小さい頃からの思いを込めて、スズキ・メソードのPRポスターを卒業制作された
伊藤瑞歩さんにお話を伺いました。

   

伊藤瑞歩さん

  岐阜県多治見工業高校デザイン科で学ばれた伊藤瑞歩さんが卒業制作として選ばれたのが、小さい頃から加藤寿子先生(東海地区ヴィオリン科指導者)のもとでヴァイオリンを学んできたスズキ・メソードを題材とするポスターでした。「もっとスズキ・メソードをPRしたい」との願いから産み出された2つの作品です。それぞれを制作したきっかけ、デザインへの思い、展覧会で得た反響などを、伊藤瑞歩さんご自身からのメッセージでお伝えします。

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 私は高校3年間、岐阜県多治見工業高校デザイン科でデザインを学んできました。その集大成として卒業制作でVD(ビジュアルデザイン)のコースを選択し、企業などの広告ポスターを描くことになりました。そこで私は、4歳の頃からお世話になっているスズキ・メソードをもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思い題材にしよう、と決めました。
 

 まず4つの楽器が描かれているポスターは、フルート、ヴァイオリン、チェロ、ピアノを主にレッスンしているというのがわかるよう配置をしました。キャッチコピーの「音楽」のふりがな(ルビ)が「よろこび」になっている理由としては、自分が音楽をしていく上で弾けなかったところが弾けたり、やりたかった曲をやれるようになったりと喜びを感じられることがとても多かったので、このようなふりがなになっています。このポスターはヴァイオリンやチェロの木目、光沢など楽器の質感をリアルに表現することを意識して描きました。

 
 もう片方のポスターは、楽器を描いたポスターに比べてターゲットの年齢層を広く想定し、子どもから大人まで親しみやすいデザインにしました。それぞれの楽器を擬人化したキャラクターと、その楽器を弾く人が会話をしたり、一緒に悩んだりしている様子を描いています。

 私はこの広告ポスターを制作し、改めてスズキ・メソードの良さを知り、ヴァイオリンを習ってきて良かったと思いました。それは、スズキ自体の教育方針、先生方の教え方などです。大きくなった今だからわかることなのですが、小さい頃の自分でも自然と理解でき吸収できるようなものばかりだったと感じています。また、たくさんの生徒さんのお母さん方から面倒を見ていただき、それを通して悩みが解決したり人生観を教わりました。そうした私自身の成長過程で得られた体験を反映させています。
 
 作品が完成するまでには、昨年11月から今年1月中旬までかかりました。週に3回、3時間ほど実習があり、放課後も学校に残り制作、家に持ち帰っての制作も行なっていました。11月の終わり頃に構図を決め、デジタルで描いた絵を印刷し、2枚のパネルに線画をトレースして色を塗っていく、という工程で完成することができました。
 
 卒業制作展では、加藤寿子先生や加藤クラスの方に見に来ていただいて、「絵が写真みたい」「すごかった」などとお言葉をいただきました。今年の卒業コンサートではロビーに飾らせていただいて、たくさんの方にお褒めの言葉をいただきました。
 
 高校ではデザインの基礎やデッサン、手描きでの力を鍛えてもらったので、この4月から進学する専門学校では、それを基にデジタルでの絵に挑んでいきたいです。その後は高校、専門学校で学んだことを活かして絵を描く仕事に就きたいと思っています。また、ヴァイオリンをこれからも続けていきたいと思っています。
 

加藤寿子先生クラス 伊藤 瑞歩