本番前リハーサル
本番
チェロ科創設70周年記念 第26回チェロ全国大会を開催!
多くの拍手とエールをいただきました。
スズキ・メソードのチェロ科が生まれて70年を祝う「第26回チェロ全国大会」を桜満開の4月6日(日)、文京シビックホール大ホールで開催しました。当日は、高円宮久子妃殿下ご臨席のもと、900名を越すお客様にご来場いただき、250名におよぶチェロ科生徒とOB・OGの皆様、さらにはヴァイオリン科の生徒も加わり、多彩なプログラムが繰り広げられました。場面ごとにステージのレイアウトが変わる醍醐味は、こうした大きなコンサートならでは。お客様からも毎回、大きな拍手をいただきました。
第1部記念演奏
司会:堤先生が指導曲集のお手本演奏を録音された際に、難しさを感じた曲や印象に残っている曲はございますか?
司会:山本先生は、スズキ・メソードの子どもたちや、成長して音楽の道を選んだスズキの卒業生と関わる中で、「スズキ・メソードらしさ」を感じる事はございますか?
山本先生:スズキ・メソードの子どもたちは、特にコミュニケーション能力が高いというところがありますね。人と関わることがとても自然によくあることだと思います。卒業録音を聴きますと、最近の若い方は本当に指が良く回り、百花繚乱です。僕が今でも苦労する曲を、小学生がなんなく弾いています。楽しみです。
司会:堤先生と山本先生から、スズキ・メソードで学ぶ生徒さんへメッセージをお願いいたします。
堤先生:スズキの子どもたちは、鈴木鎮一先生の教えがすべて自然に美しい音を出すように指導されている中で育っています。山本先生のおっしゃるようにコミュニケーション能力が高いし、世界中どこに行っても「CDを聴きました」と言う方と出会います。池に石を投げた時の広がりのような感じがスズキにはありますね。これからも大切にしてほしいと思います。
山本先生:カザルスがおっしゃった「音楽はやがて世界を救うであろう」を、僕はひたすら信じるしかありません。そうした世界を作っていくのはこれからの子どもたちだと思うからです。そのことを期待しています。
司会:ありがとうございました。
第2部チェロアンサンブル
続くチェロアンサンブルではカザルス作曲の聖歌集より「Nigra Sum」、チェリストでもあったゴルターマン作曲の「レリジオーソ」で厳かに、かつ神秘的で美しい調べを披露しました。この演奏には、現役生徒に混じって、OB・OGたちも全国から参加。チェロ科の宮田豊先生による指揮で、内面からの心をつき動かすような音楽作りに、見事に応える演奏となりました。チェロならではのアンサンブルの美しさ、奥深さを改めて味わい深く聴いた思いがします。
第3部ヴァイオリン科と一緒に
休憩を挟んで舞台には、ヴァイオリン科の子どもたちも並びました。ヴァイオリン科の石戸寛子先生のとてもわかりやすく、かつダイナミックな指揮で、ヴィヴァルディの「協奏曲a-moll」や、シューマンの「二人のてき弾兵」で共演したのち、チェロ科指導曲集第5巻の「ヴィヴァルディのソナタ」を弦楽伴奏版で披露。弦楽オーケストラを後方に従え、ずらりと並んだチェロが第1楽章のLargoをしっとりと歌い上げ、第2楽章のAllegroでは軽快さとともに重低音の響きがホールを包み込みました。
第4部チェロ斉奏
第4部は、佐藤満先生の合図で、60名によるハイドンの「協奏曲ハ長調第1楽章」を皮切りに、佐藤明先生が楽しい練習を展開された指導曲集からの斉奏曲がずらり。子どもたちの大好きなウェブスターの「スケルツォ」の後に、普段あまり演奏されない瀧廉太郎の名曲「荒城の月」がラインナップされたことで、チェロが表現できる範囲の広さに改めて感じ入った子どもたちが多くいました。お客様からもこの緩急の妙は、とても好評でした。さらには、ヴァイオリン科も加わったアンコール曲には、寺田義彦先生が親しくされているアメリカのチェリストRick Mooneyさんが様々な技術レベルのチェリストが一堂に会して楽しめるようにアレンジした「キャベジダウン」を演奏。会場の手拍子も伴って、軽快なフィナーレを飾りました。素敵なピアノ伴奏は、ピアノ科の桃原知子先生です。チェロならではの圧倒的な迫力と驚くほどの音圧が、聴衆を魅了したことは、言うまでもありません。ステージの床もビンビンと響いていたほどです。
