ピアノ科卒業式と卒業演奏会

 
 今年のピアノ科卒業式と卒業演奏会は、4年ぶりに全国各地の会場で対面開催されることになりました。各会場では、早野龍五会長ご臨席のもと、各卒業科代表生徒と研究科B卒業生への証書授与式と各卒業科代表生徒による記念演奏会が開催されます。
 
 また、4月下旬に予定しているオンライン配信では、卒業生の投稿写真によるオンライン式典と各会場で収録された卒業代表演奏をお届けします。
 

2023ピアノ科卒業式・卒業演奏会 オンライン配信スケジュール
日程 時間帯 地区名 会場
3月10日(日) 12:30〜 第48回東海、北陸越 東海市芸術劇場大ホール
3月20日(水・祝) 13:00〜 第53回甲信 才能教育会館ホール
3月27日(水) 13:00〜 第53回関西、中国・四国、九州、沖縄 東大阪市文化創造館大ホール
3月30日(土) 13:00〜 第54回関東、北海道・東北 なかのZEROホール
 

3月20日(日)東海市立芸術劇場大ホール

東海、北陸越地区
 
 第48回目を迎えた、東海、北陸越ピアノ科卒業式が、名古屋駅から電車で約20分の名鉄太田川駅に隣接する東海市芸術劇場大ホールにて行なわれました。
 
 新型コロナウイルスの感染法上の分類が、5類に引き下げられてから10ヵ月ほど経ったことで、今年度は5年ぶりの卒業生の舞台登壇と、名前の読み上げを復活させることにいたしました。例年になく早い開催日と慣れない会場でしたが、何とか準備も間に合い、本番を迎えることができました。
 

 いよいよ、今年も1部のコンチェルトで開幕です。モーツァルトのピアノ協奏曲 第26番ニ長調K.537の全楽章を、3人のソリストがオーケストラと共演しました。様々な楽器の音色を聴き、一緒に音楽を作り上げていくこの演奏経験が、かけがえのないものになったことと思います。

 続いては、何度行なっても緊張する式典の始まりです。今年は今までと方法を変えて各科別に登壇し、一人ずつ名前の読み上げ後、各科証書代表生徒や、研究科Bの一人ひとりには、早野龍五会長から証書を授与していただき、ご祝辞を賜りました。

 また、大きな目標である、お互いの音を聴き、心を合わせて演奏するモーツァルトのコンチェルトを演奏し、卒業した才能教育課程の卒業生は、保護者とともに登壇し、代表生徒の「お礼の言葉」の後、感謝の意を込めてご家族の皆様にお花をお贈りしました。毎年見る光景ではありますが、本人とご家族が共通の目標に向かってここまで来た姿に、思いやりやいたわりの気持ちがあっての結果だと、私たちも温かいものを感じて、感慨深いものでした。

 才能教育課程卒業生徒の「お礼の言葉」をご紹介します。
 

 僕は兄や姉がピアノを習っていた影響でピアノが好きになり、ピアノを始めました。
 普段のレッスンに加え、俳句の練習、教室のお友だちとのソルフェージュ、夏期学校で全国から来た友だちと音を合わせたり、様々な先生からレッスンを受けたりしたことも、とても良い思い出です。
 また、卒業式で3台のピアノでのソナチネの演奏は、合わせるのがとても難しかったですが、ピッタリ合ったときの音の広がりがとても気持ちよく、すごく良い経験になりました。
 中学に進んで勉強や部活動、生徒会活動などで忙しくなり、ピアノを練習する時間を作るのがより難しくなりました。しかしそれでもピアノを弾くのは楽しく、むしろその楽しさを再確認することができました。ただただ楽しく弾いていた小さい頃とは違い、今は意欲的に曲を感じながら弾くことができるようになりました。これからも一つひとつの曲に丁寧に向き合い、もっと素晴らしい音色が出せるようにがんばっていきたいと思います。
 今回、才能教育課程を無事に卒業することができたのは、今まで関わってくださった、たくさんの先生方、いっしょに習ってきた友だち、絶えず協力してくれた家族、そしてこんな僕を、丁寧に愛をもって指導してくださった林美和子先生のおかげです。
 本当にありがとうございました。そしてこれからも、変わらぬご指導よろしくお願いします。

 

 
最後は、第2部の卒業演奏です。
 今年は、課題曲と自由曲を、2台の斉奏とソロで演奏しました。
 息を合わせ、お互いの音を聴くことが必要な2台斉奏や、緊張の中で堂々と演奏したソロ、いずれも皆さん集中した演奏で、今年も無事卒業式を終えることができました。指導者をはじめ、多くの方々のご協力に感謝しております。また、来年も同じ会場での開催となりますが、多くの卒業生にお会いできることを願っております。

東海、北陸越ピアノ科卒業式実行委員
三浦記代

3月20日(水・祝)才能教育会館ホール

甲信地区

 

