竹澤恭子先生が、スズキの子どもたちとジョイントコンサートin大府に出演

 

 愛知県大府市の大府小学校、大府中学校を卒業された、ヴァイオリン科特別講師の竹澤恭子先生と関西地区・東海地区・関東地区・甲信地区から昨年春の募集と審査で集まったスズキ・メソードの生徒たちによる弦楽合奏団とコラボするジョイントコンサートが、2026年2月1日(日)に大府市の愛三文化会館もちのきホールで開催されました。

 これは、公益社団法人才能教育研究会と大府が「バイオリンによるまちづくりの推進に関する協定」を2022年12月に締結していることから開催される第2弾となるコンサートで、創立80周年を迎える才能教育研究会と、市制55周年を迎える大府市の共催。昨年6月から練習を重ね、年末からは「世界のタケザワ」と称される竹澤恭子先生とスズキの生徒たちとの練習をスタート。毎回の練習が、とても充実したものとなりました。そうした入念な準備を経た今回のコラボは、参加者全員と裏方の先生方の大変な熱量を感じさせる、見ごたえも聴きごたえもある、充実した時間となったのです。

 
2026年2月1日(日)13時30分開場 14時開演
愛三文化会館もちのきホール
・モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525 第1楽章
・ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ホ長調「四季」より「春」RV269
  ヴァイオリンソロ:竹澤恭子
・ウォーロック:カプリオール組曲
  指揮:廣岡直城
・ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV356(ナッシェ版)
  ヴァイオリンソロ:竹澤恭子
・バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 二短調 BWV1043

 全楽章1st.ヴァイオリンソロ:竹澤恭子
 第1楽章2nd.ヴァイオリンソロ:山内絵奈(11歳)
 第2楽章2nd.ヴァイオリンソロ:松本桜奈(15歳)
 第3楽章2nd.ヴァイオリンソロ:宗田ひなた(14歳)
(アンコール)スズキの子どもたちがずらりと並び、
・ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調より第1楽章
 
 
 
 
 
 まずは、ステージで始まった午前9時30分から始まったリハーサル風景をご覧ください。舞台の立ち位置の確認、出入りの確認を進めながらも、磨いていくのは音であり、アンサンブルです。スズキならではの目標が、リハでさらに高みの境地に向かっていきました。
 
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 開場時間の頃には、長蛇の列ができあがっていました。みなさん、大変楽しみな中、お待ちくださり、13時30分に開場しました。全席自由席がどんどん埋まっていきました。そして、14時、本番となりました。


 
 まずは、市制55周年を迎えた大府市の岡村秀人市長から、大府市と才能教育研究会(スズキ・メソード)との長くて、深い関係をご紹介いただきました。
 

岡村秀人 大府市長

 皆さま、本日は全国各地より大府市文化会館へお越しいただき、誠にありがとうございます。大府市長の岡村秀人でございます。

 本日は、世界的なヴァイオリニストであり、大府市出身の竹澤恭子さんと、スズキ・メソードで学ばれた皆さまによる特別なコンサートが開催されることを、大変うれしく思っております。東は埼玉、西は大阪まで、全国から多くの皆さまにお集まりいただき、心より感謝申し上げます。
 
 今年は、大府市が市制施行55周年、そして才能教育研究会が創立80周年という、二つの大きな節目の年です。その記念すべき年に、このような音楽に満ちた催しを開催できることは、私たちにとって大きな喜びであります。
 
 大府市とスズキ・メソードとのご縁は、実は長い歴史に支えられています。スズキ・メソード創始者・鈴木鎮一先生のお父様である鈴木政吉氏が創業した「鈴木バイオリン」の工場が、かつて約10年間、大府市に置かれていました。そして近年、再びバイオリン工房が大府市に移り、現在もこの地でバイオリンづくりが続けられています。
 
 こうした背景から、大府市では「音楽のまち・バイオリンの里づくり」に力を入れており、市内の小学校では4年生全員が音楽の授業でバイオリンを学ぶ取り組みを行なっています。また、2022年にスズキ・メソードとも連携協定を結び、音楽文化の振興に取り組んでおります。
 (※編集部註:2025年秋に完成したこちらのパンフレットがわかりやすいです)
 →「音楽のまち・バイオリンの里づくり」パンフレット
 
 本館内のくちなしホールには、鈴木政吉氏の胸像が展示されています。80年以上の歴史を持つ貴重な像で、ヴァイオリンのできばえを「コンコンコン」と叩きながら確かめる姿が表現されています。お時間がございましたら、ぜひご覧いただき、記念に写真を撮っていただければ幸いです。
 (※編集部註:以下のYouTube動画が大変ユニークです)
 →YouTube動画「鈴木政吉像が大府にやってきた」
 
