スズキ・メソード音楽教室 Suzuki Method 公益社団法人才能教育研究会

トピックス

才能教育通信791号(2020年5月25日発行)

2020.05.12注目トピックス

 

ポスト ・ コロナの時代を見据えて

才能教育研究会 会長 早野龍五

 

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が延長されましたが、みなさま 如何お過ごしでしょうか。
 
今後もしばらく続けなくてはならない「新しい生活様式」のこと、お子さんの勉強のこと、仕事のこと、収入のこと、そして何よりも家族の健康のことなど、不安多きの初夏となってしまいました。
 
そんな中、私も、新型コロナウイルス感染症の早期終息を願ってポスターを作り、本会のホームページに掲載いたしました。ここでは、ポスターに記した四つのお願いについて、お話しいたします。
 

 

1:おけいこ – 毎日必ず!

第一のお願いは「毎日のおけいこ」です。もちろん、スズキでは普段でも「毎日のおけいこ」が大事ですが、今はもっと大事です。休校が長引く中、毎日お家で決まった時間にお稽古をすることで、生活にリズムが生まれます。
 

鈴木鎮一先生は「おけいこをしなくてもよい日があります。それは朝から晩まで何も食べない日です」とおっしゃいました。私も子どもの頃はこれを守っていました。
 

学校がはじまらない、勉強が遅れてしまう、本当に9月入学になるのかしら、など、いろいろとご心配なことと思いますが、今こそ、お子さんの「非認知能力 ? やる気、忍耐力、協調性など、学校の試験では測らない能力」をしっかりと育む時です。
 

毎日おけいこして、上手になるまで繰り返すことで、お子さんには立派「非認知能力」が育ちます。その能力が育っていれば、学校が再開されたあと、遅れを取り戻すことができることでしょう。
 

生徒さんたちは、将来進学し、社会に出たときに、「2020年の春はコロナで大変だったけれど、スズキで楽器のおけいこをしていてよかった」「自分の勉強や仕事に、毎日のおけいこが活きている」ときっと感じられると思います。
 

「毎日のおけいこ」は、スズキの生徒さんの持つ大きなアドバンテージです。緊急事態宣言が延長され、在宅で仕事をしておられるご家庭も多いかと思いますが、お父さま、お母さま、お子さんの能力を信じて、毎日のおけいこを見守って下さい。
 

2:レッスン – オンライン

第二のお願いはオンラインレッスンです。今学期になってからは、小学校から大学まで、すべての教育機関で、通常通りの対面授業ができなくなりました。
 

スズキでは早い時期から、ホームページに掲載した会長ビデオなどを通じて、オンラインでのレッスンへの移行をお願いしてまいりましたが、対面レッスンからオンラインレッスンへの切り替えは、教える側にも、教わる側にも、大きな負担です。
 

東京大学でさえ、四月からすべての講義をオンラインに切り替えるのは大変でした。ましてや、これまでIT環境を必要とされてこなかったスズキの先生方には、大変ご苦労なことと思いますが、今や、切り替えないという選択肢はありません。
 

それどころか、仕事や教育にオンラインを取り入れることは、「ポスト・コロナ」の時代になっても全世界で続くことでしょう。スズキでも、レッスンや会議で、対面とオンラインとを上手に使い分けしていくことが、普通になるのだと思います。
 

そんな中、新たな気づきも生まれています。
 

例えば、「ピアノは楽器の性質上、グループレッスンができないと思っていたけれども、オンラインならば、(様々な制約はありますが)グループレッスンができる」ことを発見した先生がおられます。
 

関東と関西、遠く離れた地区の生徒さんたちが、オンラインで合奏された例もありますし、「オンラインで合奏し、生徒さんの演奏をまとめてビデオ編集してみると、ひとり一人の演奏の休符などを、細かく聞くことができるようになって、今までとは違う指導ができるようになった」という先生もおられます。
 

私たちは才能教育「研究会」を名乗っている以上、新たなことを研究し、チャレンジし、新しい教育法をみんなで学び合い、それを広げていくべきですね。先生方、よろしくお願いいたします。
 
