シリーズコンサート「無伴奏の世界」にヴィオラの川本嘉子さんが登場!

 

  ヴァイオリン科出身で、ヴィオリストとして絶大な人気の川本嘉子さんによる「無伴奏の世界」が、9月18日(木)、浜離宮朝日ホールで開催されます。
 チラシに第4回とあるのは、主催されるミリオンコンサート協会によるシリーズコンサートだからです。
・第1回 大友肇さん(チェロ)
・第2回 荒井英治さん(ヴァイオリン)
・第3回 幣隆太朗(コントラバス)
と続き、今回、ヴィオラの川本嘉子さんということになります。ところで、このチラシの表面、何やら周りに文字が施されています。がんばって読み取ってみてください。
 
 ミリオンコンサート協会の第1回の時のプレスリリース見てみましょう。
「混沌とした時代を生きる今、たった一人の人間が奏でるバッハの限りない音楽宇宙に耳を傾けてみては如何でしょうか。今こそ、バッハを。」というメッセージが添えられています。ここから、“孤独”かつ“普遍的”なバッハ作品を通して、聴き手が内なる世界と対話する機会を提供しようという、主催者側の明確な企図が読み取れます。
 
 「無伴奏」でのコンサートでは、2時間という時間をたった一人で楽曲に対峙することになります。アイコンタクトを取り、息を合わせる共演者もいない中で、楽器の本質と力を深く引き出す作業は、想像以上の音楽的挑戦になるでしょう。ステージは、無伴奏という“究極の純粋表現”を通じて、演奏者本人と聴き手の心が直に響き合う体験を創る場になるのかもしれません。チェロにしても、ヴァイオリンにしても、コントラバスにしても、そして今回のヴィオラにしても、その深層にある音や可能性を個別に探求し、提示するわけですから、弾き手も聴き手も、その興奮はさぞかし、と推測できるところです。
 
 その上、今回の川本嘉子さんのプログラムでは、バッハの無伴奏チェロ組曲の第1番、第2番、第6番のヴィオラ編曲版の3曲を核に、現代作曲家の作品を自然にかつ大胆に挿入し、ヴィオラ本来の音色と表現の幅を最大限に引き出す構成の妙が見て取れます。
 
 西村朗:《鳥の歌による幻想曲》のタイトルの「鳥の歌」は、カタルーニャ民謡として知られる「El cant dels ocells(鳥の歌)」を指します。カザルスが平和と祈りの象徴として世界に広めた旋律でよく知られていますね。悲しみと慰めを帯びたメロディで有名です。
 
 ヘンデル:ヴィオラ独奏のための《私を泣かせてください》(細川俊夫編曲)では、重音で響く有名なメロディをフィーチャーしながら、この曲が持つ「柔らかさと鋭さ」「人間的な泣き」と「超越的な祈り」の両面を川本さんの深みと透明さを持つ音色が奏でてくれるでしょう。
 
 そして、国際ヴィオラコンクールの課題曲として1990年代に書かれた権代敦彦:《テロス》。祈りと沈黙、叫びと解放を通じて“究極(テロス)”へと至る、ヴィオラ独奏の精神的・宗教的作品です。
 
 またとない機会になりそうな予感がするコンサートです。お時間のあります方、ぜひ足をお運びください。
 

第4回無伴奏の世界
川本嘉子(ヴィオラ)

【主催】朝日新聞社/浜離宮朝日ホール/ミリオンコンサート協会
・J.S.バッハ:無伴奏組曲 第1番 ト長調 BWV1007
・J.S.バッハ:無伴奏組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
・J.S.バッハ:無伴奏組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
・西村朗:ヴィオラ独奏のための《鳥の歌》による幻想曲
・ヘンデル(細川俊夫 編曲):ヴィオラ独奏のための《私を泣かせてください》
・権代敦彦:《テロス》ヴィオラのための
 
全席指定・税込:一般¥4,400、学生¥2,200 
※学生券はミリオンチケットのみでの販売
朝日ホール・チケットセンターTEL.03-3267-9990(日・祝除く10:00~18:00)
ミリオンコンサート協会TEL.03-3501-5638
URL:http://www.millionconcert.co.jp/