 最後になりますが、大府市では、ふるさと納税の返礼品として、ここ大府で作られたヴァイオリンをご用意しております。市外の皆さまにも、ぜひご支援を賜り、ヴァイオリン産業と音楽文化の発展にお力添えいただければと存じます。
 
 本日のコンサートが、皆さまにとって心に残る素晴らしい一日となりますこと、そしてご来場の皆さまのご健勝を心よりお祈り申し上げ、挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございます。


 さあ、いよいよ演奏がスタートしました。
 まずは、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525」の第1楽章から。心地よいモーツァルトの調べが会場に響き渡りました。祝典に相応しい明るさと華やかさは、さすがです。
 
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 世界の舞台で活躍する竹澤恭子さんと、スズキ・メソードで音楽を学ぶ子どもたち。この日のステージでは、モーツァルトやヴィヴァルディ、そしてバッハなどの名曲の響きが世代を超えて受け継がれていきました。特にヴィヴァルディの四季の「春」では、抜群のソロの響きに、しっかりと伴奏がぴったりと寄り添い、バロックの雅な世界観を感じさせました。


 後半は、才能教育研究会の榊直樹理事のご挨拶から始まりました。
 
 皆さま、こんにちは。本日はこのコンサートにご来場いただき、誠にありがとうございます。公益社団法人才能教育研究会の理事を務めております、榊直樹でございます。本日の開催にあたり、大府市の岡村市長をはじめ、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。
 

榊 直樹理事

 前半の演奏はいかがでしたでしょうか。休憩時間に楽屋に行ってみましたところ、最年少は10歳の子どもさんでしたが、年長の仲間と心を合わせ、音楽を共に創り上げる姿に、スズキ・メソードの学びの姿がよく表れていたのではないかと思います。また、寒さの残るこの季節に、「春の訪れ」を感じさせるような音楽を届けてくれました。

 本日は、スズキ・メソード出身であり、世界的に活躍されている竹澤恭子先生が、後輩である子どもたちと同じ舞台に立ち、呼吸を合わせ、気持ちを重ねて演奏してくださいました。導くのではなく、ともに音楽をつくる―その姿に、世代を超えて音楽が受け継がれていく姿を感じられた方も多かったのではないでしょうか。
 
 スズキ・メソードは、昭和21年に鈴木鎮一先生が松本で始められ、今年で80年を迎えました。「言葉が環境によって身につくように、能力もまた環境によって育つ」という考えのもと、音楽を通じて感性と人間性を育む教育として、現在では世界74の国と地域へと広がっています。
 
 ここで少し、私事をお許しください。実は私の祖父は、鈴木バイオリン製造株式会社がさまざまな困難に直面していた時代に、一時、社長を務めたことがありました。鈴木バイオリンの歩みが決して平坦ではなく、多くの方々の支えと努力によって今日につながっていることを、家族の歴史として身近に感じてまいりました。そのようなご縁を思うと、今日この大府の地で、鈴木バイオリン、そしてスズキ・メソードに関わる皆さまとご一緒できることを、私自身、大変感慨深く感じております。
 
 楽器の演奏を通じて培われるのは、技術だけではありません。やり抜く力、仲間と呼吸を合わせる協調性、記憶力、そして豊かなリズム感。こうした力は、音楽を超えて人生を支える大切な土台となります。
 
 「音楽によるまちづくり」を進めておられる大府市から、次の世代、そして世界へと羽ばたく音楽家が、さらに育っていくことを心より願っております。どうぞ引き続き、後半の演奏もお楽しみください。本日は誠にありがとうございました。


 
 後半最初の「カプリオール組曲」は、16世紀の古風な旋律と20世紀のモダンな和声が響き合う6つのダンス組曲。短いながらも、どの曲も弦楽器の特性を活かした佳作で、色彩も豊かです。この曲だけ、唯一指揮があり、チェロ科指導者の廣岡先生の巧みな棒さばきで、ドラマチックで楽しい作品に仕上がっていました。
 
 そして、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲イ短調、いわゆるa-moll(アーモール)全楽章に続きました。今回は、竹澤恭子先生がソロを弾かれ、弦楽オーケストラで伴奏するスタイルです。この曲は、ヴァイオリン科のみなさんが学ぶ定番曲ですが、鈴木先生は、このシンプルな曲を華麗に編曲したハンガリーのヴァイオリン奏者、ティヴァダール・ナッシェ版の楽譜を採用しています。現在は、指導曲集の第4巻で第1楽章と第3楽章を学びます、特に第3楽章で、「例のところ」と言われるほど難所の箇所があります。75小節から82小節です。竹澤先生のヴァイオリンは、実に華麗に、この曲の面白さを感情豊かに全身で演奏されていました。
 
