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第3回スズキ国際ティーチャー・トレーナー(TT)会議を開催しました。

 
まずは、中島顕実行委員長からの報告です。
 日程:2023年10月13日(金)~15日(日)
 会場:まつもと市民芸術館
 海外22ヵ国からの106名、国内126名の皆様の参加のもと、各方面からのご協力を仰ぎ、実りと活気ある3日間を無事終了いたしました。
 
◾️国際ティーチャー・トレーナー会議とは?

 国際スズキ協会 ISA(International Suzuki Association)は現在、以下5つのリージョン(地域)で構成されています。
  ・SAA    南北アメリカスズキ協会
  ・ESA    ヨーロッパスズキ協会(アフリカも含む)
  ・PPSA    パンパシフィックスズキ協会
  ・ARSA    アジアスズキ協会
  ・TERI        才能教育研究会
それぞれのリージョンでは独自の指導者養成システムを持ち、ティーチャー・トレーナーと呼ばれる資格を持った先生方が指導者養成システムに携わっています。国際ティーチャー・トレーナー会議とはそのリージョンの情報交換や研究の場として、第1回は2009年にアメリカのボストンで、第2回は2019年にスペインのマドリードで開かれました。
 
◾️第3回国際ティーチャー・トレーナー会議の開催と今回目指したもの
 第2回マドリードでの開催の折、次回はぜひ松本でとの強い要望を受け、第3回はスズキ発祥の地、松本での開催となりました。しかしこの国際会議もご多分に漏れず2年延期となり、その間の情報交換や教育システムの変化に対応が必要となりました。
 
 今回の重要課題は国際認証システムです。
 世界中でどこでもスズキの指導者として教えることができる認証とは、が問題となりました。一方、今までのティーチャー・トレーナー会議は各リージョンの現状報告とお互いの理解を深め合う機会という比重が重かったように感じました。もちろんそれらをさらに深めるとともに、今回、鈴木先生のお膝元松本での開催ということで、時代とともに変化する環境、指導方法などを超えて私たちスズキの指導者が共有すべき「スズキの原点」を今一度世界中で確認、共有し合う機会になればと他のメインテーマの設定をしました。
 
◾️今回のメインテーマ
 ・リージョン報告
    前回からの各リージョンの変化、最新状況報告
 ・国際認証制度について
    世界中どこでもスズキの教室指導ができる共通認証とは?
    その認証をどのように考えるか、また、それに伴うルール作り
 ・卒業制度について
    世界でどのような形で卒業制度が実施されているか
    どうすれば卒業制度を実施できるか
    世界どこでも、だれでも実施できるシステム作り
    目指すところは「キラキラ星」の修了認証
 ・初歩指導とスズキの原理原則について
    ここでは各リージョンにテーマごとの発表を依頼しました
     ・SAA  保護者、生徒、指導者のトライアングル
     ・ESA  1巻終了までに身に着けておくべきこと
     ・PPSA   聴いて育つこと
     ・ARSA   初歩指導で一番大切にしていること
     ・TERI1     初歩からのトナリゼーション
     ・TERI2     楽器レッスンを始める前の0歳からの教育
 ・指導者育成の根幹
    指導者育成にはいろいろな問題が含まれるが今回は音の指導
    「スズキトーン」をどのように伝えるかをテーマにパネルディスカッション
 ・交流会
    せっかくの機会なので海外から参加の先生方にお願いし、
    生徒・指導者の交流のためにグループレッスンとコンサートを開催
※メインテーマの国際認証制度・卒業制度・初歩指導とスズキの原理原則については、全員で各リージョンの発表者の意見を聞く全体セクションと、その意見などについてお互いに意見を述べ合うグループセクション(6グループ)に分けて討議しました。
 

◾️総括
 各テーマをTERIとしてどのように考えをまとめていくのかを決めるに当たり、個人や独自の意見に偏らないよう、テーマごとのワーキングチームを作成、幅広く意見の集約に努めました。その結果、ワーキングチームの先生方の努力、アイデアのおかげで議論が深まりました。各ワーキングチームからの報告が、このマンスリースズキに同時に記載されますので確認ください。どのテーマも本当に活発な議論が展開されましたので、後日、報告をまとめて発表いたします。
 
 また、久しぶりに海外の先生方と直に触れることができ、世界に広がっているスズキを改めて実感できました、そして海外の先生方のスズキへの思いや、鈴木鎮一先生に対する尊敬の深さに接し、感銘を受けたと同時に、私たちも今一度「スズキの原点」を見つめ直すことの大切さを感じさせられた会議でした。
 
