愛知県大府市の愛三文化会館で、2022年12月11日(日)に
「鈴木政吉生誕祭」が開催されました! 

 

 鈴木鎮一先生の父、鈴木政吉の誕生日、12月11日に合わせて開催された「鈴木政吉生誕祭」(主催: 大府市、愛三文化会館、共催:鈴木バイオリン製造株式会社)。既報の通り、12月22日には、大府市とスズキ・メソードの間で「バイオリンによるまちづくりの推進に関する連携協定」が調印されただけに、今後も大府市でのさまざまな活動に目が離せません。当日の様子を、東海地区ヴァイオリン科指導者の野田豊子先生からのレポートをもとに紹介します。

 

スズキの子どもたちがロビーコンサート!

 会場となった愛三文化会館もちの木ホール。開演前のロビーコンサートには、スズキチルドレンが登場。子どもたちの演奏が、「鈴木政吉生誕祭」に花を添えました。演奏曲は以下の通りです。

・ユーモレスク(ドヴォルザーク)
・ブーレ(ヘンデル)
・メヌエット第1番(バッハ)
・アレグレット、楽しい朝(鈴木鎮一)
・アレグロ、無窮動(鈴木鎮一)
・むすんでひらいて、こぎつね、ちょうちょう(外国民謡)
・キラキラ星変奏曲(鈴木鎮一編曲)
 

第1部は、井上さつき先生による記念講演会

 井上さつき先生は「日本のヴァイオリン王〜鈴木政吉の生涯と幻の名器」の著作などで知られ、マンスリースズキにも何度も登場してくださっています。この日は、「発明家 鈴木政吉」をテーマに、戦前に豊田佐吉と並ぶほどの名古屋を代表する発明家として広く知られていた鈴木政吉が、さまざまな機械を発明することでヴァイオリンの大量生産に成功し、海外への楽器の輸出に道を開いたことを、丹念に調べ上げた資料をもとに、お話しされました。お話の中には、ベルリンに留学していた三男の鎮一先生が持ち帰ったクレモナの銘器グァルネリを手本に、高級手工楽器を作るようになる経緯も紹介されていました。
 
 「発明王、鈴木政吉」2つ目の話題は、新しい楽器の開発。それが「鈴琴」という楽器でした。ギターを邦楽、日本の音楽の演奏に適したように改作した楽器でした。さらには、マンドリンと三味線を合体させた「マンドレーラ」という楽器も発明。生涯にわたって親交を続けた徳川義親侯爵の日記には、78歳の政吉が「新発明の三味線を持ってくる」の記述があり、ヴァイオリンづくりの傍ら、かつての家業だった三味線の改良を続けていたというのです。
 
 井上先生は、「それだけではありません」と3つ目の発明についてお話しされました。90年前の昭和5年頃に、名古屋の白壁小学校で子どもたちにヴァイオリンを弾かせる取り組みを政吉が行なっていたというのです。当時、いくつかの小学校でヴァイオリンは課外教育として行なわれていたそうで、まさに時代を先取りする試みでした。政吉は、ヴァイオリンの製作をするための機械を発明し、当時の日本人の感性に合う、新しい楽器を発明し、さらには、子どもたちへのヴァイオリンに触れる機会を作り出す普及活動も試みていたことになります。井上先生は、この日の講演を次の言葉で締めくくりました。
 鈴木政吉の生き方から、私たちが学ぶべきことは、まだまだありそうです。
 生誕祭にふさわしい〆の言葉でした。
 

第2部は、政吉のひ孫、タケカワユキヒデさんのコンサート

 音楽ユニット「ゴダイゴ」で活躍され、「ガンダーラ」や「銀河鉄道999」などのヒット曲で知られるタケカワユキヒデさんが、鈴木政吉の曾孫ということをご存知でしたか?
 そして、お父様の武川寛海(ひろみ)さんが、本会の機関誌に「音楽家のエピソード」を49回(12年間)も連載されておられました(昭和54年頃〜平成3年最終回)。かつて楽しみに読まれた方もいらっしゃると思います。そういうわけで、あのゴダイゴのタケカワさんが、鈴木政吉生誕祭にいらしてくださる話を聞いて、わくわく感いっぱいで、当日を迎えました。
 

演奏曲は、以下の通りです。

鈴木バイオリンを訪れたタケカワユキヒデさん


まずは、タケカワさんのヴォーカルとピアノで4曲。
・いにしえの月
・Monkey magic
・Holy and bright
・Yesterday
 
そして、鈴木バイオリン製のギターを加えて3曲。
・Beautiful Name
・Kathmandu+ネパールの映像
・Thank you baby
 
そしてヴォーカルとピアノで2曲。
・Yellow Center Line
・Happiness
 
最後に、今回のために特別に編曲された曲。ピアノに井上さつき先生、そしてヴァイオリンに小野田祐真・鈴木バイオリン製造株式会社取締役(中島玲子クラス出身)も参加されて、
・Gandhara(ガンダーラ)
 
アンコールは、
銀河鉄道999
でした。
 
 いずれも懐かしい曲が多く、いろいろ思い出されました。指導者を始めた頃、レッスンから帰りに、ひと息つくとテレビの歌番組から「ゴダイゴ」の歌が流れてくるのです。「モンキーマジック」や「ガンダーラ」でした。「ビューティフルネーム」もよくNHK「みんなのうた」で聴いていました。
 今回、「カトマンズ」でネパールの映像が映し出され、「ゴダイゴ」の演奏に熱狂している人々は感動的で、唄の合間のお話も楽しく、貴重なエピソードを話してくださいました。
 そして、盛り上がりも最高潮となったアンコールの「銀河鉄道999」。幅広い年代のお客様たちが、それぞれの年代でタケカワさんの唄を楽しめました。ひ孫のタケカワの演奏を政吉さんはさぞ喜んでいらっしゃったことでしょう。
→タケカワユキヒデさんの公式サイト