 2024年3月20日(水・祝)、第53回甲信地区ピアノ科卒業式が執り行なわれました。朝は雪が積もり、長野県各地から松本へ向かう道中は大変だったようですが、才能教育会館のある松本市は雪予報が一転、卒業生の皆さんの行ないが良かったようで、青空も見えるほどのお天気に恵まれました。
 

  ピアノ科卒業式の幕開けは卒業演奏第1部、ピアノ協奏曲の演奏です。お忙しい中、オーケストラの指揮という大役を成し遂げてくださった臼井紳二先生からのお言葉を紹介させていただきます。


 甲信地区ピアノ科卒業式でのオーケストラ演奏は、正確には覚えていないのですが、いつの頃からか甲信地区指導者オーケストラが担当するようになりました。また、その頃から管楽器は松本室内合奏団の皆様に継続してお世話になっています。指揮は2018年までは豊田耕兒名誉会長が務められ、2019年より僭越ながら私が引き継がせていただきました。2020年も来たるべき本番に向けて準備を進めていましたが、コロナ禍のため中止になってしまい、今回は5年振りのステージとなりました。

 今年は甲信地区の卒業式では初の演奏になるKV.414の第2楽章でスタートし、戴冠式の第1、第3楽章と続きました。ソリストの3人とは10日前のリハーサルでテンポ設定や表現など細かく打合せを行ない、また当日のゲネプロでも最終確認し、本番に備えました。とはいえ、何が起こるかわからないのが本番です。と大事故があったかのように書いていますが、皆さん大変立派に演奏されました。多少のミスはあったものの(指揮にもオケにも…ごめんなさい…)、若さ溢れる活き活きとした素晴らしい演奏でした。演奏後のソリストの皆さんの晴れやかな笑顔が大変印象的でしたし、毎年その笑顔を見るのが好きだったなと思い出しました。このように協奏曲の共演ができるのはスズキだからこそと思いますし、これからも是非継続していけたら嬉しいです。

甲信地区ヴァイオリン科指導者 臼井紳二

 続いて、卒業証書授与式。ステージに緊張気味の卒業生約40名が並びましたが、早野会長から卒業証書が手渡されると笑顔で客席に戻っていく姿が印象的でした。 早野会長からは、お祝いの言葉とともに、ゲストの紹介もありました。ベルギー出身、スズキ・メソードでバイオリンを習っていたというLiesbethさんです。今回、世界旅行の途中でちょうど日本に滞在中だったとのことで、松本まで足を運んでくださいました。会場は彼女への歓迎の温かい拍手に包まれ、世界に広がるスズキ・メソードを実感できるひと時となりました。

 
 卒業生を代表してのお礼の言葉は、松永三識さんが発表されました。
 
 わたしが最も好きな曲は、力強さと勇ましい感じの「トルコ行進曲」です。母も子ども時代にスズキ・メソードでピアノを学んでおり、母が演奏する「トルコ行進曲」を聴いて、自分も弾いてみたい!と思ったのが、わたしがピアノを始めるきっかけでした。
 ピアノの練習は1人で黙々と行なうので、地味で面倒くさいと今でも思っていますが、反面、練習は裏切らず、やれば達成感を感じることもできます。練習嫌いな私が今まで続けてこられたのは、演奏する楽しさや喜びをピアノから学んだからです。

 自分の進むペースは遅い方だったと思いますが、「トルコ行進曲」までついに弾けるようになり、今では毎日楽しく演奏しています。
 スズキ・メソードで学んだことはピアノだけでないと思っています。音楽に親しむ心はきっと今後の人生も豊かにしてくれると信じております。
 本日は、私どものためにこのような盛大な卒業式を開いてくださいました、早野会長、諸先生方、今までピアノを習わせてくれた両親に感謝申し上げます。
 本日は誠にありがとうございました。


 

 松永さんの心のこもったスピーチの後は卒業演奏第2部、ピアノ独奏です。17名一人ひとりがスズキ・メソードらしい立派な音で演奏を披露してくれました。

 最後は早野会長の掛け声で卒業生がステージに集まり記念撮影。また一つ、良い思い出が増えました。

 ご臨席いただきました早野会長、黒河内理事をはじめ、オーケストラの皆さま、お家の方々、先生方、甲信地区ピアノ科卒業式のためにご尽力くださったすべての皆さまに感謝申し上げます。
 
 来年のピアノ科卒業式に向けて、さらに上の卒業課程を目指して日々のお稽古に励んでください。ステップアップされた卒業生の皆さんにお会いできますこと、楽しみにしています。
 

甲信地区ピアノ科委員長
嘉納尚代
 



3月27日(水)東大阪市文化創造館 大ホール

関西、中国・四国、九州、沖縄地区
 
 柔らかな春の日差しの中、「第53回 関西、中国・四国、九州、沖縄地区 ピアノ科卒業式」が3月27日(水)に東大阪市文化創造館大ホールにて開催されました。
 

 卒業式は、モーツァルト作曲「ディヴェルティメントニ長調 K.136 第1楽章」の祝賀演奏で華やかに始まりました。 続いての卒業演奏第1部は、みんなの憧れのコンチェルト。今回は塩谷峰子先生指揮、あすかチェンバーオーケストラとモーツァルト作曲「ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414」を演奏しました。