 最後にこの会議の継続、国際認証制度、卒業制度については継続して審議していただく機関の設置もお願いし、私たちだけでなく、会員・生徒の皆様にもこのような経験ができるようにと久しぶりのスズキ・メソード世界大会の開催を要望いたしましたことを付け加えておきます。    

 
続いて、黒河内健 業務執行理事からの報告です。
 
 松本市は紅葉の街路樹の間から冠雪の日本アルプスを望む秋晴れが続いています。そのような素晴らしい秋の松本市にスズキ・メソードの指導者養成にかかわるベテラン指導者が世界中から集合し、3日間の熱い討議と交流を行ないました。
 
 今回は日本からも多く参加し、会議に参加した指導者以外の見学者も含めて250人規模となりました。これは4年前のマドリードでの第2回国際TT会議の2倍以上の規模でした。
 
 1年半前には実行委員会が発足し、大会開催の概要決定や討議テーマの設定を行ない、さらに今年に入ってからは、日本の参加資格のある指導者への勉強会・説明会を行ない、実行委員会を拡大する形で討議テーマごとに日本のスズキ・メソードの意見を集約発信するワーキングチームも立ち上げて準備しました。
 
 一方、言葉の問題によるコミュニケーション不足を起こさないために、国内最高レベルの同時通訳者を配備し、また松本市の市民ボランティア通訳団体皆様には多くの通訳者を派遣いただき、通訳はもとより多くのサポートをいただき、国内・海外の参加者からは多くの感謝メッセージが届きました。
 
 会議は、挨拶、基調講演、世界5地域からの近況報告に続き、①国際認証制度、②卒業制度、③初歩指導とスズキの原理原則、④指導者養成の根幹の4つのテーマについて、全体セッションと毎回メンバー組み合わせが変化する少人数グループ討議を織り交ぜながら行なわれ、多くの参加者の活発な討議が展開されました。また会議に加えて、最終日午後には全国から集まった日本の生徒たちに海外の指導者が直接指導する機会が設定され、日本のスズキ・メソードの子どもたちが海外のベテラン指導者のユーモアたっぷりの体を張ったスピード感ある指導に活き活きと反応し、スズキ・メソードならではの貴重な体験となりました。ピアノ科や0~3歳児コースの生徒も海外の先生から新しい視点でのアドバイスや励ましの言葉をいただき、とても刺激になりました。
 
 この国際TT会議終了後も約半数の指導者が、日本の指導者研究会を見学。10月17日の鈴木鎮一先生の125回目の誕生日には、大型バス2台に分乗していただき、中山霊園1号陵にある鈴木鎮一先生とワルトラウト夫人のお墓参りと、市内の鈴木鎮一記念館見学を組み合わせたメモリアルツアーを行ないました。絶好の秋晴れに恵まれ、海外からの参加者全員がスズキ・メソードの原点を改めて感じる機会となりました。お墓参りでは、生前の鈴木鎮一会長との濃密な子弟交流を思い出し、涙ぐみながら花を手向ける参加者も多くいたのが印象的でした。
 
 今回の参加者と参加国の概要は以下の通りでした。
  討議参加者  合計158名
    TERI  66名
    SAA   56名
    ESA   20名
    PPSA   12名
    ARSA  4名
  見学者
    日本  68名
    海外    7名
  参加国・地域   
日本・アメリカ・カナダ・メキシコ・ペルー・ブラジル・アルゼンチン・スペイン・イタリア・イギリス・アイルランド・フランス・デンマーク・スエーデン・スイス・オランダ・オーストラリア・ニュージーランド・台湾・韓国・インドネシア・マレーシア
 
 会議終了後も実行委員会の仕事は続いています。
 
 今回の討議結果をまとめた報告書の発行、テーマ討議で明確になった将来への課題や提言の整理、大会開催上の反省点の抽出と申し送り事項の整理・・は年末までかかりそうです。
 
 テーマ討議の結果や課題の整理はこれから時間をかけて行なうことになりますが、大会開催については、多くの方から肯定的なフィードバックをいただいた一方、食事制約ゆえに、会食の際に口にできる食べ物がほとんどなかった方、ホテルで喫煙ルームをあてがわれ喘息がぶり返し、一睡もできなかった方など、準備対応の不備に対して厳しいご意見もいただきました。国際化を標ぼうするスズキ・メソードの本部としては大きな反省点でした。今後は今回の失敗を糧に、より快適で充実した滞在をしていただけるよう改善点をしっかり継承し、次回に反映できるようにしていきます。