ヨーロッパ公演を前に、品川ジュニアストリングオーケストラが東京公演
スズキ・メソード トゥインクル音楽院(旧品川支部)の品川ジュニアストリングオーケストラが、この夏、第8回海外演奏旅行に出発しました。1997年に始まったこの海外ツアーは、約30年にわたりオランダ、ドイツ、オーストリア、チェコなどヨーロッパ各地で演奏を重ねてきた伝統あるプロジェクトです。これまで20回を超える海外公演を行ない、音楽を通して国境を越えた交流を育んできました。
今回のツアーは、8月25日から9月3日までの10日間。最大の目的は、チェコ・プラハで開催される第35回国際音楽祭「ヤング・プラハ」への参加です。音楽祭から3度目となる招聘を受け、ウィーンのミノリーテン教会、チェコ・リトミシュルのスメタナ劇場、ルチャニの聖母教会、そしてプラハのベツレヘム礼拝堂など、中欧を代表する歴史的な会場で演奏を披露します。なかでもリトミシュルでは、現地のKOS少年少女合唱団とのジョイントコンサートも予定されており、子どもたち同士が音楽を通して心を通わせる貴重な機会となります。
プログラムには、モーツァルト《ディヴェルティメント ニ長調 K.136》、ヤナーチェク《弦楽のための組曲》、芥川也寸志《弦楽のための三楽章》が並びました。さらに、チェロ独奏にスズキ・メソード特別講師の山本裕康先生を迎え、ハイドン《チェロ協奏曲第1番 ハ長調》が演奏されました。このハイドンは、海外公演の最終日、8月31日にプラハのベツレヘム礼拝堂で、2016年以来の再共演となるトマーシュ・ヤムニーク氏と演奏する曲です。
古典派の透明感、チェコ音楽ならではの民族的な息吹、そして日本を代表する芥川也寸志の力強い響きという、多彩なプログラムは、そのまま今回のヨーロッパ公演の魅力を象徴する内容となっていました。特にヤナーチェクはチェコを代表する作曲家であり、現地で演奏することには特別な意味があります。また、日本作品を携えてヨーロッパの聴衆に届けることも、このツアーの大切な使命の一つといえます。
この日の演奏は、公開リハーサルを含めながら、スムーズに進行しました。まずは、リハーサル風景をご覧ください。モーツァルト、ヤナーチェク、そして芥川と続き、最後にハイドンのチェロ協奏曲という順でした。ハイドンでは、登場された山本裕康先生の弾きぶりで、スタート。息を合わせながらの演奏は、とても素晴らしく、事前練習の成果もたっぷりと現れていました。興味深かったのは、裕康先生の1楽章のカデンツァ。ご自身によるオリジナルで、チェロ科で学ぶスタンダードなカデンツァとは明らかに違います。華麗な技巧とともに、素敵な飾り付けに魅了された次第です。ご本人曰く、「ほぼ、完成しましたので、これで本番も行きます」とのことでした。本番がさらに楽しみになりました。
そして、本番です。この日はチケット完売で満席。品川ジュニアストリングオーケストラの壮行会ともなるこの日の本番、応援する気持ちに会場は溢れていました。
ステージは、ほどよい緊張感がありながらも、とことん練習を重ねてきた品川ジュニアストリングオーケストラの皆さんの表情には、これまでの充実ぶりが現れていました。軽快で上品なモーツァルト、神秘的な出だしから魅了されたヤナーチェク、そしてハイドンの協奏曲。協奏曲ならではの息遣い、ドライブ感、そして精緻なアンサンブルの魅力を味わうことができました。裕康先生の、途中の笑顔も素敵でした。そして、独特な芥川の世界へ。印田礼二先生のタクトで、見事な宇宙が広がってくる雰囲気に、会場が包まれました。
アンコールは、チェコといえばこの曲、スメタナの「モルダウ」、さらに印田先生をはじめ、6人が赤と青のハッピをまとって、もう1曲演奏されたのが、外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」からクライマックスに登場する「八木節」でした。「ザ・日本の祭り」を体現したような、血が湧き肉躍る圧倒的で陽気なリズムが特徴で、聴いていると思わず踊り出したくなるような高揚感がありました。欧州公演にぴったりの選曲で、この日の聴衆の皆さんも大喝采。大きな拍手に包まれました。
ウィーンとチェコ各地での様子は、品川ジュニアストリングオーケストラの公式インスタグラムで、現在、毎日のように素敵な写真が速報されていますので、以下をクリックして、ご覧ください。マンスリースズキでは、参加された皆さまからのレポートで、10月号で詳しくご紹介します。
→品川ジュニアストリングオーケストラ 公式インスタグラム