3:先生の会議- オンライン

第三のお願いは、先生方のオンライン会議です。
 

現在、理事会など、会の運営に必要なすべての会議は、オンラインで行っています。
 

毎年6月の最初の週に松本で開催する「全国指導者研究会」には、全国からスズキの先生方が参加し、研鑽を積みますが、今年は開催を断念しました。
 

その代わりに、6月1日(月)の午前中、全国指導者研究会の開会式が予定されていた時間に、全国の指導者に「Zoomの会議室」にオンラインでお集まりいただくことにしました。おそらく数百人規模になると思います。私の挨拶、豊田耕兒名誉会長及び特別講師の先生方全員の講話をお聞きいただく予定です。もちろんスズキとしては初の試みです。
 

なお、東京事務所は完全在宅勤務、松本の本部も交代在宅勤務ですので、ご連絡は電話ではなくてメールで(talent@suzukimethod.or.jp)お願いいたします。
4:コンサートの中止・延期
 

そして第四のお願いは、コンサートなどの中止・延期です。
 

3月に全国5地区で開催予定だったピアノ科卒業式の中止を決めた頃は、新型コロナウイルス感染者数も少なく、せっかく準備してきた本会の大事な行事を、本当に中止して良いのか、という思いもありました。
 

しかし、皆様もご存知のように、オリンピック・パラリンピックが延期になり、緊急事態宣言が出される事態となり、夏期学校も中止することを決めました。とても残念ですが致し方ありません。
 

来年春に両国国技館で開催予定のグランドコンサート、そして70周年となる夏期学校を、晴れて行えることを祈るばかりです。
 
おわりに

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は、働き方、教育のやり方などを含め、社会のあり方までも大きく変えようとしています。緊急事態宣言が解除された後であっても「新しい生活様式」が求められ、私たちの生活は、すぐには元どおりに戻れないでしょう。経済の先行きも不安です。
 

それにつけても、鈴木鎮一先生がスズキ・メソードを創始されたのが、戦後の混乱期であったことに思いを致すのです。
 

先生は、明るい未来を築くために大事なことは、(経済ばかりでなく)文化であること。子どもたちに未来を託すこと。そのために、子どもの能力を信じ、立派に育てることを提唱されました。その理想は世界中で共感を呼び、スズキは全世界に広まりました。
 

新型コロナウイルスに翻弄される今、そして今後「ポスト・コロナ」を生きる私たちは、文化を大切にし、子どもたちが立派に育つように「研究」しつつ、スズキ・メソードを次世代に引き継いでいかねばなりません。

 

2020年5月5日(こどもの日)に記す

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第69回、70回夏期学校について

第69回、70回夏期学校 実行委員長 末廣悦子

 

今年7月31日から8月3日に行われる予定でした第69回夏期学校は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止をせざる負えなくなりました。参加をお考えになっていた皆様にはご迷惑をおかけいたします。
 
夏期学校は1951年の霧ケ峰で開催された第1回から、ずっとスズキ・メソード発祥の地である松本で続いてまいりました「松本の夏の風物詩」でもあります。
 
来年は第70回の記念すべき年です。70回皆出席の方もおられましょう。また、たった1回の参加だったけれども一生の忘れられない思い出としておられる方もおありでしょう。現会員の方のみならず、そんな方々にも世界中からスズキ・メソード発祥の地松本に集っていただいてスズキファミリーの絆を深め楽しい思い出をたくさん作っていただけるような夏期学校にできればと考えております。
 
第70回夏期学校の日程は下記の通りです。
 
●2021年7月30日(金)~8月2日(月)
 
今後順次、決定事項は本紙、夏期学校ホームぺージなどでお知らせをさせていただきます。
 

 
どうか今から来年のご予定にお入れくださいませ。そして松本の街が鈴木鎮一先生の一番お好きだった「たくさんの子供たちの笑顔」で溢れますように。皆様のご参加をお持ちしております。

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