テンチルドレンツアー60年目の春を迎えて

会長 早野龍五(年男です)
 
 皆さま、新年あけましておめでとうございます。

 

 昨年10月、松本で開催された「第3回スズキ国際ティーチャー・トレーナー会議」には、世界22ヵ国から100名以上のスズキ指導者が参加し、スズキ・メソードの原点を振り返り、次世代の指導者育成について熱く議論が交わされました。この会議の運営において、皆さまから頂戴した会費を有効に活用させていただきましたことを、改めてご報告申し上げます。

また、昨年11月19日には「スズキ・メソード発祥の地」の銘板設置を記念するお披露目会を開催いたしました。私自身が幼少期に通った松本音楽院があった場所に掲げた銘板には、往時をしのぶ二枚の写真とともに、以下の文章を(日本語と英語で)刻みました。

 
 終戦直後の1946年。音楽を愛する松本の人々と、音楽を通じた幼児への全人教育を目指していた鈴木鎮一(1898-1998)により、才能教育運動(スズキ・メソード)がスタートしました。
 当時、この地にあった建物を借り「松本音楽院」の看板を掲げたのが、スズキ・メソードの原点です。
 「どの子も育つ 育て方ひとつ」の理念のもと、音楽に限らず様々な能力を育てるこの教育法は日本国内に留まらず、全世界で評価され、2023年現在、世界74の国と地域で40万人以上が学んでおり、演奏家だけでなく、各分野で活躍する人材を輩出し続けています。
 
 しかし、「どの子も育つ 育て方ひとつ」という理念が、ただちに世界に広がったわけではありませんでした。その理念を具現化する実例を示すことが肝要でした。
 
 そこで、60年前の1964年3月、鈴木鎮一先生は10人の子どもたちを連れて米国への演奏旅行を決行され、私もその一員として参加いたしました(この写真の中央にいます)。この旅行は大成功を収め、スズキ・メソードが世界74の国と地域に広がるきっかけとなりました。その後の子どもたちによる演奏旅行は、『テンチルドレンツアー』として知られ、30年間にわたり世界20ヵ国384の都市を訪れ、合計483回のコンサートを行ないました。

 そして、第1回の演奏旅行から60周年を迎える今年、スズキ・メソードで育ったヴァイオリン、ピアノ、チェロ、フルートの生徒たちの素晴らしい演奏を、多くの方々にお届けするために、「テンチルドレンツアー」を3つの会場で開催いたします。
 
 1月21日(日)には愛知県大府市の「愛三文化会館もちのきホール」で、大府市との「バイオリンによるまちづくりの推進に関する協定」の一環としてコンサートを開催します。

 続いて、5月3日(金祝)には「豊中市立文化芸術センター大ホール」、そして5月4日(土)には東京の「浜離宮朝日ホール」で演奏会を行ないます。
 
 大府市では、地元出身であり、またテンチルドレンのメンバーでもあったヴァイオリニスト竹澤恭子さんとの対談、大阪では関西地区の生徒によるウエルカム演奏、関東ではテンチルドレンのメンバーであるヴァイオリニスト大谷康子さんの講演と演奏など、それぞれの地域で工夫を凝らしたプログラムが用意されています。
 
 多くの皆さまのご来場を心よりお待ちしております。