関東、北海道・東北ピアノ科卒業式に寄せて

 

東誠三会長と水島隆郎先生(右)2024年冬

 関東、北海道・東北ピアノ科卒業式が4月3日、盛大に、そして素晴らしい内容で執り行なわれましたこと、心よりお祝い申し上げます。また、このたびはコンサートにご招待いただき、誠にありがとうございました。

 今回の卒業式を拝見し、改めてスズキ・メソードが掲げる「卒業制度」の深い意義を再確認する貴重な機会となりました。
 
 スズキにおける記念演奏は、単なる発表会ではありません。各課程を通し、一歩ずつ山を登るように向上していく「プロセス」そのものに真の価値があるのだと感じます。代表として演奏した生徒たちの姿は、後に続く子どもたちにとっての具体的な目標であり、同時にその背後にある数え切れない努力の時間を象徴するものでした。
 
 会場には、かつて同じ曲を弾いて卒業した生徒もいれば、これからその曲に取り組もうとしている若い生徒たちもいました。そして何より、今年初めて卒業を経験し、これから先の課程で演奏する曲を初めて耳にした生徒もいたことでしょう。
 
 彼らは、いつか自分もあのステージに立ち、素晴らしいベートーヴェンやモーツァルトを演奏するのだと、ごく自然に確信したはずです。「どの子も育つ、あそこまで達するのだ」という確信こそが、スズキ・メソードの真髄であると改めて実感いたしました。
 
 そこには二つの大切な要素があります。
・共鳴する心: 同じ曲を経験したからこそ、演奏者の音を自分のことのように感じ取ることができます。
 ・聴く力の深まり: 全員が同じ録音を聴いて育ちながらも、成長の段階によって「聴こえてくる音」や「感じ方」には明らかな違いが現れます。その差異を認め合うことが、さらなる成長への意欲に繋がるのでしょう。
 
 私は、最終課程の卒業が「スズキからの卒業」を意味するのではないということを、生徒や保護者の皆様に伝えていきたいと考えています。(私たちオーストラリアでも日本と同じように卒業課程制度をとっています)
 
 鈴木先生が仰ったように、スズキ・メソードを通した人間教育に終わりはありません。卒業制度はあくまで、その時々の成長を記録し、祝福するための節目に過ぎないのです。
 
 私たちは、この制度を単なる形式的な儀式にしてはならないと思います。 生徒一人ひとりの人生における「成長の記録」として、この制度をいかに高めていけるか。私たち指導者が、毎年の卒業とその結実であるコンサートを通し、常に次へと繋がる視点を持って捉えていくことが重要です。
 
 激しく変化する現代において、スズキの理念をいかに子どもたちに深く浸透させるか。指導者間でさらなる検討を重ねていく必要性を強く感じました。
 
 8年ぶりのグランドコンサート、そしてそれに続く各地域での卒業コンサートは、私たちスズキ・メソード会員が次の一歩を踏み出すための大切なステップです。私たち海外のSuzukiファミリーも、その志をともにしながら日本の活動を見守っております。日本の才能教育に携わる皆様に、その思いが届くことを願っております。
 
 今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
2026年4月

The President of Suzuki Talent Education Association NSW Australia 
水島隆郎