 
 式典では、キラキラ星変奏曲を録音した生徒が大きな声で返事をした後、各科卒業生代表に、会長代行の西田加奈子業務執行理事より卒業証書が授与されました。客席の卒業生も大きな声で返事をしました。来賓にお迎えした 0〜3歳児コース特別講師の村尾忠廣先生が優しい笑顔で、生徒の緊張をほぐしてくださいました。研究科 Bの証書授与のあと、長年支えてくださったお母様に、一人ひとりお礼の花を贈り、感謝の気持ちを伝えました。

 
 お祝いの言葉として、西田加奈子業務執行理事は、鈴木鎮一先生のお言葉「急がず 休まず 諦めず」を引用され、音楽を楽しみながら立派な人になってください!と心のこもったお話をしてくださいました。
 
 第2部は、前期初等科から研究科Bまでの卒業課題曲を、2台の斉奏、ソロで演奏しました。ホールに響くピアノの音がとても心に沁みました。
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 演奏後は卒業生、指導者、オーケストラメンバーが舞台に上がり、記念の集合写真を撮って、笑顔のうちに卒業式を終えることができました。

関西地区ピアノ科委員長
中村直子


3月30日(土)なかのZEROホール

関東、北海道・東北地区
 

 3月30日、東京では前日に桜の開花宣言が出され、その便りとともに一気に春を感じる暖かい一日となりました。

 会場のなかのZEROホール入り口では、恒例となりました、鈴木先生のお写真が卒業生たちを出迎えてくださいました。
 
 オープニングは、青木博幸先生指揮 関東地区指導者オーケストラの皆さんによる祝賀演奏です。曲は、グリーグ作曲 組曲「ホルベアの時代より」第1,5曲。リズミカルな旋律に心が弾み、これから始まる卒業式を後押ししてくださいました。
 そして、生徒たちが憧れ、目標とするオーケストラとともに演奏するピアノ協奏曲の演奏へと続きます。 曲は、モーツァルト作曲 ピアノ協奏曲 第23番 K.488です。

 オーケストラと一体となった生徒たちの演奏は見事で、何より、袖へ戻ってきた時の顔が生き生きと輝いていたことが印象的でした。
 
 式典では、来場した卒業生全員がステージへ上がり整列、そして各科代表生へ早野龍五会長より卒業証書が授与されました。

 研究科Bの卒業生は、一人ひとりお名前が紹介され、緊張の中にも全課程修了の喜びが感じられました。 そして、早野会長、東誠三先生とともに、鈴木先生のお写真を囲んで写真撮影をし、記念品とともに、大切に残されることとなります。


 第2部は、各科課題曲の演奏です。
 本番2週間前のリハーサルでは、東先生へレッスンをお願いしております。

 先生の熱意ある細部にわたるご指導に、生徒たちの集中力も増し、充実した演奏へと変わっていきました。
 そして本番、全員がさらに立派な演奏を聴かせてくれました。

 「ピアノと仲良くなって、友だちになってください」との東先生からのお祝いの言葉を胸に刻み、また来年の卒業式で、多くの卒業生の皆さんとお会いできることを願います。
 
 最後に、卒業生を代表して述べられた「卒業生のことば」をご紹介します(抜粋)

 私は、3歳からピアノを始めました。
 スズキ・メソードでは他のお教室ではできないような貴重な経験をさせていただきました。
 ピアノを一生懸命努力している仲間に出会い、本番が終わってからも連絡を取り合って、お互いのことを話し、支えあったり、刺激をもらったりすることができる関係を築けたことが、ピアノをがんばっていく上で、とても大きな存在となりました。
 私には一つだけ叶えられなかった夢があります。ピアノを始めた時から才能教育課程でのオーケストラとの共演に憧れていました。ありがたいことに、卒業演奏に選んでいただくことができましたが、新型コロナウィルスの影響で、私の憧れが実現することはありませんでした。とても悔しく悲しかったですが、私は今でも「オーケストラと共演する」という夢を絶対に叶えたいと思っているので、研究科Bを卒業してもピアノを楽しみつつ、自分の力で夢を叶えるチャンス掴めるよう努力したいと思っています。
 どんな時でも私を支えてくれたのは、13年間教えてくださった先生や、見守り続けてくれた家族です。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 多くのスズキ生が、ともに励ましあい、高めあえるたくさんの仲間と出会い、大きな夢や目標をもって、ピアノを楽しみながらがんばっていくことを願って、卒業生代表の言葉とさせていただきます。

 

第54回関東、北海道・東北ピアノ科卒業式
実行委員長 鈴木祐子