2,000人が演奏するグランドコンサートを一生の思い出に
会長 東 誠三
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
2025年は、日本でも世界でも様々な事が起こりました。日本で史上初めての女性の首相が誕生した事は、やはり印象に残る出来事だったでしょう。世界に目を向ければ、更に無数の様々なトピックに溢れていました。残念ながら終息を迎えることのできなかった数々の争乱、叡智の結晶であるノーベル賞授与、オーバーツーリスムに悩む世界中の観光地、太古からの静謐が支配する秘境の数々…。
そして、最も大切であり、最もありふれた私たちひとりひとりの日常があります。その日常そのものが、私たちが携わっている今年創立80周年を迎えるスズキ・メソードの活動なのです。
ヴァイオリン、ピアノ、チェロ、フルート…。西洋で生まれた、という共通点は持ちながら、音の出る仕組みやそこから生み出される音の性質、その楽器でカバーできる表現の範囲、得られる感動の質といったことは、思いの外多様性を持っています。どの楽器も、少しずつ訓練を積んでいくと、やがて少しずつ意のままにそれを操る事ができるようになっていきます。それは、誰もが体験したはずの、しかし遠い忘却の彼方に沈んでしまった、二足直立歩行というスキルを獲得した道のりに似ているのかもしれません。まず、四つん這いから、そして四つん這いでの前進や後退、つかまり立ち、つかまり立ちでの前進、やがて気がついてみると、どこにも掴まることのなく笑顔で立っている、小さな命の姿が…。お子様をお持ちの方は、その瞬間に得られた大きな喜びと感動を鮮明に心に刻んでおられる事でしょう。
立つ事ができても、すぐに転んでしまった日々から、少しずつ前進し、そして小さな足で満面の笑顔と共に精一杯走り出し、そしてまた転び、やがて転ばないのが普通のことになり、物が持てるようになり、その物を持ちながらも歩くことができるようになる…。その先は、適切な訓練を積んでいけば、様々なスポーツの競技で発揮されるような、高度な身体コントロール能力を獲得していくことも夢ではありません。
楽器の習得もこれらの能力獲得に非常に似た点があります。更に、それは音楽という人間が古くから自然発生的に行なってきた表現の形、言葉にならないすべての心の働きを表現するために生まれ、「聴く」という聴覚の機能を使って作り上げる「音楽の音」の世界、そしてそれを感じ取れる「心の世界」との一体化、これを、二足直立歩行を獲得したのと同じようなゆっくりとしたプロセスの中で育てていく試みなのです。
今年も、地球が回っている限り、日々新しい、誰もが未体験の一日一日が訪れることでしょう。その一日一日を生徒さんもご家族も「音を感じる」ことを織り交ぜながらお過ごしになられてみてください。そして、そのような「日々の音の世界」をはるかにバージョンアップした、スズキ・メソードならではの催しである、「グランドコンサート」が東京・お台場の新しく開設されたトヨタ・アリーナ東京で開かれます。
3月27日(金)午後2時開演のこのコンサートでは、スズキ・メソードで音楽を学ぶ2,000人の生徒さんが合奏します。これだけの人数の奏者が、電気を通さない生の音響で音楽を奏でる機会は、全世界的にみても滅多にあることではありません。この稀有な機会をその場で体験されることは、一生の思い出になることが強く予想されます。また楽器調達の制約上人数的に参加に限界があるピアノの方も、是非その場でこの壮大な「音の波」を体験していただければと思っております。
「音楽」のちから、そしてそれを生み出している、人間のパワーを、まさに“肌で”感じられる貴重なチャンスです。お申し込みがまだの方は、ぜひお申し込み、ご来場をご検討ください!またご来場が叶わない方は、この稀有な催しのサポートにお志を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。
2026年が皆様にとって素晴らしい年になりますように、心から祈念しております。