、旧職員の皆様からも短いお話をいただき、終始和やかな雰囲気の中で、祝賀会が進行していきました。

 降旗千鶴実行委員長によるお礼のご挨拶の後、最後は学校法人未来学舎理事長で白百合幼稚園の青山織人理事による万歳三唱で締め括り。令和の時代にさらに発展する白百合幼稚園の未来が、ますます楽しみに思える一日となりました。