全国指導者研究会、4日目の最終日の様子を速報します。
台風一過を感じさせない曇り空、肌寒い朝を迎えましたが、指導者の皆さん、最終日の朝も元気に会場に集まりました。
Day4 6月4日(木)
研究発表プログラム 9:00~10:30
講師:酒井邦嘉先生
「脳科学から見たスズキ・メソードの極意」
おなじみ、東京大学の酒井邦嘉先生が講演を行ない、9年目を迎えたスズキ・メソードと東京大学との共同研究について報告しました。
酒井先生はまず、スズキ・メソードの核心として、「才能は生まれつきではない」「能力は年齢によって失われない」「個人差の本質は好奇心と向上心にある」という3点を挙げ、一方で、人間の言語能力そのものは生まれつきのもの(生得的)であり、子どもたちは本来、環境の中から自然に言葉を獲得する力を持っていると説明。その“母語習得”の仕組みこそが、鈴木鎮一先生の教育理念の土台になっていると語りました。
さらに酒井先生は、「教える」以上に「育てる」ことの重要性を強調し、教育とは本来、子どもの内に備わった能力を引き出す営みであると指摘。音楽もまた言語と同じく、人間が生得的に持つ構造理解の力によって捉えられていると説明しました。
スズキ・メソードと東大の共同研究第1弾では、音楽を聴いた際の脳活動をMRIで測定し、スズキで学んだ子どもたちが、音程やテンポ、アーティキュレーションなどの微細な変化に高い感受性を示すことを明らかにしました。特に注目されたのは、音楽のフレージングやアーティキュレーションを判断する際、言語の文法処理に関わる脳領域が活動していた点。これは、音楽と言語が脳内で深く結びついている可能性を示す成果となりました。
また、第2弾の研究では、「耳から学ぶ」ことと「楽譜から学ぶ」ことの違いを検証。音源を繰り返し聴いて学習した場合の方が、曲全体の構造把握に優れていることが確認され、とりわけスズキ・メソードの生徒たちに顕著な結果が現れました。さらに、複数の楽器経験を持つ子どもほど、脳の活動がより広範囲に及ぶこともわかりました。
酒井先生は、スズキ・メソードが重視してきた「良い音を聴くこと」「耳から学ぶこと」「暗譜すること」には、脳科学的な裏付けがあると説明。「音楽を通して構造を理解し、意味を感じ取る力が育まれるというのです。それは単なる技能教育ではなく、人間形成そのものにつながっている」と核心部分に触れていただきました。
現在進行中の第3弾についての中間報告の後、「情操教育」「全人教育」という鈴木先生の理念は、決して抽象的な理想論ではなく、人間の本質的な学びに深く結びついた教育法であると強調し、今後の研究への意欲を示して講演を締めくくられました。
各科特別講師による「卒業課題曲についてのレクチャー」 10:45 ~ 11:45
卒業課題曲に限らず、研究会全体についても自由に語っていただく時間です。
※菊地知也先生は2日目に会場で収録した映像での出演でした。
※竹澤恭子先生の動画は、今年2月、大府市で開催された「ジョイントコンサート」のもの。
講師
・菊地知也先生(チェロ科) ブラームス:チェロソナタ第1番より第3楽章 Pf臼井文代先生
・竹澤恭子先生(ヴァイオリン科) ヴィヴァルディ:協奏曲イ短調より第1楽章
・宮前丈明先生(フルート科)ブラベー:フルート・ソナタ第2番 Pf臼井文代先生
・東誠三先生(ピアノ科)モーツァルト:ピアノ・ソナタK.545より第3楽章
閉会式 11:45 ~ 12:15
様々なセッションを終え、閉会式を迎えました。篠崎史紀さんを迎えた2日目の対談で、篠崎“まろ”さんから提供された絵本と書籍の特別プレゼント企画について、ステージで公開抽選。特別講師の皆さんからのクロージングのご挨拶とともに、花束贈呈もあり、4日間の感謝を表しました。また、毎朝8時から夜10時まで映像収録およびオンライン配信に力を注いだ配信チームの先生方、また実行委員会の先生方が壇上に並び、会場の先生方から大きな感謝の拍手が届きました。
2027年の全国指導者研究会は、2027年6月1日(火)〜4日(金)に、いつもの松本での開催となることも発表されました。