装いも新たに、鈴木鎮一先生選の一茶俳句100句が、英訳されました!

 

ほおずき書籍(2,000円+税)

 ヴァイオリン科出身で、現在は本会顧問でもある医学博士の宮坂勝之先生が、鈴木先生が選ばれた小林一茶の俳句100句をもとに、奥様の宮坂シェリーさんによる英訳、信州の自然、いのち、平和をテーマにした独自の画風で知られる柳沢京子さんによる切り絵で構成された「英訳一茶俳句100句集」(ほおずき書籍)を出版されました。アマゾンでは、Kindle版の購入も可能です。

 
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俳句の背景〜宮坂勝之
小林一茶(1763-1825)について
 
 江戸時代(1603-1868)の後半を代表する俳人の一人です。長野県北部の豪雪地帯の農家に生まれました。幼くして母親を亡くしましたが、継母や親戚との関係は悪く、15歳で江戸に奉公に出されます。俳諧師として修業を続け、名をなして51歳で帰郷し結婚しましたが、生まれた4人の子ども全員次々に幼くして失い、妻にも先立たれるなど、一茶の不幸な少年時代、晩年は一茶の句風に大きな影響を与えました。
 子どもの仕草や道端の草花、虫や蛙や雀などの小動物、強い力に逆らえずに生きる弱者の人生を詠んだ句が多く、表現には身近な擬声語(ゆらり、ふわり、など)が多用されています。風景の描写にも子どもの視点・視線が感じられ、また子どもにもわかりやすい、ひょうきん感(滑稽さ)や軽快感は、子どもの集中力を考えた鈴木鎮一先生の表現方法とも通じます。
 
俳句とは
 俳句は、長い和歌の歴史の中では新しく、江戸時代の日本で生まれた庶民の文化です。四季の移り変わりや風情、社会、家族、生活などの人間模様を、作者の思いとともに5-7-5のリズミカルな口調にのせて詠んだ3段からなる短い詩です。
 俳句は、一連の詩(連歌)の始まりの発句(ほっく)に由来するとされます。発句で示された内容に呼応する詩句を、詠み手が変わりながら様々な形式で続けてゆく連歌は上流階級のたしなみでした。その出だしが独立したものが俳句となり、短さと簡潔さがわかりやすく、庶民にも広がりました。次第に、季語あるいは季節感が詠み込まれ、また完結した内容であることを示す「切れ(字)」を持つなどの俳句としての形式が整ってゆきます。「切れ」とは、「かな」、「けり」、「や」、などの簡潔な言葉や表現で、これにより、17文字ですが、完結した内容であると明示されます。
 俳句の形式「定型」は、
1) 5-7-5の3段17文字(音節)、
2) 季語あるいは季節感、
3) 切れ(字)、であり、これらが揃った有季定型が基本です。
 破調と呼ばれる字余りあるいは字足らずの句、季語を含まない句、自由律と呼ばれる自由な韻律の句など非定型句もあります。限られた字数や形式の中で情景や思いを反映させる緊張感も俳句の重要な要素です。一方で、定型であっても、内容から川柳とか標語などと呼ばれる場合もあります。
 俳句の本質は作者の心の表現です。短さ、簡潔さのために丁寧な説明は省かれます。限られた語数、そして「切れ」がもたらす余韻(言葉が終わった後に残る感情)があることから、解釈は読者の思いで自由に広げられ、深められます。読者はある時は作者の心に入り込み、またある時には自分の思いに重ねて、語感、行間、そして余韻を含めて思い思いに解釈します。定まった解釈がない自由さも、俳句の特徴です。

 
 
 今月は、21句〜30句を紹介させていただきます。
 
 また、スズキ・メソード公式サイトの会員ページからは、この100句の日本語を立川志の輔師匠、そして英語をパックンにお願いした音声データをリスニングすることもできます。鈴木先生が選ばれた一茶の俳句への特別な思いが込められていますので、ぜひお楽しみください。
 
→スズキ・メソード公式サイト会員ページ
 
 


 下のそれぞれの俳句をクリックすると、中身をご覧いただけます。

次でも紹介しています。
→1句〜10句
→11句〜20句
→21句〜30句

著者・演者の紹介
 
宮坂勝之
長野県生まれ。小児科医、麻酔科医。スズキ・メソード初期の生徒で、1947年(3歳)からヴァイオリン、一茶の俳句を習う。カナダ、アメリカ留学後、国立成育医療センター、長野県立こども病院、聖路加国際病院などに勤務。在宅医療児支援、日野原いのちと平和の森活動などに参加。和洋女子大学長補佐。スズキ・メソード顧問。聖路加国際大学名誉教授。
 
宮坂シェリー
米国ニューヨーク生まれ。ペンシルバニア大学で心理学専攻。トロント大学日本語学科を経て、文部省奨学金にて東京学芸大学へ留学。1977年より日本在住。スズキ・メソードの生徒の母親として息子たちと俳句暗唱に参加。日本語能力試験N1、華道池坊華監。外国人知的障害児教育、医学英語論文編集などに関わる。
 
柳沢京子
長野県生まれ。信州大学教育学部美術科卒業。信州の自然、いのち、平和をテーマにした独自の切り絵の作風が注目され、国内、欧米各地で個展開催。公共施設での展示、長野冬季五輪(1998年)企画に参画。1977年「柳沢京子一茶かるた」(奥野かるた店)、2017年「一茶365+1きりえ」(ほおずき書籍)など一茶関連作品出版。
 
立川志の輔
富山県生まれの落語家。明治大学卒業。サラリーマンを経て立川談志に入門。1990年真打昇進。古典から新作まで幅広い芸域で知られる。北海道から沖縄まで全国各地のほか、定期的に海外公演も行なっている。2015年紫綬褒章受章。1995年より現在まで続くNHKの長寿番組「ガッテン!」の司会で知られる。2018年より富山国際大学客員教授。
 
パトリック・ハーラン(パックン)
アメリカ・コロラド州出身のお笑い芸人・コメンテーター。ハーバード大学卒業。1993年来日。英会話学校講師などを経てマックンと組んだ漫才コンビ「パックンマックン」で広く知られる。幅広い領域で活躍するタレントである。立川談志(志の輔の師匠)とも共演。東京工業大学リベラルアーツセンター非常勤講師。
 
日本語解説ナレーション/宮坂久美子 
長野県生まれ。信州大学大学院修士課程終了。元JICA海外協力隊員。
英語解説ナレーション/宮坂シェリー