スズキ・メソードと大府市の提携により、
テンチルドレンコンサートを大府市で開催!

 

 2024年1月21日(日)、愛知県大府市愛三文化会館もちのきホールで「スズキ テンチルドレンコンサートin大府」を開催しました。 これは、才能教育研究会と大府市が、2022年12月に締結した「バイオリンによるまちづくりの推進に関する協定」の一環として行なわれたもので、大府市との共催でした。
→大府市との提携を伝えるマンスリースズキの記事
 

まずはウェルカムコンサートでお出迎え

 
 当初、ロビーでのウエルカムコンサートの予定でしたが、東海地区の生徒さんたちの出演が嬉しいことに大幅に増え、ホールのステージに勢揃いしてのウェルカムコンサートになりました。演奏曲目は、以下の通りです。
・狩人の合唱(ウェーバー)
・合唱「ユダスマカベウス」より(ヘンデル)
・メヌエット第3番(バッハ)
・ロングロングアゴー(ベイリー)
・メヌエット第1番(バッハ)
・リゴードン(パーセル)
・アレグロ(鈴木鎮一)
・むすんでひらいて、ちょうちょう、こぎつね(外国民謡)
・キラキラ星変奏曲(鈴木鎮一)

 

大府市長ご挨拶

 コンサートを共催していただいた大府市の岡村市長から、まずご挨拶をいただきました。

「大府市は、日本全体が人口減少に見舞われていますが、 大府市は、今なお少しずつですが人口が増えています。現在、93,000人ですが、10万人を目指しているところです。 

 さて、本市は、2022年12月に公益社団法人才能教育研究会と「バイオリンによるまちづくり推進に関する連携協定」を締結しました。その才能教育研究会で、60周年を迎えるテンチルドレンコンサートを本日、この大府で開催し、全国から集まったテンチルドレンの皆様の演奏をここで聴けることは大変嬉しいことです。また、かつて、テンチルドレンのお一人として海外での演奏経験をお持ちの早野龍五会長、そして大府出身のヴァイオリニストで、テンチルドレンコンサートに何度も参加された竹澤恭子さんのお二人による対談も楽しみです。
 
 鈴木鎮一先生のお父様である鈴木政吉さんが創業された鈴木バイオリン製造株式会社が、2021年にこの大府に移転されたことを契機に、今では、市内すべての小学校でヴァイオリンを使った教育が実施されておりますし、広報大使の竹澤恭子さんには市内すべての中学校への訪問コンサートを実施していただいたり、鈴木バイオリン分工場がかつてあった場所に大府メタバースを展開することで「バイオリンの里づくり」をイメージしていただくなど、さまざまな広がりを見せています。
 音楽には心を豊かにする力、人と人を仲良くする力など、無限の可能性があります。この音楽の持つ力を街づくりに生かしてまいります。どうぞよろしくお願いします」 
 

早野会長と竹澤恭子先生の対談

 スズキ・メソードが世界74ヵ国と地域に広まったきっかけの一つとなったのが1964年3月の米国演奏旅行でした。その第1回テンチルドレンコンサートに参加した早野龍五会長と、第10回テンチルドレンツアーなど複数回参加されている竹澤恭子先生による「テンチルドレン〜スズキ・メソード世界発展の源流」と題した対談が行なわれました。

 冒頭、早野会長より大府市との連携協定に関する紹介があり、その中で協定に至る前、コロナ禍で急遽全面的にオンライン開催となった2022年の夏期学校を開催している松本市に岡村市長が訪問され、連携協定に関する具体的な展開について打ち合わせが行なわれ、竹澤恭子さんらの特別講師の皆さんのコンサートを会場で聞いていただいたことも、今回のコンサート実現につながったことが紹介されました。

第1回テンチルドレンツアー

 対談では、お二人のテンチルドレンツアーとの関わりが紹介されました。早野会長は、小学6年生だった1964年3月の第1回ツアーに参加。帰国した時には、小学校の卒業式はすでに終了し、参加できなかった思い出があります。プログラムで使用された写真は1964年3月5日に撮影されたもので、左から3人目。今年でちょうど60年目になります。この時、竹澤先生はまだ生まれていません。

 竹澤先生は、小学1年生から4年生まで毎年参加され、毎年10月の恒例行事だっととのことです。アメリカやカナダ、さらにはイギリスやスイスにも参加されました。この写真は小学2年か3年の時のもの。右から3番目の帽子をかぶっているのが竹澤先生。7歳の時に、ツアー中に誕生日を迎え、アメリカでは7歳を大きく祝う習慣があり、盛大なバースデーパーティが印象に残っているそうです。

 「1964年当時は、日本は観光目的で海外に渡航できない時代でした。つまりパスポートを持っている人は、ほとんどいません。ましてや子どもたちですから」と語る早野会長。「ですから、当時、鈴木鎮一先生や本多正明先生らが、このツアーよく実現されたな、と思います」と当時を振り返りました。
 
 竹澤先生は、「各地の空港のゲートの中で、訪問先でスズキを学ぶ子どもたちによるウェルカムコンサートがとにかく嬉しかった」と語りました。「音楽を通して何かが通じる、言葉がわからなくても何かが通じた初めての経験でした」
 