 最後は、バッハのドッペル。昨春の募集で、応募者から送られてきた第1楽章の録画データを竹澤先生が審査し、第2ヴァイオリン奏者として、楽章ごとに3人が選ばれました。6月からの練習でさらに磨きをかけられた3人。磨き抜かれた音楽の頂点と、未来へ向かう若い感性が同じ舞台で出会う―それは、音楽が「技」から「心」へと手渡される瞬間でもありました。この本番当日のこのステージで生まれた音の記憶が、次の世代へと静かに、そして確実に受け継がれていく場面に立ち会えたことを、私たち聴衆も嬉しく思います。いわば、私たちは「目撃者」でもあったことになります。ソロを受け持った3人も、弦楽伴奏で支えた若者たちにとっても第一線で活躍する演奏家の音楽に触れ、同じ舞台で音を重ねる経験は、何ものにも代えがたい財産となったことでしょう。


 
 舞台では、竹澤恭子先生への感謝の想いからの花束贈呈がありました。その花束をお持ちになりながら、竹澤先生はこの日の演奏を振り返りました。
 
 本日は、どうもありがとうございました。こうして多くの皆さまにお越しいただき、心より感謝申し上げます。
 
 私はご存知の通り、大府市で育ちました。子どもの頃、ヴァイオリンを習っている子は決して多くなく、「自分は少し変わったことをしているのかな」と思ったこともありました。ただ、ヴァイオリンの音に自然と惹かれ、スズキ・メソードの先生方に導かれながら音楽と向き合ってきました。後になって、この大府の地に鈴木バイオリンの工場があり、そして再び戻ってきたというご縁を知り、ヴァイオリンとの出会いは、やはり運命的なものだったのかもしれないと感じています。
 
 今回、岡村市長をはじめ大府市の皆さま、そしてスズキ・メソードの先生方のご尽力によって、こうしたジョイントコンサートという夢のような企画が実現しました。この日のために、子どもたちは半年以上前から準備を重ね、全国各地から集まり、何度もリハーサルを行なってきました。私が合流したのは最後の段階でしたが、最初のリハーサルから、皆さんの気迫と、この舞台を心から楽しみにしている気持ちが伝わってきました。
 
 多くの仲間と一緒に音楽をつくるということは、自分の音だけを弾くのではなく、全体で目指す音色やバランスを感じ取りながら演奏することです。それは、実際に舞台に立ち、音を交わす中でしか得られない、かけがえのない経験だと思います。本番では、互いに目を合わせ、会話をするように音楽を共有できたことを、私自身とても幸せに感じました。
 
 今日の経験が、皆さんのこれからの学びや人生の中で、良いエネルギーとなり、音楽に限らず、さまざまな分野へ羽ばたいていく力につながっていくことを願っています。
 
 最後に、このような大きな舞台は、多くの方々の支えがあってこそ実現します。大府市の皆さま、スズキ・メソードの先生方、そして関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。本日は、本当にありがとうございました。


 アンコールの場面になって、16人の小さな子どもたちが入場してきました。先ほどまで、一生懸命に客席でステージを見つめていた子どもたちです。演奏するのは、定番の「キラキラ星変奏曲」ではなく、ヴィヴァルディのa-moll(アーモール)第1楽章でした。竹澤先生と一緒に、堂々と弾いていました。
 
早速参加者から、感想が届きましたので、紹介しましょう。順次届き次第、掲載していきます。
 
参加者の感想
 
 今回のコンサートを通して、竹澤先生と共演させていただいたという、これまでにない貴重な経験をさせていただきました。また、全国から集まってくださったスズキ・メソードの皆様とご一緒に演奏できたことも、私にとって大変良い思い出となりました。
 チェロのトップを務める中で、パート全体で弾き方や音楽のニュアンスを揃えることの難しさを強く感じました。今回のようなオーケストラは、一人で音楽を作り上げるものではなく、奏者全員が同じ舞台上で音楽を共有することで、初めて一つの曲が成り立つものだと改めて実感しました。
 そのような中で、チェロパートの皆さんが「ここはどうやって弾いてる?」などと積極的に話し合いがされていて、とても演奏しやすく、温かい雰囲気の中で本番を迎えることができました。指揮者の廣岡先生をはじめ、Vcパート以外の皆様にも大変お世話になりました。
 ソロを務めさせていただいた、ヴィヴァルディ作曲「四季」より《春》では、ソロ部分についてさまざまな演奏動画を参考にしながら自分なりに研究し、竹澤先生からの問いかけに応えられるよう努めました。
 このような貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。

加古 太一(チェロ首席・廣岡直城クラス)