生徒の皆さん、お疲れ様でした。
本日はチェロ科創設70周年記念第26回チェロ全国大会、堪能させていただきました。
主賓みたいな感じでご紹介いただいたのですが、座席にいる間はずっと昔の生徒たち3名の母親、そして宮様もチェロ科にいらっしゃいましたので、妻としても長年こうした大会にまいりましたので、なんとなく関係者のつもりで座っておりまして、とても懐かしかったです。
先ほど、何を学んだか、どういうことを学ぶかというお話で、コミュニケーションというお話がございましたが、あと2つ思いつくことがあります。うちの子どもたち、大勢の方の前に立って堂々としてることができるようになりました。
特にうちはヴァイオリンを最初に始めさせて、その後で幼稚園に行った長女が「みんなピアノをやっている」というのでピアノを始め、そして宮様がチェロをお始めになったので「 お父様がチェロをやっているのなら自分たちもやりたい」ということで、チェロもやり出したもので、スズキ・メソードの三科に入っておりまして、母親としては毎日練習させるの結構大変でしたし、うっかり「1回だけやればいい」と言いますと、スピード違反の練習をしてくれるので、結構大変でした。
また、小さい楽器だと調弦するのがすごく難しいので、それも苦労いたしましたが、みんなの前で立つのがとても上手な子になったと思います。
そしてもう一つ学んだ大切なことが、こうやって大勢で一緒にやるということがあるために、お互い合わせる、他の子と合わせるということが上手になったような気がいたします。
音楽は世界中の共通言語と申しますけれども、共通言語はただ聞いているだけではなく、もともとそれは音楽は誰にも心に響くというそっち側から見ている発言ですが、逆からも捉えられます。
共通言語であるからこそ、子どもたちは世界の子どもたちと一緒に演奏することができますし、その音楽を一緒に奏でることによって、先ほどはオーストラリアやスペインがありましたけれども、世界中の子どもたちと一緒に演奏することもできます。
我が家にプロの演奏家の方がいらしたり、また、クラシックのアーティストではなくて、スズキ・メソードをオランダやフランスで、またアメリカで経験し、その後、ポップスやロックの世界に進んだプロのアーティストとも、「キラキラ星」を我が家で小さい頃はよく演奏しておりました。本当に一つの共通言語を手に入れた皆さんが、実際にプロになるかどうか、演奏家になるかどうかは別として、ご自分が手に入れた楽器を演奏するというその共通のスキルは、今後世界で羽ばたいていかれるときにとても役立つと思います。
音楽は世界を結ぶ。今いろいろと不安定な時期になっておりますけれども、今日、とても若い方たち、幼い方たちのパワーを見ながら、力をいただきました。皆様とともに今日楽しめたことをありがたく思っております。
最後に、演奏してくれた皆さん、毎日一生懸命がんばっていらっしゃるご父兄の皆様、保護者の皆様と祖父母の皆様、そして今日企画するのに、コロナ後初めてのこういう大会ですので企画するのにがんばってくださいました先生方、関係者の皆様に心より御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
素敵なお言葉で、この日のチェロ全国大会は終演となりました。またの機会を楽しみに待ちたいと思います。今月号のマンスリースズキでは、出演者たちのみなさまから、ご感想を寄せていただきました。ぜひご覧ください。
→出演者感想
→当日のプログラム冊子