 東京大学で物理を学び、カリフォルニア大学のバークレーにある大学院に進まれた早野会長は、アメリカの大地を踏んだ時に「やはり、アメリカに戻ってきた感じがありましたね」と語れば、竹澤先生も「ジュリアード音楽院に留学し、大きなコンクールで優勝するなど、アメリカでの演奏活動が増えたのも子どもの時のアメリカでの体験が大きく関わっていますね」とお話しされました。
 
 竹澤先生は、全米各地のオーケストラと共演する中で、楽屋に来られたお客様が当時のテンチルドレンツアーのプログラムを持っていて、「あの時のあなたの演奏を聴きましたよ、とおっしゃってくださった時は、本当にびっくりして、感動しました」と思わぬ遭遇を語れば、早野会長も「昨年10月の第3回国際ティーチャー・トレーナー会議においでになったアメリカの長老の先生のご婦人が僕のところにツカツカと来られて、1964年にあなたを見ました、とおっしゃいました。嬉しかったですね」
 
 お話が盛り上がる中、早野会長からのご案内で、ジュリアード音楽院でのテンチルドレンの演奏テープが会場に響きました。1964年3月11日の演奏です。バッハのドッペルを達者に演奏する子どもたちの演奏は、あのジュリアードでクラシック音楽を専門に学ぶ皆さんを驚かすほどのレベルでした。そして、こうした訪問先に配布する資料として、鈴木先生が用意された8ページの小冊子”EVERY CHILD CAN BE EDUCATION”(どの子も育つ)を紹介されました。
 その小冊子は、以下からダウンロードできます。当時のものを再現し、早野会長ご自身による概要が最後に記されています。
 →Every Child Can Be Educated.pdf
 
 最後に、竹澤先生から、子どもたちへのメッセージをいただきました。
 「こうしてヴァイオリンを続けて、今も演奏することが大好きで続けてこられましたのは、このテンチルドレンツアーで、言葉の通じないところでも音楽でコミュニケーション取れる喜びをいつも感じられたことが始まりでした。その時に将来こういうことが、いろんな国を回って演奏するすることで何か通じることができたら素敵だなと、それが自分の夢となって原動力となって今まで続けてくることができたと思うんですね。ですから皆さんにも、音楽を今勉強されている方、音楽家になるとかならないとかは別ですが、音楽には本当にいろんな力があると思うんですね。心を癒してくれるし、元気づけてくれます。そして明日また頑張ろうというエネルギーをくれる。演奏する時は一音一音本当に心込めて思いを伝えたいと一生懸命演奏してるんですけれども、少しでも皆様に何かの活力にななればいいなと願いながら演奏しています。音楽の素晴らしさというのを今本当に存分に感じていただいて、いろんな夢を持って将来に向けてがんばっていってほしいなという風に思います。そして大人になっても音楽を楽しめる心を持つということは非常に潤いを与えてくれることだと思いますので、ずっと音楽を楽しみ続けて欲しいなと願っております」
 
 早野会長からもメッセージをいただきました。「音楽の方に進まなかった代表の私としては、ある時期非常に高いレベルを目指してそれができるようになるまで相当な時間をかけてやったというその経験がその後の長い人生を生きていく上でとても大きな力になると思います。物理学者になって、昔ヴァイオリンをやっていて良かったですかと聞かれますが、本当に良かったと思います。あの経験があってこそ、です。どのくらいの努力をしないとどういうレベルに到達しないかが身にしみてよく分かっていました。スズキ・メソードで言えば、才能教育課程を卒業するくらいまではきちんとやって、自分はこれだけ時間をかけてこれだけの練習をしてあの卒業証書をもらったというそういう自信を持って、世の中に羽ばたいていっていただけるといいなと思います」
 

テンチルドレンの演奏

 2023年10月に松本市で開催された全国指導者研究会でのチルドレンコンサートで演奏した生徒さんたち5名の情感たっぷりの演奏をお楽しみいただきました。(ピアノ:臼井文代先生)
曲順に紹介しましょう。いずれも日頃の練習の成果をいかんなく発揮、堂々とした舞台での姿と高い音楽性が印象に残る演奏でした。
 
 ・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219より第1楽章
  ヴァイオリン:大橋莉音(10歳)


 
 ・シャブリエ:10の絵画的小品より「スケルツォ・ヴァルス」
  ピアノ:村瀬芽依(9歳)

 
 ・タファネル:アンダンテ・パストラル
  フルート:伊藤正太郎(16歳)

 
 ・コルンゴルト:チェロ協奏曲 ハ長調 作品37
  チェロ:藤原寛太(16歳)

 
 ・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 二短調 作品47より第1楽章
  ヴァイオリン:宮本優貴乃(17歳)

 
最後に全員揃って、ご挨拶しました。素晴らしい演奏をありがとうございました。

 

スズキ テンチルドレンコンサート今後の予定

2024年5月3日(金・祝)豊中市立文化芸術センター大ホール
2024年5月4日(土・祝)浜離宮朝日ホール
※それぞれの会場で、テンチルドレンの生の演奏をお楽しみください。詳細は、今後、決定次第、公式サイトやマンスリースズキなどでお知らせします。